パイパー森の音 のある暮らし《2020年

2020/1/26
(日)

Lament for the Children
Donald MacDonald セッティングを
Blair Digital Chanter
で録音してみた

 歳を取ると何 事についても直ぐに記憶が朧げになってしまうので、Blair Digital Chanter がいつリリースされたのかについての記憶は定かでは有りません。
 そこで、ボブさんのフォーラムで検索してみると、2017年のクリスマスに奥さんからプレゼントされたり、セルフプレゼントした人の投 稿がヒットしました。どうやら、2017年末頃リリースされた様です。私自身も、恐らくその頃にそれらの記事を 読んで気になり始めていたと思われます。
 暫く我慢した挙句にオーダーしたのは 2018年3月下旬の事(ちっとも我慢していな い?)。そして、サイトで告知されていた約1ヶ月のウェイティングタイムを経て、手元に届いたのが5月上 旬の事でした。

 私がオーダーしたのは、Engraved Aluminium Mounts タイプ。彫刻の無いタイプに比べると$133 AUD高くなりますが、Hand Engraved Victorian Mounts というスペックにやられました。私はこの手の(手彫り)装飾に弱いんです。配送手数料 $60 AUD を含めてトータル $1,042 AUD、当時のレートで 90,069円でした。

 普段の私なら、こんな興奮させられるブツを手にしたら早々にここに書いている所でしょうが、そうしなかったのには訳が有り ます。
 実は、手元に届いてからほぼ1年間、このデジタル・チャンターを殆ど手にしていなかったのです。何故かと言うと、この チャンターの最大の特徴である指穴の感度の調整が上手く出来無くて使い物にならなかったのです。

 この Dチャンターは Fagersrom の Technopipes などの従来型の Dチャンターと異なり、指穴に当たる場所に電気的な接点は無くて、本物の指穴が空いています。そして、本体に仕込まれたセンサーが指の動きと皮膚の反射に 反応して音を出す仕組みになっているのです。非常に凝ったシステムでセンサーの感度も自在に調整する事が可能。
 しかし、これがなかなか曲者で、センサー感度を調整して個々の指のスウィート・スポットを見つけ出すのが結構難しい。
 今では「難しい」と、つまり「スウィート・スポットを見出す事が可能な事」を前提に書いていますが、当初、このチャンター を手にして、あれこれいじり回していた時には「これはアカン。このセンサーはアホや(何故 か関西弁)。」とシステム自体を否定してしまいました。つまり、サジを投げたのです。

 それ後の1年間はこれまでの通り Technopipes が私の練習の友でした。

 しかし、ほぼ1年以上が経過したある時「10万円近く投資したのに、このままでは余りにも勿体無い」と一念発起。再度、 じっくりとセンサーの感 度調整に取り組んでみました。そうした所、今回はなんとか上手い具合にスウィート・スポットを発見する事が出来たのです。私の Blair Digital Chanter は見事に蘇りました(勝 手に殺すな!)
 
 この Dチャンターのもう一つ優れている所は、ソフトウェアのアップデートが可能な事。
 私が購入した時の初期設定では、Highland Bagpipe、Scottish Smallpipe、Practice Chanter の音色に対応していましたが、その時点でも将来的なソフトウェアのアップデートが予告されていました。
 そして、丁度私がこのチャンターを蘇えらせた2019年6月頃、サイトに新しいソフトウェアがリリース。今では Blair Digital Chanter は9つの音色に対応しています。
 更に、2019年後半のいつ頃だったかは忘れましたが、サ ウンドにエコーがオンできる様になりました。これが実に楽しい。サイトの説明にも書かれていますが、まるでコン サートホールやエジンバラ城で演奏している様な気分に浸る事が出来るのです。

 そんなかんなで、最近では手のひらを返した様に、この Blair Digital Chanter が 無くてはならない存在になっています。

 ↓は "Lament for the Children" の Donald MacDonald セッティングの Urlar です。スコアをクリックすると 1st ラインを Blair Digital Chanter で 演奏した音源が流れます。


2020/2/25
(火)

Donald MacDonald
セッティングの音源

 さすがは、Robert Wallace、彼がピーブロック・ソサエティーのプレ ジデントになって以来、会員宛に毎月ニュースレターが届く様になりました。会員の方には2月23日夜に最新の "PS President's Newsletter February 2020" が配信されたと思います。

 お気付きになったかもしれませんが、前プレジデントの Jack Taylor によってサウンドアーカイブに5人のパイパーの幾つかの音源が追加された事が知らされて います。
 その中で注目は、Patrick Molard による次の4つの音源。どれも ground だけですが…。

  1. "Leacran", the Campbell Canntaireachd version of "Half-finished Piobaireachd", with score taken from the Campbell Canntaireachd,

  2. Donald MacDonald settings of the grounds of "Lament for the Union", "My King has Landed in Moidart", "Lament for the Children".

 最初の "Harlf-finished piobaireachd" の音源は全く初めてです。CC では、"Leacran" というタイトルになっています。
 Molard Taylor による Campbell Canntaireachd 楽譜集 "Pipers Meeting" には未収録ですが、PS Book No.14 P486 に楽譜があります。

 後の3つは何よりも嬉しい(…と思ったのは) Donald MacDonald Setting
 特に、"Lament for the Children" は何よりです(…と思ったのですが…)。

 しかし、この方は、Donald MacDonald Setting に特徴的な3連符のカデンスを現代風なEホールドのカデンスで演奏するし、"Lament for the Union" の Hiharin を birl で演奏するので、どれも中途半端な印象でイマイチ。

 実は、これまで Pipeline などでオンエアされた Donald MacDonald Setting の(その他の名の知れたパイパーの)音源に於いても、同様の例は多々見られます。かの Willam MacCallum による The Sister's Lament もそうですね。

 誠に僭越ですが、Donald MacDonald Setting で演奏する際は、肝心な装飾音をそれらしく表現して欲しい所です。

 やはり、Donald MacDonald Setting の演奏を聴くのであるなら、本家本元の Donald MacDonald Quaich でのパフォーマンスが極め付だと思います。

 そう、今、私が最も渇望するのは、Glenfiddich でも、Oban でも、Inverness でも、PS主催のピーブロック・リサイタルでもなくて、この Donald MacDonald Quaich の動画(ライブでもビデオでもなんでも良いから…)配信です。    

2020/3/30
(月)

iMac 27
HD → SSD換装

 現在使ってい る iMac 27 の購入に至った経緯については 2014年 11月18日に書いた通りです。その iMac 27、 ハードディスクが4年でお陀仏になった前の iMac 21よ りは少しマシではありましたが、やはり6年に満たずともハードディスクがイカれました。

 最近の兆候として、スリープから復帰した際に度々フリーズし、フリーズから復帰すると起動時のサインイン画面に戻る、と言 う怪しげな症状が頻発していました。ネットで検索して、その様な症状の際に行うべきクリーニング操作を幾つか試しましたが、 根本的な解決には至りません。

 2017 年5月24日には Time Machine バックアップ用として I-O DATA HD 2TB を購入した経緯を書きましたが、その後、信頼性の低い AirMac Time Capsule はキッパリと諦め、代わりに BUFFALO 2TB HD を導入。この2台で Time Machine バックアップ体制を構築して来ました。

 数日前の朝、本来ならほぼ1時間毎に自動的に実行されている筈のバックアップが、2台とも丸一日近く実行されていないこと に気付きました。直ぐに手動でバックアップしようとしますが、2台とも実行できないとのメッセージ。

 ディスクユーティリティを起動して2台にチェックを掛けましたが異常無し。そもそも、2台の外付けHD が同時にイカれる事は考え難い。…で、次は本体側(SSD&HDのフュージョン・ドライブ)をチェック。案の定、異常有りでした。それもディスクユーティ リティでは修復が出来ません。

 仕方無いので、iMac をリカバリーモー ドで起動して "macOS復元" を立ち上げます。まずは Time Machiene からの復元をトライ。しかし、進捗スピードが余りにも遅く、残り時間が何千時間と表示されたまま遅々としてオペレーションが進みません。

 そこでいよいよ最後の手段、macOS の再インストールを開始しました。実は、1年ほど前にどことなく動作が鈍くなって来た事に剛を煮やして macOS を再インストールした経験があったので、この時もさほどの不安感をもたずに早々に実行。

 しかし、ここでも開始早々に表示された「残り20数時間」という表示がなかなか減らず、「あれっ、こんなだったかな?」と 不安が募ります。まあ、再インストールさえ無事に終えられれば…、と諦めつつ待つしかありません。作業を開始したのが、夜の 9時過ぎだったので翌日までは iMac の事は忘れる事にしました。

 そして、翌日のほぼ同時刻、残り時間が「あと6分」と表示された所で iMac の前で待機開始。まあ、この様な残り時間表示というのは極めて当てにならないものなので、さほど焦らずにジッと待ちます。案の定、6分なんてあっという間 に過ぎて、表示は不変のままに更にその何倍かの時間が過ぎ、流石にもうそろそろ完了かな?と思い始めた頃、突然「ナンチャラカンチャラの理由でオペレーションが完了できません。」と 言ったメッセージが表示されて、再インストール作業が完了間際でストップ。

 「ええ〜、そりゃないだろう!」と頭から湯気吹きがら、でも他に方法は思い浮かばないので、もう1日待つ覚悟で再インス トールに再度トライ。ところが、今度はそのコマンドさえ拒否されます。いよいよお陀仏か? でも、前回 2012年の iMac 21のトラブルと は症状が異なるので、その原 因がハードディスクなのか、或いは他の何かなのか?イマイチ判然としません。

 翌朝、前回お世話になった KSCAT に電話。技術者に状況を説明すると、即答で「ハードディスクが原因」との診断でした。そして、フュージョンドライブの1TB HD をSSDに交換することを勧められました。確かに今更同じスペックの HD に交換したくはない所ですが、SSD 交換となるとコストが気になりました。なんとかストレージの中身をダイエットして 500GB位の SSD にダウンサイジングも有りかな、と思いを巡らせます。
 ところが、電話の向こうで「最近はSSDも随分安くなったので、1TBのSSDに交換する経費は 35,000円です。」と言うのです。実質的に前回の500GB HD 交換と大差ない値段で、1TBのSSDに交換できるとあれば逡巡するまでもありません。異議なくお願いする事に決めました。更に、元のフュージョンドライ ブの 128GB SSD はそのまま残るので、ストレージの容量は実質 1,128GBとなるとの事。4年でハードディスクがダメになった前の iMac 21より1年半長く持ってくれたお陰で、SSDの値下がりが進んだので、交換のタイミングと しては悪く無い様に思えました。

 今回は、持ち込みはせず、宅配便で往復。2泊3日の修理入院で iMac 27の1TB HD は1TB SSD に換装されて戻って来ました。 送る際に宅配便送料が2,000円以上掛かりましたが、返送料は KSCAT 持ちなので、実質工賃は 33,000円弱で済みました。

 夕方に自宅に戻った iMac 27 は 直ぐ に Time Machine のバックアップから数時間掛けてデータを移行。その日の内にはこれまで以上にサクサクと動く iMac 27 として蘇りました。システム起動 の時間もこれまで以上に素早く、実に快適です。

 iMac の入院中に iPad でネット検索してHDとSSDについて 色々と勉強して、HD の寿命が4、5年と言うのは極々当たり前の事だと認識しました。また、その一方で SSDについてもそれなりに寿命が有ると言う事も分かりました。

 そんな知識がついてくると、現在の HD 2台による Time Machine バックアップ体制にも不安を感じる様になりました。そして、将来的には少なくともバックアップの1台は SSD にしようと決意。本体ストレージの中身も思い切って断捨離すれば実際には500GB程度しか使わないので、バックアップ用のストレージ容量は1TBでも十 分に間に合いそうです。

 早速、ネットで外付け SSDを検索。KSCAT の技術者が言った通りでSSDの値下がり著しく、1TB SSDならば1万円強出せば入手可能だと分かりました。SSD 値下がりの傾向はまだまだ続きそうなので、どちらか1台のHDが怪しくなるまでギリギリ待って、購入時期をできるだけ遅らせれば、出費がそれだけ抑えるら れる事を確信しました。

2020/4/2
(木)

巣篭もりの日々

 先日、APC Guide to Pibroch を通読&演習しました。これで3度目になりますが、取り組む度に理解度が深まっている事は確か。途中折々で行うデジタル・チャンターでの演習も含めて、演 習後はささやかな達成感が得られます。

 今回は巻末に Joseph MacDonaldThe Compleat Theory of Scots Highland Bagpipe のフォトコピーが掲載されている事に触発されて、久しぶりに復刻本を取り出して きました。
 振り返ってみればこの復刻本と出会ってから丁度4半世紀が経過。隠すまでもありませんが、その当時の私にとってはその内容 は正に「猫に小判」状態。ページを開いて得られるのは《過去の遺物》にざっと目を通して「ピーブロックの奥深さを知る自己満 足感」だけでした。

 しかし、今回は違います。現在の私にとっては、そこに書かれている事は正に《生きた教則資料》として、オールド/トラディ ショナル/オルタナティブなスタイルのピーブロックを演奏する上で得るものが多々ありました。25年の歳月を経て、ようやく 自身のレベルがこの本の内容に追いついた事を実感します。

 そして、Roderick Cannon による重箱の隅を突く様な解説文を理解できる様になった事に自信を深めた私は、次のステップとして Donald MacDonald Book(1820)の解説本に取り掛かり始めました。

 DM Book 解説本の本文ページ数は、追補、インデックスを除くとおよそ115ページ。収録されている曲数は23曲で、それぞれの楽譜が(1曲を除いて)1ページにま とめ られてます。
 楽譜は必ず右ページに掲載され、左側ページに書かれているその曲に関する解説文と併せて、見開きで目に入る様に設えられて います。
 因みに楽譜が1ページに収まりきらず2ページ(解説文と合わせて4ページ)になっている1曲は、あの "Lament for Patrick Og MacCrimmon" です。

 つまり、個々の曲の楽譜&その曲に関する解説文からなる楽譜セクションは全部で 48ページ。以前、デジタル化したのはこの楽譜セクションのみです。残りの差し引き 67ページが純粋な意味での解説文という事になります。
  ページ数的にはさほどボリューム感は感じられないかもしれませんが、縦横345×245mmという大判サイズの誌面に、ビッ シリと細かな文字で埋め尽くされてるので、実際のボリュームは半端じゃ有りません。
 また、Cannon 本の常で、本文よりも更に小さな文字で書かれている脚注が、時にはそのページの1/3から1/2にも及ぶページもあり、読み進める際は目が上に行ったり下 に行ったり と大忙しになります。日頃使っている度数2の老眼鏡を 2.5の物に取り替えて四苦八苦しながら読み下しています。

 パイプのかおり第 27話で書いた様に、2006年に DM Book を購入して直ぐにこの部分にも一通り目を通しました。今回、改めて目を通してみて、あちこちに黄色のラインマーカーが引かれていて、それなりに読解しよう と奮闘した形跡が垣間見えました。…とは言っても、当時はまるでチンプンカンプンだったのでしょう、その内容は殆ど頭に残っ ていませんでした。

  しかし、Joseph MacDonald 本と同様に、オールド/トラディショナル/オルタナティブスタイルに目覚めた後の今回は違います。読み始めた途端に、目から鱗が落ちる様に次々と様々な事 が解って来て、面白くて面白くて仕方ありません

 iMac27の大画面にデジタル化した楽譜部分を画面一杯に開いて、解説文で触れられている箇所を折々にデジタル・チャン ターでなぞりながら、右手にマーカーを持って食い入る様に読み進んでしまいます。

 まだまだ巣篭もりの日々が続きそうな状況ですが、解説本文が終わったら個々の曲の解説部分が…、そして Book が 終わってもほぼ同じボリュームの MS があるので、当分は楽しみが尽きそうにありません。なんとか、この楽しみが尽きる頃には、新型コロナウィルスの猛威が収まってくれる事を願うばかりです。

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