ハ イランド・パイプに関するお話「パ イプのかおり」付録 |
Lament for Patrick Og MacCrimmon
この曲は、マクリモン・パイパーたちの中でも
最も卓越したパイパー、ティーチャーとして高名な Patrick Og MacCrimmon(1645〜1730)の一番弟子であった盲目のパイパー、Iain Dall MacKay of Gailoch(1656〜1754)が作曲したものです。
そして、さらにすごいのは、彼はピーブロックだけでなく、詩や歌でもいくつもの傑作を残しているのです。実は当
時のハイランドのクラン社会においては、パ
イパーとバルド(Bard/吟遊詩人)の関係というのは余り良いものではなく、Iain Dall
のようなケースは非常に希なことだったということです。Iain Dall
はパイパーとバルドの両方をこなしたほとんど唯一の存在なのです。 Patrick Og MacCrimmmon と Iain Dall MacKay のパイパーとしての素晴らしさ、そ して2人の強いきづなで結ばれた師弟関係を伝える一つのエピソードがあります。 当
時、各々のクランの中でパイパーの役目はとても重要であり、同時にその地位は非常に高いものでした。ですから、
チーフテンたちは多くの費用をかけても、 Skye 島のはずれの Boreraig という地にあった
MacCrimmon の College of Piping
にお抱えのパイパーを送り込み、立派なパイパーに育ててもらうのを常としていました。 さて、肝心のこの素晴らしいラメント自体の誕生にまつわる 興味深いエピソードは次のとおりです。 あ るとき、「Patrick Og が死亡した」という悲報を聞いた Iain Dall は悲しみの中、悲哀に満ちたこの名曲を作りました。しかし、後日、実はこの悲しい知らせは真実ではなかったとい うことがわかりました。そこで、Iain Dall は Boreraig の Parick Og のところへ行き、師匠を前にしてこの曲を演奏したのです。そして、Iain Dall のこの素晴らしい曲を聴いた Parick Og は「生きている間に自分のラメントを演奏できるパイパーは、そんなにいないだろう。」と言って、この曲を大層気 に入り、以後は自分のお気に入りの曲として たびたび演奏したということなのです。 こ
の曲はGABDEのペンタトニックです。同じペンタトニックでもキーノートによってかなり異なった雰囲気になり
ますが、特にこの曲のようにGがキーの曲は
独特な雰囲気があるので私は大変好きです。シェーマスによるとそれは、他の音とは少し違った雰囲気を持つGの音
とドローンの音(A)とによって生じる雰囲 気だということです。 Seumas
によると「最高のテクニックを
駆使する必要があるこのウルラールの演奏の中でも、この the throws to HighG
には、特に完ぺきな正確さが求められる」ということです。 「この曲は初心者にとっては簡単には理解しにくいかもしれ ません。しかし、ひとたびこの曲の良さが分かった時には、その人にとってピーブロックの新たな世界が開けてくる でしょう。」 ⇒ Murray
Henderson による演奏音源 |
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