ハイランド・パイプに関するお話「パイプのかおり」

第36話(2016/11&2018/4)

Alt Pibroch Club

 
■ ピーブロック・ソサエティーが本気で変わり始めた ■

 インターネットが一般家庭に普及し始めたのは1990年代半ばの事ですから、もう既に20年が経過しました。当初は《文字データ》から始まった情 報の普遍化がその後、《画像》〜《オーディオ》〜《動画》と一途に拡大していった経緯も既に過去の歴史となりつつあります。中でも特にインパクトの大き かった YouTube の登場からも10年が経過。

 しかし、ことピーブロックに関して言えば「ネッ トによる情報発信が盛ん」とは到底言い難い状況が長い間続いていました。ところが、どうした風の吹き回しかこのところ2、3年(長くみても数年)の情報発 信の勢いは、瞬く間に時代に追いついた感があります。保守的な御仁が多くを占めると思われる本国ピーブロック界の関係者もここに来てようやく、ネット発信 の意義に気がつき重い腰を上げた、という事なのでしょうか。最近では講演やイベント、コンペティション等のストリーミング配信のお知らせが CoP や NPC から年中届く様になりました。

 このサイトのコンテンツはどちらかと言うとリアルタイムな情報は稀ですが、その稀な例の一つパイプのかおり第28話「オンラインで聴くピーブロック」(2007年)は、そのような急激な変化を受けて極端に陳腐化。先日、このページ(の中身)はバッサリと削除しました。今、このタイトルで記事を書くとしたら、一言「 ”Piobaireachd” とググってお好きに観て、聴いて下さい。」とするのみです。

  そして、ここ数年の劇的変化を象徴する衝撃的な出来事が、2016年春の PSカンファレンス記録の動画配信でした。カンファレンスが開催されたのは3月末の事ですが、それから程なくして何気に YouTube で “Piobaireachd” を検索すると、なんと講演内容をベタに記録したトータル4時間超に及ぶ3本の動画がヒット。カンファレンス開催から1ヶ月も経たない4月25日にピーブ ロック・ソサエティー自身がアップロードしていたのです。⇒その1⇒その2⇒その3

 慌てて PSサイトを確認してみると、ニュース欄に音声や画像資料の入った概要レポートが掲載され、それぞれのレポートに Here is David’s full presentation on video. という具合に件の YouTube 動画へのリンクが張られています。

  従来、PSカンファレンスの内容を知ろうとした際には、講演録を入手する以外の方法は有りませんでした。…と言っても、講演録が纏められ CoP のオンラインショップのカタログに載るのはどんなに早くても1年後の事。大英帝国の悠々とした時間の流れに身を任せるしかありませんでした。

 PSサイトが劇的に変化した第一歩が 2008年の事。遠隔地在住の会員でも現地の会員と遜色なく様々な情報が得られる様になりました。その改変を受けて 2009年にPSに入会した顛末、そして、2013年にPSサイトがさらにバージョンアップして現在の体裁になった経緯は以前紹介しました。
 ここ数年のカンファレンス・レポートには講演録(Proceedings)にとどまらず、講演で使われたサウンドクリップや画像等もアップされています。それに伴い、コーナーのタイトルも従来の “Proceedings” から “Conference Talks” へと変更。また、タイムラグも極めて短くなり、今年も件の動画配信から程なくして、講演録、サウンドクリップ等を含めた詳細なレポートがアップされました。

 

■ Dr. J David Hester による Alt Pibroch Club ■

 2016年の講演の一つが Dr. J David Hester による、Alt Pibroch Club サイトに関する話です。
 私は、2013年8月にこのサイトがスタートして程なくボブさんのフォーラムでその存在を知りましたが、その時は、 Barnaby Brown が運営する新たなサイトなんだろう、と思い込みました。運営者として共に名前の出て来る J David Hester とは一体何者?と言った感じ。
 オープンしたばかりのサイトの割には膨大な全体像を直ぐに把握するのは容易ではなさそうだったので、ざっと目を通して概要を掴んだ段階で見切り発車。取り急ぎリンク集で次のように紹介しました。

 「Barnaby Brown と J David Hester によるもう一つのピーブロックに関する普及サイト/「もう一つの」とは1903年の The Piobaireachd Society の設立以来ピーブロック演奏の規範となってきたソサエティー・ブックに掲載されている解釈ではなく、それ以前の様々な楽譜集・写本などによる多様な解釈の こと/現存する(著作権失効の)あらゆる楽譜集や写本のPDFが整理されている/それぞれのソースからでも、曲名からでも検索可能。」

 その後も、その存在は大いに気になってはいましたが極めてマニアックで膨大な内容に腰が引け、本気で目を通す事がなかなか出来ずにいました。今回、動画公開に背中を押される様に講演録を読んでみて、Alt Pibroch Club サイト運営の原動力となっている人物は、紛れもなくこの Dr. J David Hester という人物だという事がようやく分かった次第。

 米 国カルフォルニア人/宗教学、古代地中海文化を専門とする博士/8歳でバグパイプを始め、その後20歳で一旦パイプを離れたが、2010年に25年間のブ ランクを経て再びパイプを手にした(つまり現在51才?)/その間も、クラシック・バイオリンをセミプロレベルで演奏/その他、バスーン、マンドリンを趣 味のレベルで演奏する他、パンクバンドでエレクトリック・ベースを担当/レコードプロデューサーでもある/“I’ve been a musician all my life” と自負。

 …というこの人が、25年ぶりにパイプを手にし、Jori ChisholmBagpipeLesson.com でピーブロックの手ほどきを受けた際に最初に取り組んだのが “Too Long in This Condition” だったとの事。しばらくすると、歴史学者の悲しい(?)性から、彼は「この曲が古い楽譜にどのように表現されているか?」という事に興味を抱きます。
 そして、PSサイトに掲載されている様々な古い楽譜に目を通して「本来の伝統の中には PS設立以降に《標準化》されたセッテイングとは異なる、魅力溢れる多様な解釈が存在する。」という事に気付きます。

 ここから先が凄いのは、ミュージシャンと自負する以前に、本業が文系の学者であるというその素性故の行動でしょう。
 彼は「現代はピーブロックの歴史上初めて、世界中のピーブロック愛好家誰もがネットを通じて古いソース(楽譜)に容易にアクセスする事が可能になった時代である。」と認識。その一方で、ネット上に溢れるそれらのソースは、長年に渡って伝承されてきた文化の常として「タイトル違いの同じ曲、同じタイトルの違う曲」等が一切整理されずに混在。求めるソースにアクセスするのが必ずしも容易ではない、という事を痛感したのです。

 そこで、次のポリシーを掲げ、

Re-extending the idiom by returning to our historical roots, 
making the tradition available to everyone.

 それを実現するために、とてつもなく地道かつ膨大な作業を開始。それと共に志を同じくするその分野で最も頼りになる人物たちと手を組んでこのサイトを立ち上げたのです。それが、サイトの共同運営者として名を連ねる Barnaby Brown であり、故 Dr. Roderick CannonAllan MacDonald etc.…という訳。アメリカ人たる彼は、最も頼りにするパートナーであり、かつ、生粋のスコットランド人でもある Barnaby Brown を通じて、他のスコットランド在住の専門家たちの知己を得た事は想像に難くありません。
 それにしても、25年ぶりにパイプを手にしてから、たった3年間でこれだけ膨大な資料を見事に整理・整頓、さらに自身でも膨大な数の記事を書いてしまうなんて、やはり学者ってスゴイな〜と思います。

 

■ Alt Pibroch Club サイトの全容 ■

 講演の中で彼はこのサイトには「325を超すページ、825個のPDFファイル、2,100を超すURLリンク」が 有ると述べています。確かに膨大な規模のサイト。しかし、それ以上に絶え間なく膨らんでいくコンテンツにウェッブページのデザインが追いついていない、と いう大きな問題が有ります。セクション毎のデザインが統一され無いままにオープン以来常に工事中といった感じで、屋上屋を重ねた状態。「一体どこが (本来の意味の)ホームページなのか? 全体はどういう構成になっているのか?」と大いに戸惑わされます。

 そんな中、このページを最初に書いた時(2016年11月) には、その時点でこのサイトがどの様に構成されているか?について紹介しました。案の定、その後もページ構 成は刻々と変容し続けました。逐一フォローする事は最初から諦めていたので、紹介している内容と実際のサイトの構成に大きなズレが生じていました。しか し、そんな状態も 2017年後半以降はようやく落ち着きをみせてきました。そこで、この際1年半ぶりに改めて内容をアップデート。以下に紹介するのは、2018年4月時点に於けるこのサイトの概要 です。

 それぞれのスクリーン ショットには、該当ページへのリンクを張ってあるので、別画面でそのページを開きながら読み進めて頂くと理解し易いと思います。

 URL:www.altpibroch.com から判断して、現在のところのここがメインエントランスたるホームページの役割を果たしています。サイトには Musical Materials/Learning Living Pibroch/Bibliography/Pibroch Wiki の4つのセクションがある事が示されています。
 しかし、実はこのページは、その中の一つである Musical Materials のセクションのトップページでもあるのです。紛らわしい限りですが、これもカオス状態の成せる結果です。ページのトップバナーが Alt Pibroch Club - Musical Materials となっているのはそのためです。2016年に紹介した当時は、全体を代表するもう少しホームページらしいホームページが存在したのですが…。

 最初のプルダウンメニュー About には Acknowledgments/Club History and Roadmap/Biographies の項が有ります。各方面への謝辞、この組織の歴史と今後の行程、2人のプロフィール紹介。

 画像イメージの下の太字 Musical Materials をクリックすると次の画面になります。

 Musical Materials セクションには次の7つのメニューが有ります。
 About/Notation by Pipers/Notation Non-Pipers/Explore by Tunes/Gaelic/Alt Pibroch Sites/Contact Us
 そして、これは単に2番目の Notation by Pipers のページが開いた状態です。ですから、ホームページから Notation by Pipers のプルダウンメニューをクリックしたのと何ら変わりは有りません。

 Notation by PipersNotation by Non-Pipers はタイトル通り「パイパーが編纂したソース」と「パイパー以外の音楽家が編纂したソース」を別々に扱って集積しています。それぞれのプルダウンメニューの一番目 Overview & Abbriviations をクリックするとソース一覧のページへ(どちらから行っても同じページ)。省略記号に各ソースへのリンクが張られています。中身はとにかく、どんなソースが有るのか?タイトルだけでもざっとお目通し下さい。

 そして、今後世界中のピーブロック愛好家にとって最も頼りにされるであろう、このセクションの最重要ページ Explore by Tunes。プルダウンメニューの Overview をクリックすると、収録されている全313曲(途中欠番があるのでナンバーは1〜319)のインデックスが表示されます。

 それぞれの曲には Piobaireachd Society(PS)catalogue number という通し番号が振られていて、その数字の所に該当ページへのリンクが張られています。私は、この PS catalogue number という概念がある事はここで初めて知りました。PSサイトの説明ページではゲール語タイトルがメインで、全てに英語タイトルが併記されている訳では無いので、余程の識者以外には使い物になりません。つまり、PS catalogue number を参照するなら APC サイトのこのページがお薦めです。

 でも、PS catalogue number が分からなくても、実際にこのページを活用する時は右上の Search This Site の検索窓に探したい曲のタイトルを入力すれば良し。例として "Lament for Patrick Og MacCrimmon" を検索してみましょう。検索結果が一覧表示されるのでその中から↓該当ページに飛びます。ちなみに、この曲は PS 137 との事。

 最初のプレイボタンは、Alan MacDonald によるゲール語タイトルの発音。この例の様に伝承されているタイトルが複数ある場合は、各々録音されています。

 Primary Sources のリンク先をクリックすると、この曲を収めた主要なソースの該当ページのPDFファイルが表示されます。

  Notes on Gaelic Titles はタイトル通りの解説。曲によって情報の多寡は様々です。

 Archive Recordings が凄い!というのは、この一覧を見れば一目瞭然でお分かりだと思います。
 それぞれのリンク先は、Tobar an Dualchais というサイトで公開されている音源ページ。
 “This website contains over 40,000 oral recordings made in Scotland and further afield, from the 1930s onwards.”とのこと。School of Scottish Studies BBC などによる様々なフィールドレコーディングの音源を集約して公開しているサイトの様です。極めて貴重な演奏音源を飽きるほど聴くことができます。
 私は、John D. Burgess で検索を掛けて、この人のピーブロックの演奏音源については全てダウンロードしました。

 Other Materials からは、pipe|drum 誌 に掲載されている Dr. W. Donaldson の Set Tunes コーナーの PDFファイルにリンクしています。


 2017年に新たなプルダウンメニューとして By Tonality & Sturcture ページが登場。
MusicalMaterialsT&S.jpg

 313曲全部について、使われている音の組み合わせ構造について分類されています。表計算ソフト形式になっているので、タイトル行の▲▼ 部分をクリックすると、各要素毎に並び替えが可能です。
 …と言っても、このページには記号等に関する説明が有りません。ですから、左半分の音の組み合わせについては、何となく推測が付きますが、右端の構造に関する記号は?

 実はこの一覧は、Barnaby Brown による長年の研究成果 "A map of the pibroch landscape, 1760–1841" で示した一覧表です。一覧表の意味するところ、そもそもの記号の説明や表の活用方法については、論文本文及び付属する記号の説明表に目を通す必要があります。確かに、一つ前の Overview のページにはその旨の説明とリンクが有るのですが、どうせならこのページにも説明とリンク先を表記して欲しいところです。
 この論文に目を通すと何となく理解できますが、この表は実に示唆に富んでいます。自身が直感的に好む曲の傾向の根拠の一つとして、その音の組み合わせと構造からも一定の俯瞰が可能な様な気がします。

 さらに、もう一つのプルダウンメニュー By Tempo ページも登場。
MusicalMaterialsTempo.jpg

 これは、ソースとなる楽譜に Urlar(と一部の Variation)の演奏テンポについて記載されている例について、その記載を抜き出して一覧にしたもの。対象は63曲。

 次は Mucical Materials の次のプルダウンメニュー Gaelic のページ。



 ゲール語どころか英語もロクに出来ない私にとっては正直「猫に小判」状態ですが、このページの膨大な資料の価値が甚大だという事は理解できます。現時点でのボ リュームも相当なものですが、さらにどんどん追加されている様なので、理解力が有ればこれだけで存分に楽しめるはずです。


 Musica Materials のメニューを一巡したら次はホームページに戻って Learning Living Pibroch の文字をクリック。このサイトの中核となるセクション。常に何らかの情報発信がされています。トップページは URL:learning.altpibroch.com

 このセクションではブログ形式なので、デザインが他のセクションと著しく異なります。
 タイトルイメージの(下でなくて)上に次の8つのメニューがあり、クリックするとプルダウンメニューが現れます。 (こちらは大文字表記/書体も微妙に異なる)
 HOME/ABOUT/LEARNING PIBROCH/CANNTAIREACHD/APC SITES/POST/HOMEPAGE

 このセクション全体を総括したタイトルが “Alt Pibroch Club - Learning Living Pibroch” なのですが、その中のメニューの一つに LEARNING PIBROCH というコーナーがあるのも、混乱させられる要因の一つ。
 順序は前後しますが、まずはその紛らわしいタイトルの項目から紹介します。

【LEARNING PIBROCH】
 プルダウンメニューは次の通り。
 An Introduction/On Interpretation/Cadences/Genres and Tempos/Urlar Refrains/Taoluath and Clunluath Styles/New Angle on Old Embellishments/On Hannay-MacAuslan: Discovery

 私も最初は勘違いしたのですが、"Leaning (Living)Pibroch" とは「ピーブロック(の生きた表現)について学ぶ」コーナーであって、単純な意味の "Learning Pibroch Playing"「ピーブロックの演奏テクニック(だけ)を学ぶ」コーナーではありません。中身は極めて学究的で、J David Hester が古い楽譜の探索から到達した、ピーブロックという崇高な文化の受け止め方を考える(させ)のが、その趣旨です。

 ですから、このセクションに入ったら、まずはこの項のプルダウンメニュー各項目全部に、順次目を通す事をお薦めします。画像や音源資料なども織り交ぜながら盛り沢山ですが、J David Hester の想い、主だった古い楽譜の名称&背景、各種用語等をまず頭に入れる事によって、その他の記事の理解が容易になります。ブログの過去ポストから転載された文章もあるようですが、主にはオリジナルに書き下ろされた文章です。

 実は、ここで書かれている内容について J David Hester が自らカメラの前で熱弁を振っている動画が、YouTube の Alt Pibroch Club のチャンネルに アップされています。最初から英語のトークを聴くのは腰が引けるでしょうが、まずは活字に目を通された後にでも、是非一度眺めてみて下さい。彼のピーブ ロック文化に対する熱い想いがひしひしと伝わって来ます。同時に、私たちも「標準化されたピーブロック表現」の呪縛から解放されて、果てしないピーブロッ クの大海原を自由に漕ぎ回っていいんだ、という気持ちにさせられます。見れば勇気百倍!「よ〜し、自分もピーブロック道ガンバルぞ〜!」と、鼓舞されます。

【ABOUT】
 カーソルを当てると "Who are we?" というページに。ホームページの Biographies と同じポートレイトを使った2人のプロフィール紹介ですが、内容は微妙に異なります。こちらの方が後日書かれているので濃い。

【HOME】
 ホームページから Learning Living Pibroch の文字をクリックして最初に辿り着くのはこのページ。ポストの表示ページです。ブログ形式ですから、常に最新のポスト(投稿)がトップに表示されます。

 多い時は月に10件以上のポストがあり、その殆どが J David Hester によるもの。中にはイベント告知などニュース性のあるポストもありますが、多くは彼が古い楽譜と向き合っていて気付いた(発見した)様々な情報。いつも新しい発見に興奮した様子で連綿と書いているので、其々がかなりのボリュームです。

 カテゴリー分けはページの左下に…。
 Announcements/Compositions/Events/General Information/Historical Documents/Interviews/Learning Interpretations/Modern Traditional Piper/Performances/Proposals

 2016年10月初旬にデザインが変更される以前はこの他にカレンダー表示もあったので、私は 2016年夏の3ヶ月間ほどを掛けて過去3ヶ年分の投稿を過去から最新へと時間軸を追って順に読破しました。確か最初の投稿は2013年秋頃で、3ヶ年分 のポスト総数はおそらく 2〜300程度はあったと思います。現在のデザインではパッと見でポスト数が定かに分か りませんが、おそらく総ポスト数は今では数百は下らないと思われます。
 特に Compositions/Historical Documents/Learning Interpretations/Modern Traditional Piperr/Performances といったカテゴリーが主要テーマ。興味ありそうなカテゴリーに分け入ってそれぞれ膨大な量の記事を存分にお楽しみ下さい。

 本音を言わせてもらうと「この様なサイトにブログ形式は如何なものか?」と疑問を感じます。
 ブログ形式は日記や最新情報を提供するのが目的のサイトには適しています。しかし、時間経過とは関係のない情報を掲載するサイトに適しているとは思えません。カテゴリー分けされていたとしても、トップに表示されるのは常に 最新のポスト。連載物を最初から読もうとするとまずは連載スタートのポストまで、過去に遡っていく必要があります。また、一度サイトを閉じて しまうと、再度開いた際もトップにはまた最新のポストが表示されるので、前回の続きを読もうとした場合も同様です。

 そもそも、英語力も音楽学理理解力も極めて貧弱な身にとっては、どんなに興味深い記事でも一度目を通した位では、中身の数パーセントも頭に入って は来ません。何度も繰り返し読み返して徐々に飲み込めて来る訳ですから、記事へのアクセスは出来るだけ簡単にして欲しいのです。まあ、そんな読者は想定し ていない、と言われたら身も蓋もありませんが…。

【CANNTAIREACHD】
 Barnaby Brown によるカンタラックに関する論文ページ。音声資料などへのリンク多数。


 次はホームページから Bibliography セクションのトップページへ。URL:bibliography.altpibroch.com

 Musical Materials のセクションと共通デザインで、タイトルイメージの下に次の6つのメニューがあり、クリックするとプルダウンメニューが現れます。
 Home/Cannon’s Research/Modern Research/Bibliographies/Alt Pibroch Club/Contact Us

 メニューの書き方(文字、表記etc.…)がトップページ毎に微妙に異なるのも、ここまで来るとご愛嬌。ここでは、この Home という名のトップページに About として、このセクションの説明があります。

 Dr. Roderick Cannon の名をバグパイプ界に一躍知らしめた1980年リリースの索引本 "A Bibliography of Bagpipe Music" を常にアップデートして公開しているページです。
 この手の索引本は、リリースから年月を経て新しい情報が入らなくなると途端に陳腐化、単なる過去の参考文献になってしまうものです。そこで折角の力作を腐らせないためにニュージーランドの Geoff Hore という人が、その後も一途にアップデート作業を行っていたようです。そして、Alt Pibroch Club サイトがスタート時点から一つのセクションとして、ネット上に公開されました。残念なことに、Geoff Hore さんは2015年に亡くなられた様ですが、クラブとしてアップデート作業を継続している様で、情報提供も呼び掛けられています。


 最後は Pibroch Wiki セクション。2017年6月25日のブログで開設がアナウンスされましが、中身については現時点では殆ど進展していません。URL : wiki.altpibroch.com/p/Main_Page

AltPibrochWiki.jpg


 以上が、概ね APC サイトの2018年4月時点に於ける全体像です。
 …と締めくくりたい所ですが、実はこの他にも 2016年10月下旬に URL:www.altpibroch.com/about/ というサブエントランス的ページがいきなり登場した経緯があります。一見して他のページとは全く違ったモダンなデザイン・フォームを使っているのが分かります。このページも 御多分に洩れず登場直後からデザイン&レイアウトがどんどん変化し続けました。しかし、1ヶ月程で殆ど中身が無いままに改良(?)作業はピタッとストッ プ。ここ一年半はほぼ放置状態です。

 ただ、最初にこのページが登場した際、これまた何の説明も無いままに上で紹介した4セクションとはまた別の History & Imagination というセクションが登場。このページからそのセクションへのリンクが張られていました。ところが、一週間程でリンクは無効になり、現在ではメニューの HISTORY & IMAGINATION の文字をクリックしても別ページが開くだけ。…なので、今ではこのセクションは知る人ぞ知る「幻のセクション」状態になっています。

 とりあえずここでは、当時はリンクされていたこの History & Imagination セクションの概要を紹介します。ページ自体は存在しているので URL:history.altpibroch.com は↓スクリーンショットからリンクしています。

 基本的には Musical MaterialsBibliography のページと同じデザイン。タイトルイメージの下に次の6つのメニューがあり、クリックするとそれぞれ幾つかのプルダウンメニューが現れます。
 About/Stories/People/Sources/Alt Pibroch Club Sites/Contact Us

 トップページたる About で趣旨説明。以下、実際のコンテンツたる Stories/People/Sources の中身はこのセクション登場した際のごく限られた内容から進展していません。このセクション自体も放置状態といえます。


 次々と新しいセクションやエントランスページを試すのはいいのですが、完成させないまま放置する位なら、一旦削除すればいいと思うのですが…。

■ もう一つのピーブロックの世界を楽しむ ■

 以上、ご紹介した通りこのサイトはデザイン・レイアウト的には依然としてカオス状態にある事は否めません。しかし、このサイトの絶対的な価値に比べたら、それはほんの些細な事と思って我慢しましょう。世界中のピーブロック愛好家にとって、このサイトの登場は「21世紀のピーブロック文化大革命」と言っても過言ではないと思います。

 19世紀後半以降、ピーブロック文化の喪失を懸念した(パイパーの雇い主たる)貴族階級の人々が、ピーブロック文化の《保護》に乗り出します。そして、アマチュアジャッジの 役目を果たす自分たちにとってパイパーの演奏技量を判定し易いよう意図的に「標準化」。1903年のピーブロック・ソサエティー設立の趣旨は正にそこに あったと思われます。しかし、その事が本来もっとバラエティーに富んでいたはずのピーブロックの表現をある一定の範囲内に押し留めてしまった、と云う事は 否めません。

 1970年代以降、その事に気付いた一部の探究心溢れるパイパーや研究者が、18〜19世紀初頭に出版された楽譜や残されたマニュスクリプトを頼りに、当時の姿の再現に取り組み始めます。その当時はそれらが収蔵されている National Library of Sotland(NLS)などに出向かなくては、実際に譜面を目にすることが出来なかった訳ですが、ネット時代の到来でその状況は一変。21世紀を迎えて、今では誰もが自由に「もう一つのピーブロック」の姿を垣間見る事が可能な時代が到来したのです。Alt Pibroch Club を運営する J David HesterBarnaby Brown のご両人は、この新たな潮流の水先案内人と言えましょう。

 ご両人とも《音楽理論》に詳しい《学者》であり、当然ながら「楽譜が読める」人種なので、そもそも私の様に「楽譜が読めない」者にとっては、このサイトの内容はそれだけで相当ハイレベル。Learning Living Pibroch に連綿と綴られる情報がいくら興味深く思えても、正直なところ私がそれらを完全に理解できているとは到底言い難い所です。本来、私などは「まずは《標準化された》ピーブロックに取り組むのが先だろう!」と言われるのが関の山でしょう。

 …とは言え、私自身にとっては "Sister’s Lament" のように「何故か耳に残る旋律を辿るとそれは古(いにしえ)のセッティングだった。」という経験があります。…であるならば「もう一つのピーブロック」からあえて目を逸らす事も無いと思うのです。僭越ながら、今後ともご両人の水先案内に身を任せつつ「もう一つのピーブロック」の大海原での航海を楽しみたいと思います。

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