パイパー森
の音のある暮らし《2005年》
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Piping Times
の定期購読の更新をしなくてはならいないので、仕方なく久しぶりにCOP
のオンライン・ショップにアクセス。カタログページのデザインは少々リニューアルされている様子。
定期購読の更新だけではつまらないので、CDのカタログを物色し、Donald
MacLeod のチュートリアル・シリーズの最新リリース Vol.13&14 を注文しました。 ついでに、Pipers of Distinction シリーズの 中の Gordon Walker のアルバムに "Lament for the Children" が収め られているのを発見。これは、先日の John Wilson の アルバムと同様に、これまで、収録されている曲名のデータが分からなかったので、とりこぼしていたものです。 それらを注文バスケットに投げ込んで、手続きを完了、最後のボタンをクリックすると、例によって、ブラウザーがシャットダウン。ケッ、 何も変わっとらん! でも、これまでの経験から、向こう側にはちゃんと注文が届いているのだろう。 カタログの画面に「ディスカウントを受けるためには、別途Eメールで メンバーシップのナンバーを教えてくれ。」とあるので(笑っちゃうよね)、注文確認の意味も含めて、 注文確定画面のPDFファイルと共に、私の生涯メンバーシップナンバーを書いて送信。「出来れば、確認のお返事を頂けたら大変喜ばしいのですが…。」と 書いておいたのだが、それから、3日たっても未だに返事無し。 相変わらず「世界最悪のオンラインショップ」を 継続中のようですな。 |
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2005/1/17
(月) シンセティック・チャンター・リード |
昨年末の新宿高校旧校舎お別れ会を控えたある日のこと、装着していたハードのシ
ンセティック・チャンター・リードの音程がいきなり狂い始めました。ルーペで見てみると、なんとリードの先が裂けている。
以前にも書いた様に、このリードはケーンのリードと同様に一つ一つサンディングして仕上げられています。…ので、そ
のような中でたまたま深い削り跡が付いたところで素材が疲労をきたして割れたようです。 できれば旧校舎お別れ会に間に合う様にと、早速 Hughes and MacLeod に注文を出しました。今回注文したのはハードを3本。1 本£34だというので、計算するとこれだけで2万円近くなる。 「えっ、こんなに高かったっけ?」と思って以前の単価を確認すると、なんと当時は£22でした。ウワ〜ッ! 5割アップだ。最近、円高傾向とは いえ、この値上げはイタイ。 でも、一度でもこのシンセティック・リードのイージーさを味わってしまうとね〜。 結局、お別れ会どころか年を越し、注文から3週間以上経過した先週になってやっと到着。3本ともケーンに遜色無い良
い音してます。…ま、この際、値段は仕方ないか? |
2005/1/24
(月) CoP は永遠なり |
1月13日に書いた CoP
へのオーダーと、確認のメールに対してはその後何の音沙汰も無し。 10日以上経過したので、いよいよ再確認のメールを送ろうかと思っていた矢先に、ボ〜ンと荷が到着。 今回は段ボールで包まれていたので、CDジャケットにダメージは無し。 フ〜ッ…。もう、クレームのメールを書く気もしませんね。 Gordon Walker の "Lament for the Childern" は、注
文した後に Index of Piobaireachd Recordings で
確認したら、どうやら World Greatest Pipers
シリーズ#1の Angus MacDonald の
と同じ urlar だけらしい。 都合、"Lament for the Childern" の コレクションは10になりました。全部通しが6つ、Ver.2まで(約8分程度)が2つ、Urlar だけが2つと言う感じ。どの人の演奏もそれなりに味わう事が出来る。それにしても奥が深い名曲だね〜。 |
Donald MacLeod のチュートリアル・シリーズはとうとう Vol.14 (つまりCD28枚ということ)に到達しました。
取り上げられた曲はすでに160曲にのぼります。 Donald MacLeod もひときわ丁寧に教
えてくれていて、Urlar を一通りカンタラックで歌った後に、プラクティスチャンターで演奏。そして、同様に
Var.1をカンタラックで歌った後にまたプラクティスチャンターで演奏。 私は以前に Donald MacLeod の直
弟子である Angus J. MacLellan
さんからこの曲の手ほどきを受けた時に彼にカンタラックでこの曲を歌ってもらいましたが、このチュートリアル CD で
Donald MacLeod のカンタラックを聴く
と、テンポといい抑揚といい、それはそっくりそのままあの時の Angus J.
のカンタラックそのもので、なんとも懐かしい思いがしました。 親しみ易いメロディーでありながら、その独特の抑揚を上手く表現するのが大変難しくて、いつまでたっても満足ゆくよ
うに演奏できずに悶々としてしまうこの曲ですが、今回、この丁寧なチュートリアルを活かしてなんとか味わい深い演奏が出
来る様になりたいと思います。 |
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1954年生まれのパイパー森は、ロック・ミュージックが最も輝いていた
1960年代後半〜1970年代にティーンエイジを過ごした、生粋のロックンロール世代。ロックは私の音楽人生だけでなく、
生き方そのものを規定してきたテーゼだと言えます。
私がそもそもハイランド・パイプのソロで演奏するピーブロックという音楽を好むのは、大 気を切り裂くチャンターの一音一音に、マーシャル・アンプから放たれるエリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、 ジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリックスと いったロック・ギタリストたちが繰り出すエレクトリック・ギターの鋭い音色を、そして、身体に染み入る重低音の ドローン・ノートには、ジャック・ブルー ス、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジャック・キャサディー、ティム・ボガートといった、辣腕のベーシストたちの 地をも揺るがすベースノートをイメージしつ つ、ウルラールのメロディーを徐々に変化させて、クルンルアー・マッハの頂点でクライマックスを迎えるという ピーブロックのその音楽様式に、「テーマ〜イ ンプロヴィゼーションの展開」というロックの基本様式のイメージを重ねているからなので す。 言い換えれば、私にとってハイランド・パイプによるピーブロック演奏は、他の楽器では到底不可能だと思われる「ロックンロールの醍醐味をワンマンで味わってしまう」という行為 に他ならないのです。 |
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齢50才を迎えようとする私と同世代のロック中年たちは、たとえ心の奥底でメラメラと燃えるロック魂を持ち続けていたとして
も、日常生活に於いては、成熟
した社会人として、夫として妻として、またある時は父として母として、大人に相応しい分別ある振る舞いを期待され、そして、
当人たちも当然のようにそのよ
うに振舞ってきました。
しかし、最近になって、このようなロック中年たちが堂々とカミングアウトしてきたり、社会のあちこちの場でイニシア ティブを握る様になってきたのだな〜、と実感させられる例が増えてきた様に思えます。 そのような例として、つい最近、とても偶然とは思えないタイミングでロック関係の雑誌のリリースが重なりました。 パイパー森はとりあえず全てをゲット。若かりし日々の思いに浸りながらページをめくって楽しみました。 中でも一番楽しめた記事が、 "AERA in Rock /
再びの、ロック”の中程にあった「ロックの呪が解けな
い人々〜大調査」です。副題の「ロック世代のエクゼが語った」にあるとおり、政財官学のお堅い分野の
「ロック通」たちのアルバムベスト5とそのコメントを載せたページ。 一方で、ある大学教授がベスト1に、他の人が選んだアルバムとはかなり異質でマイナーな、ペンタングルの
"クルエル・シスター”を選んでいたのには正直驚いてしまいました。 |
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何事もそうですが、まさにその渦中にいると、そのもの実態は見え難いのが世の真
理。時間的(あるいは物理的)な距離を置いてみて、初めて見えてくるということはよくあることです。 そこで、例の大学教授のベスト1に名前が出て来たことに触発されて、ペンタ ングルのアルバム "クルエル・シスター(Cruel Sister)”が、私の音楽人生の中で果たした意味について、このアルバムとの出会いから35年間以上 の時を経た現時点で改めて考察してみました。 ペンタングル(Pentangle)というグループ
は、今振り返ってみてもフォーク界、ロック界通じて、真に空前絶後、他には全く類を見ない本当にユニークなグループでし
た。 アコースティック楽器のグループとはいえ、フォーク・ブルースをベースにとしたそのサウンドは、ある意味ではロッ
ク・ミュージックのもつパッションに溢れたものと言え、アルバム・ライナーノートにはその当時、彼等がロック・ムーブメ
ントの中でどんなに人気を博してた
かが克明に記されています。 ペンタングル結成の前から、バート&ジョンのギタースタイルは当時の多くのミュージシャンに多
大な影響を与えたことはよく知られている事ですが、その一人がレッド・
ツェッペリンのジミー・ペイジで、バー
トの奏法やチューニング、そして、レパートリー面で多大な影響(パクリも含めて)受けているのは有名な話です。 また、今回このライナーノートを読み返してみて興味深いと思ったのは、ペンタングルの音楽が、当時隆盛を誇っていたはず のプログレッシブ・ロックが陥って いた「楽器の音そのものの単純美を失ってしまった事」の対極に位置している事に対して当時高く評価されていたということ でした。 "Cruel Sister”は
そんな彼等が1970年にリリースした4枚目のアルバムです。ブリティッテュ・トラッドをベースにジャズやブルースを織
り交ぜた幅広い音楽性で、オリジナ
ル曲や他のジャズ・ミュージシャンやフォーク歌手のカバー曲まで幅広く手掛ける彼等にしては、全編トラッドというこのア
ルバムは、実はかなり異色のアルバ
ムなのですが、幸か不幸か私はそのようなアルバムと最初に出会ってしまったのでした。 全編5曲が全てトラッド曲ですが、その内2曲は特に正統的なマーダー・バラッド。1曲はタイトル曲の "Cruel Sister”で、 "Two Sisters”などというタイトルでも知られていま す。そして、もう1曲が、アルバムのB面一面を占めている "Jack Orion”という曲です。
4行詩×26連からなる長大なバラッド(といっても、正統的なバラッドの世界ではごく普通の長さですが…)に、アコギ、
エレキ・ギター、ベース、ドラム、
パーカッション、リコーダーなどを駆使して現代的なアレンジの伴奏を加えつつも、基本的には伝統的なシンギングに載せて
淡々と物語が進行します。 さて、元々長いバラッドに要所要所の間奏と例のインプビゼイションを加えたこの曲の演奏時間はなんと18分にも及 び、奇しくも私の最も好きなあの Gavin Stoddart の 演奏になる "Lament for Children”の 演奏時間とほぼ同じ長さになります。 そして、今にして思えば、16才の頃の私がハマっていたペンタングルに
よるこの "Jack Orion”の演奏形式、つまり、「テーマを淡々と演奏、徐々にバリエイションを複雑化、バリエイションがクライ
マックスに到達した後に再びテーマに戻って終わる」という音楽様式は、な〜んのことはない、ピーブロックそのものじゃないですか。 蛇足ですが、同時期のロック・ミュージックの中で1曲でLPレコード片面を占める様な長大な曲としては、ピンク・フロイドの "原子心母/Atom Heart Mother”、そして、グレイトフル・デットの "Live Dead”に収められていた "Dark Star”という曲があり、両方とも私のフェイバ リット・チューンでした。 |
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月日が経つのは早いもので、パイピング・タイムスの購読更新の手続きと併せてなんかかんか買い込んだのが1月ですか
ら、殆ど半年ぶりにあれこれ買い漁るために CoP のオンライン・ショップを訪ねました。
ボブさんのピーブロック・フォーラムでもこの3月に話題になっていたこのシリーズは、1枚に各4曲のピーブロック演奏と
それぞれの曲に関するビル自身のナ
レイションが収めらたCD4巻から成ります。収められていれている曲がピーブロック通なら欠かす事の出来ない重要な曲ば
かりなのでマニア垂涎ものなのです
が、実はその半分は Dr. Dan Reid メモリアルコンペティションでのライブ音源と
いうこと。つまりは演奏音源の半分については概ね私のコレクションに入っているということになります。そんなかんなで、
これまでこのCDにはまだ触手を伸ばしていませんでした。 さて、この4枚のCDの下にスクロールすると、ピーブロック・ソサエティーの現在のチェアマンである Andrew Wright による Whispers of the Past シリーズの Vol.2 として "The Harmonic Piobareachd”というCDが載っています。このシリーズのVol.1は以前紹介した "Canntaireachd and Piobaireachd”で すが、続編もタイトルからしてなかなか興味深そうです。 次は、Brown & Nicol による "Masters of Piobaireachd”のシリー ズ。そして感心なことに最新版 Vol.7 がちゃん と載っています。ちなみに今回は "Lament for Mary MacLeod" が取り上げられているので、bugpiper さんも「買い」ですね。 そして、続く Donald MacLeod の Tutorial シリーズには早々にリリースされたばか りの Vol.15 & 16 が掲載されて います。この後は、今年10月リリース予定の Vol.17 & 18、そして、来春の Vol.19 & 20 をもってCD40枚に及ぶこの膨大なシリーズも遂に完結するわけですから、いよいよ最終コーナーを回ったという感じですね。今回の2巻には、長大な“Lament for Harp Tree" 、そして、つい 最近私がすっかりハマっている“The Daughter's Lament" と、両方とも Bill Livingstone が Dr.Dan Reid メモリアルコンペティションで聴かせてくれた印象深い2曲が取り上げられているのが楽しみです。 そして、ピーブロックCDのリストの最後にあった、Dalriada Piobaireachd - Voice and Pipe というちょっと怪しげなCDもつい でにバスケットに投げ込んで、このコーナーはお仕舞い。 さて、次は、本です。 続いて、そろそろ夏休みの読書用にその他の本に目ぼしいものはないかと物色。 おっと、いきなり美味しそうな本が…。"Piping
Tradition of Argyll" 曰く、"A
worthy successor to 'Piping Traditions of the North of
Scotland'…、ということならば、これはもう絶対「買い!」ですね。 続いて、次の "Little Book of Piping Quotations" っていう本も、その解説を読んで「買い!」です。その値段からしても小冊 子ってところでしょうし、夏休みの軽い読み物には最適。それに、きっと「ピーブロック名言集」に引用させてもらえるよう な名言が沢山出ていることでしょうし…。 …と、まあ、こんなところで、今回の買い物はお仕舞いにしておきましょう。 買い物かごを確認して、チェックアウトに進みます。 さて、いつものとおり、その次の画面でクレジットカード情報を入力して決済のボタンを押して…、も、これまでのようにブラウザーがシャットダウンしない! な〜ん と! その代わり、なんとちゃんと Recept
画面が表示されるではないですか。 お〜、やっとシステムが直ったようです。でも、きっと受注確認のメールなんて来やしないんだろうからと、念のために
この画面をPDFファイルにしてデスクトップに保存しました。
ただ、例のメンバーシップナンバーの入力がちゃんと反映されて、メンバーシップディスカウントがされるかどうか? につ
いてははまだまだ大いに疑問です
ね。少なくとも、注文確認の段階ではディスカウントされた形跡はありません。品物に同封されてくるはずの最終的なカード
引き落としの内訳書が見ものです
ね。 まあ、でも、とにもかくにも実に2年間に渡ってトラブルが続いていた CoP のオンラインシステムが、まがりなりにも正常になったことだけでも一応良しとしましょう。 |
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2005/6/22
(水) 中4日で到着! |
実際に CoP
に注文を出したのは、16日(木)午後9時過ぎですが、つまり、これは現地時間で同日のお昼過ぎにあたります。 感心なことに、CoP のオンラインショップ担当者は昼食から帰って私の注文を見てから、間髪を置かずに荷を揃えて発送作業に取り掛かったようです。その証拠に、これまでの最短 タイ記録である中4日おいた21日(火)にそれらの荷物が到着したのです。 そして、今回のパッケージはパーフェクト! 一番かさ張るA4サイズ簡易綴じ仕上げのピーブロック・ソサエティー・カンファレンスの報告書2冊はまず段ボールで包ん で折れ曲がらない様に養生された 上、4枚と5枚に分けられたCD、一まとめにされた本ともに、それぞれ別々に例のプチプチのエアクッション・ビニールで しっかりと包んであります。そし て、それらをまとめてぴたりサイズの段ボールに入れて梱包、段ボールの合わせ目は丹念にポリテープでシールして送られて きました。当然ですが、中身のダ メージは全く無し。 ただし、案の定、メンバーシップ・ディスカウントはされていませんでした。同封されている送り状の内訳 一覧には、ちゃんとディスカウント率とディスカウント価格を記する欄があるにもかかわらず、両方とも、0、0、となって います。どうしてなんでしょうね? クレームのメールを書くのもメンドクサイけど、今後の事もあるからこの際、きちんと問い合わせをしておいた方が良いか な? |
ジェフ・ベック(Jeff Beck)のライブに行っ
てきました。 セルフインタビューにも書い
たとおり、ペンタングルとの出会いをきっかけに
、ロック少年だったパイパー森はブリティッシュ・トラッドの深い森の中に迷い込んでしまいました。そのため、1970年代初頭の本場のロックバンドの来日
ラッシュからは早々にドロップアウトしてしまったので、1973年の BBA
のライブには行っていません。さらに正直に言うと、これまでジェ
フ・ベックの音楽を真剣に聴き込んだこともありませんでした。 2人とも1940代半ば生まれですから、その当時共に50代半ばのはず、「演奏もそれなりなんだろうな〜」と決めつけて、ノスタルジアは感
じつつもそれ程強い思い入れを持って放映に見入った訳ではありませんでした。 ところがどうでしょう、ジェフ・ベックは全く違いました。 それにもまして何よりも驚いたのは、その時の演奏でした。それは紛れも無くギンギンのインストゥルメンタル・ロッ
ク。ジェフの他にMIDIギター、ベース、ドラムというタイトな4人編成のバンドの繰り出すヘビーなサウンドは、「枯れた」とか「レイドバックした」とか「丸くなった」とかい
う言葉とは正反対に「ロック魂」溢れた熱い演奏なのです。 とにもかくにも、この映像の衝撃は、当時45才だったパイパー森の人生観にとてつもなく大きな影響を与えました。大 げさではなくて、その後の中年〜壮年としての生き様を変える契機になりました。 つまり、「そうか、たとえ50才を越したからって いって、当たり前のように老け込むことはないんだ。ジェフ・ベックのように、いつまでもロックンロールしているって いうのは、なんてカッコイイんだろう〜!」と…。 この場合の「老け込む」という言葉には「歳相応に…」「大人びる」「落ち着く」「枯れる」「渋い」「地味に」といった抽象的な概念、そして、具体的には「リラックスジーンズを履く」「スラックスは必ずツータック」「スニーカーは履か ない」等々といった様な意味を含んでいます。 そこで、ジェフを見習ってロック中年として自分に
正直に生きる事にした私が最初にやったことは、ワードローブに有ったモロにオヤジ臭いス
トーン・ウォッシュ仕上げでダブダブのリラックス・ジーンズを捨て、その替わりにウォッシュ・アウトしていないクラ
シカルなインディゴブルーのストレート・ジーンズを購入する事でした。そして、細身のジーンズに足を
通しジッパーで股間をギシギシギシと締め上げ、ジーンズが腰回りにピタッとフィットする感触を久しぶりに味わい、「やっ
ぱり、ジーンズはこうでなくっちゃ。」と一人悦に入りました。 さて、そんな風にパイパー森が中年としての生き様を変えてから数年が経過、自身が50才をとうとう越えてしまった今
年、当のジェフ・ベックが5年ぶりにジャパン・ツアーを行
うと言うニュースが入ってきました。 しかし、人生の手本とする神様を拝みに行くというのに、当の神様の音楽をロクに聴いた事が無いというのではこりゃヤ
バイと思い、近くのレンタルビデオ店で神様のCDを借りまくってきました。 余談ですが、 借りてきた中に '73 BBA
来日時に大阪フェスティバル・ホールで録音された
"Beck, Bogert & Appice Live" (2枚組)もあったのですが、これはスゴイ! さて、ライブ当日、ここ数年のジェフ・ベックの東京でのライブ会場として定着している5000人
収容の「東京国際フォーラム/Aホール」に詰めかけたのは、凄まじい数の私ら夫婦と同世代の「元ロック少年&ロック少
女、今ロック中年&壮年」たち。その雰囲気は一言で言うと正に「同窓会」のノリでした。 肝心のライブはどうだったかって? コメントするまでも無いでしょう。 特に、今回のライブでは、テレビで観た1999年のライブの時よりも、スローなギター・バラードが数多く演奏され
て、スロー・エアー好みのパイパー森としては大変満足でした。 最後に、非常に印象的だったのは、2度目のアンコールの際、1曲目が終わったところで、キーボードを除いた他のメン バーがステージから去り、ジェフがキーボードの静かな伴奏だけを従えて、心に染み入るような深い情感を込めて、スタン ダード・ナンバー "Over the Rainbow" を 聴かせてくれたことです。このライブの締めくくりとしてジェフが選んだ余りにもカッコ良すぎる演奏でした。 そして、この演奏はパイパー森に、あの、Boys of the
Lough
が1984年の初来日公演の際、アンコールでリールを怒濤の様に演奏した最後の最後を、スロー・エアー "For Ireland, I'd Not Tell Her Name"
で締めくくった印象的なライブの夜を思い起こさせました。 案の定、心に染み入るギター・バラードを弾き終えて静かにステージを去ったジェフは、聴衆の盛大な拍手に押されるように再びバンドメンバーと 一緒にステージに登場、バンド全員でパワフルなロックナンバーを1曲演奏してライブはお開きになりました。 還暦を超えた今も、30数年前と全く変わらぬロック魂に溢れたジェ
フ・ベック様のお姿を生で拝見させて頂いたパイパー森は、これからの自分のロック中年〜壮年としての
生き様について改めて信念を深めた次第です。 |
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2005/7/12
(火) 朝のまったりタイム |
パイパー森は、この春に職場が変わり、自家用車通勤から電車通勤に変わりました。当然、iPod
のアウトプットは車のオーディオに繋げるのではなくて、イヤーフォンにして電車の中で好きな音楽を聴きながら通勤しています。
メニューとしては、今や639テイク、98時 間分!にも膨れ上がって、なおかつ刻々と増え続けるパイパー森のピーブロック・コレクションをランダムに流すことが最も多いの ですが、その他にもいくつかのお気に入りプレイリストを作っておいて気分によって使い分けたり、その日の気分で即席 プレイリストを作ったりします。 お気に入りプレイリストでは、最近入手したピーブロックの音源だ けをピックアップしたものや、フィル・カニンガム のスロー・エアーだけ22曲を集めた1時間40分余りのものなど、また、ちょっと変わったところ では、レッド・ツェッペリンの超有名ブート "Listen to this Eddie" の中の "No Quarter" 1曲だけってのもあります。これ は、この1曲だけで31分あるので、それだけで聴きごたえたっぷりなバージョンなのです。そして、つい最近加わった のがジェフ・ベックの15枚のCD160曲程の中からギター・バラー ドだけ16曲、約1時間分を抜き出したものです。 さて、家を出てから職場の最寄りの駅に着くまでの時間は僅か40分程なので、音楽を聴く時間としてこれでは少々
物足りなく感じられます。長いプレイリストになると、とても全部は聴き通せません。 パイパー森は気が小さいので職場にはかなり余裕をもって到着するようなタイムスケジュールで通勤していますが、
最近は駅に着いても職場には直行せずに駅前のタリーズ・コーヒーに
寄り道して、コーヒーを片手に野外テーブル席でまっ
たりとした時間を過ごす快感を覚えてしまいました。 早い電車に乗れて長く時間が取れる時にはこの「まったりタイム」は
30分近くにもなり、「さ〜、バリバリ仕事するぞ〜!」と
いう気分が高まります。 ところで、古今の様々な人々のパイピングに関する名言&迷言を
引用したこの本を読む時に適したバックグラウンド・ミュージックというのは実はピーブロックではありません。自分が
演奏する音楽であるピーブロックを流しているとついつい聴き込んでしまうので、字面を追いかける際にはあまり適当で
はないのです。 朝の「まったりタイム」に、目ではパイピングに関 する名言&迷言を追いかけながら、頭の中ではギンギンのロックが流れているなんて、いかにもピブロッカー・パイパー 森らしい過ごし方だと思いませんか? |
いつもの山荘に来ています。 着いた当日早速、例によって例の場所でパイプを吹きましょう、といそいそと My Dunfion Pipes を抱えて出掛けて行くと… が〜ん! …な、なんと、大きなトラックやらブルドーザーやらコンクリートミキサー車など、沢山の工事車両が入っている。 現場に立てられた看板から察するとどうやら野外教育施設らしい。現場監督らしい人に尋ねてみたけれど要領を得ないの で、山荘に戻り看板の表示にあった「蓼科・八ヶ岳国際自然学校」を インターネットで検索してみると、このHPがヒット。 う〜ん、どうやらこの自然学校の拠点として整備しているらしい。工事の様子からすると、麓のリゾート・マンションが放棄 してから15年近く放置されていた ログハウスのコテッジ群もリフォームして使うつもりらしい。一番大きなログ・コテッジに付属している例のウッドデッキも 何やら改修作業に取りかかっている 様子。 …ってな訳で、パイパー森がここ数年、専用の演奏ステージとして勝手に出入りしていた場所はあっけなく、使えなく なってしまったのです。 仕方が無いので、切り替えの早いパイパー森は国道をさらに上ったある場所を新しい演奏拠点とすることにしました。 ここは、道沿いに車を止める所が殆ど無いこの国道沿いとしては珍しく十分な駐車スペースがある場所です。 ただし、この場所の最大の難点はそこが標高
1900mに位置している!ということです。(国道沿いに建てられている標高を示す標識が、ちょうど
駐車スペースの入り口に建っているのでそれと分かるのです) 古(いにしえ)のケルト民族がたどったのと同様に、少数民族たるパイ
パーが僻地へ僻地へと追いやられるのは世の常なり。 |
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山荘で日々、今回は読み物がてんこ盛りの中、とりあえず取り掛かったのは、ピブロック・ソサエティーの年報でした。 最初に手にした2003年版は、この年がピブロック・ソサエティー設立100周年に当たるからか、選りすぐりで 非常に中身の濃い講演内容なので非常に楽しめました。 最初は、Kilberry Book of Ceol Mor の
編集者である、Archbald Campbell of
Kilberry に関する講演。レクチャラーは Dugald
MacNeill と Andrew Wright。 そして、続いてあの Roderick Cannon が
膨大な時間を費やして研究・分析した General
Thomason の編纂した楽譜集 "Ceol
Mor" に関する講演。 さて、この2つの大作レポ−トを読み終えた後、手にしたのは現在の最新の2004年版。ところが、この年もまた、なかなか興味深い講演が盛 りだくさんでした。 中でも特に掛け値なしに目から鱗状態だったのは、セッ ション3の "The Bells of Perth" に 関する講演でした。このピーブロックは Perth の St. John the Baptist 教会の「Bells=鐘」を聞いたパイパーが、その鐘の音からインスパ イアーされて作曲したと言われています。作者は Patrick Og MacCrimmon の直弟子であった John MacIntyre とされています。 ここで言うところの「Bells=鐘」というのは、単なる単音の鐘ではなくて、Carillon (カリヨン)の事。カリヨンというものがどんなものかをご存知無い方は、このサイトをご参照ください。 そして、今回の講演は、なんとまさに当のSt. John the Baptist 教会の Carillon 奏者(Carillonneur
という)による講演なのです。 う〜ん、なんとも盛りだくさんな2003年版、2004年版の
2冊のピブロック・ソサエティーの年報で、「パイプのかおり」をネタが少なくとも3回分できました。ただ、後
は文章にするのみ。あ〜、これが大変なのだ。 |
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以前にも書きましたが、パイパー森はこの春から電車通勤に変わりました。
電車で座って通勤することの良いところは、目をつむって音楽に没頭できるということです。対して、以前の車通勤では往復
とも30分程度であっという間でし
たし、振り返って考えてみると当然ですが、運転中というのは音楽を聴いていても電車のようには没頭してはいませんでし
た。 そのようにして、毎日必ずきっちりと2時間は(時には昼休みにさらに1時間)iPod のシャッフル機能を活かして、次から次へと様々なピーブロックを聴き続け、どっぷりとピーブロック漬けで通勤する毎日です。 1曲づつのコレクションを並べたジャンルだけでも100を超す曲が様々なパイパーの演奏で200テイク以上、のべ録音時 間にして40時間以上入っていて、 さらに Masters や Donald MacLeod のシリーズ等を含めると概ね100時間に手が届こうというコレクションですから、ピーブロックだけを次から次へと聴いて いてもまるで飽きる事はありませ ん。 もう一つ、パイパー森が車通勤をしていたのは6年
間でその前は電車通勤でしたので、今と同様に電車でピーブロックを聴きながら通勤していた訳ですが、振り返ってみると、
この間の携帯型プレイヤーに関する
進化の大きさと、それによって音楽の楽しみ方が大きく変わったことを実感します。 |
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今年5月に行なわれたクリームのリユニオン・ライブのDVDがリリースされました。 しかし、当初このリユニオン・コンサートの企画が知らされた時、私も含めて決して少なくない数の人が、複雑な思いを
抱いたと思います。 ところがどうでしょう。今回のライブ映像に映し出された彼等3人の勇姿からは、37年前のロイヤル・アルバート・ ホールでの解散コンサートにも勝るとも劣らない感動が得られました。 もちろん、それは37年前の演奏のように「一体どこまで暴走して行ってしまうのだろう?」と思わせるような緊張感溢
れるものでは無いかもしれません。 でも、確か65才にはなっているはずのジンジャー・ベイカーは、往年とまるで変わらないパワフルかつ彼独特の音色の
ドラミングを聴かせてくれるし、クラプトンは汗びしょになりながら、当時と変わらない流麗かつ味わい深いソロを聴かせて
くれます。 そして、ジャック・ブルースに関してもう一つ印象的だった点は、彼が椅子を使わずにベースを弾きながら歌う時の姿勢
の良さです。 でも、そんなことよりも何よりもこのクリームのリユニオンの大きな意義は、解散から37年も経過した後にメンバー3人が健全で実際にリユ
ニオンが可能だった、という単純な事実
なのです。 そして、その意味するところを一番良く分かってい るのは、当日のコンサートに集まった往年のファンたちであり、それは映像に映し出される、ステージ上 の3人の演奏を満足げに見つめる彼等の笑顔に見事に現れています。 当時、モノラルラジオにかじりついて聴いてた往年の名曲の数々を、現代のハイテクによる素晴らしく鮮明な映像&音響で再 現されたライブ映像を堪能できると いう満足感だけでなく、ステージ上の3人とそれを見つめる大勢の観客たちに共通している、会場全体に充満する幸福感が画 面から溢れ出て来て、見る度にほの ぼのとした気分になれる素晴らしいDVDです。 大げさではなく、身近な同世代の人々が次々と逝ってしまうようなこの歳になると、「生きていること」の有り難さを実感することが出来るだけで、
無上の幸せを感じるものなのです。 |
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