パイパー森の音 のある暮らし《2024年

2024/1/6
(土)

ネックバンド型
ワイヤレス・イヤフォン
 昨年2月に「さらば、AirPods」と題し て、AirPods に見切りをつけて、ワイヤード・イヤフォンに回帰した事を書きました。そして、5月にはサイクリング用に2つ目を購入した顛末も…。

 ところが、先日、再びワイヤレス・イヤフォンを購入しました。但し、今回購入したのは AirPods の様に左右のイヤープラグが独立した完全ワイヤレスでは無く、首の後ろに回すケーブル(ネックバンド)で左右のイヤープラグ がつながっているタイプ。

 AirPods の後に続けと、左右独立型のワイヤレス・イヤフォンも今では各社から多種多様な製品が世に出回っています。値段的にも安価なモノは十分に安価。…ですが、 同じ様な躯体サイズから推して、AirPods におさらばした理由(バッテリー自体の寿命の短さ)という問題点がクリアできている、とは到底思えません。ですから、私としては、画期的なバッテリーが登 場するまでは、この様な完全独立タイプのイヤフォンに手を出す気持ちには、中々なりません。

 一方で、ネックバンド型は多くの場 合、コントローラーやマイクを納めた躯体が別になっているので、十分なバッテリー容量も確保可能でしょう。今回目に留まった ソニーWI-C100 という製品も、コントローラー部が結構大きい上に、肩に掛けた時のバランスを取ってズレない様にする為なのか、もう一方にも同じ大きさのユニットが付いて います。バッテリーは左右のユニットに分けられて納められているのかもしれません。十分なバッテリー容量が確保されていれ ば、バッテリーが徐々に劣化した場合でも、残存容量が極端に少なくなって使い物にならなくなる、なんて事もないのではなかろ うか? …というのが、今回再びワイヤレス・イヤフォンに手を出した理由。

 その読みが当たっているのかどうかは今の所分かりませんが、少なくとも使い始めてみて、この製品の「最大25時間再生」と いう売りがあながち外れてはなさそうだと実感します。毎回、装着してスイッチオンすると、音声でバッテリー容量を伝えてくれ るのですが、2、3時間使って後でも、「電源が入りました。バッテリー約100%」というメッセージが流れます。

 価格はソニーストアで ¥4,950(税込)ですが、Amazon の新春セールに於いて ¥3,300(税込)で購入できました。正直、これならばワイヤード・イヤフォンと同程度の価格。ワイヤーが 切れるか、バッテリーがお釈迦になるかの違いはありますが、いずれにせよ、この程度の価格であればどちらも、寿命が来る頃に は「元は取れた」と感じる事ができるでしょう。

 最新の機種だけあって、専用のアプリも用意されていて、イコライザ設定なども iPhoneでのコント ロールが可能。音質的にも最上級とまで言えないまでも、十分に満足すべきレベルです。一方、Apple Watch さえ有れば、コントローラーは電源オンオフ以外使う事はありません。

 レビューの中でも、左右独立型にどうしても馴染めないとか、片方を無くしてしまったなどの理由で、ネックバンド型に戻る人 も珍 しくはなさそうです。然もありなん。今にして振り返れば、バッテリーの問題だけでなくて、やはりどうしてもある程度の重さになってしまう左右独立型の 躯体には、そもそも自分も馴染めてなかったのだな〜、と思い当たりました。

 その昔、自分としては、イヤフォンと言えばソニー一択という時代がありました。今回のワイヤレス・イヤフォン回帰は、同時 に 私にとっての久しぶりのソニー回帰でもあります。

2024/1/20
(土)

Dastirum
by Jan B.

 つい先日まで (…と言っても2〜30年年前)、ピーブロックの音源(動画は言うに及ばず)をゲットするのに散々苦労していた事が、まるで 信じられない様な時代が到来。ネット経由で何でもゲット(有料、無料問わず)できる時代になりました。
 以前は、他人に「ピーブロックはこんな音楽です」と伝えたいと思っても、カセットテープに録音した音源を直接手渡しするで もしない事には、伝える術がありませんでした。しかし、今なら「この YouTube 動画観て下さい」と URLを伝えるだけで目的完了です。

 YouTube のピーブロック動画の多くは、コンペティションやコンサートの記録ですが、コロナ禍時代を経て最近多くなったのは、いわゆる「〇〇〇〇をやってみた」系の 動画。その様な動画は当然ながら素人さんの演奏が多く、パフォーマンス的にはイマイチな物もあります。ピーブロックという楽 曲は安定したドローンノートがあってこそのモノなので、その様な動画に出会っても、出だしでドローンが安定していない場合、 まずその先 を観る事はありません。

 先日、"The Cave of Gold" を演っている、その様な類の動画に出会いました。何気に観始めた所、素晴らしく安定したドローンだったので続けて鑑賞。ただ、この方、腕全体に入れている タトゥーが半袖シャツから丸見えで、決して見栄えが良いとは言えません。どちらかと言うと、《観る》では無く、《聴く》鑑賞 です。

 一通り鑑賞が終わった所でこの方の YouTube チャンネルを訪問してみると、何とそのタイトルが Dastirum。これは怪しい。
 最も古い13年前の動画以来、全部で45本の動画がアップされています。エレクトリック・チャンターによる演奏やライト ミュージックなどもある中で、パイプによるピーブロック演奏は16本。殆どが全曲モノですが、2曲については Urlar のみ。

 手始めにパイプによるピーブロックとしては最も古い、2011年にアップされている "Lament for Mary MacLeod" を鑑賞する事に…(因みに、この当時はまだ腕にタトゥーは彫られていないので、 若干は観るに耐えられます)。…すると、いきなり出だしの cadence を run で演奏し、続く hiharin(正確には harin の部分というべきでしょうか?)は George Moss が伝える清く正しいタイミングの hiharin。解説には「自分の好きな曲」と言う事と、ミスした箇所を謝る 以外には、特段の説明は書かれていませんが、紛れもなくオールド・スタイルの演奏。びっくり仰天です。

 新ためて居住まいを正し、その他の演奏をチェック。解説部分に演奏しているバージョンが書かれているモノもありますが、殆 どは至って素っ気ない解説。どちらかと言うと、演奏しているパイプのドローンとチャンター、そして、それぞれのリードやバッ グに関する説明が詳細です。1905年製 MacDougall パイプや1930年代製 Henderson パイプ等の名前が出て来る所を見ても、かなりの通と見受けます。

 アップされた年代順に並べた16曲の一覧は次の通り。
 カッコ内のバージョンは、各動画の解説欄に記載されているモノ以外は私の見立てです。また、何も書かれていない曲の場合で も、cadence を run で演奏している箇所など、オールド・スタイルな表現の箇所もそこここに見受けられます。
  1. Lament for Mary MacLeod (Alt Style/14:16(2011)
  2. Massacre of Glencoe (Campbel Canntaireachd ver.)/ 2:30(2012)
  3. Lament for MacDonald of Kinlochmoidart's No.2 (Urlar / Alt Style from Allan MacDonald)/1:54(2013)   
  4. Lament for Donald of Laggan / 7:23(2015)
  5. MacCrimmon's Sweetheart / 11:30(2015)
  6. Struan Robertson's Salute / 9:06(2015)
  7. Hector Maclean's Warning / 9:00 (2016)
  8. Pretty Dirk / 5:04(2016/at the MacCrimmon Cairn)
  9. The End of the Great Bridge / 11:06(2019)
  10. Lament for the Old Sword (Donald MacDonald setting)/ 8:06(2019)
  11. MacKintosh's Lament (Donald MacDonald setting)/ 12:48(2020)
  12. MacLeod's Controversy / 6:55(2020)
  13. The Cave of Gold / 11:14(2020)
  14. The Little Spree / 9:52(2020)

  15. Lament for the Viscount of Dundee /11:03(2022)
  16. MacDougall's Gathering (Urlar / Angus MacArthur setting)/1:48(2022)
 解説部分にある URL から動画投稿者のブログに行くと、何とそのタイトルは Dastirum gu seinnim piob! ー I'm proud to play a pipe! つまり、Barnaby Brown プロディースによる Allan MacDonald のアルバム "Dastrium" のタイトル曲名です。

 そして、Jan B. と言うハンドルネームのブログ主はドイツのヘッセン州に住む男性。職業はバグパイプ教師とありました。殆どがドイツ語で書かれたブログなので、まだ(翻訳 ソフトに掛けて)目を通していませんが、上の様な状況から推して、National Piping Centre 等Allan MacDonald の指導を受けた経歴 の持ち主だと思われます。

 香港の Chris Lee やこの人の様に、Allan MacDonald の教えを伝える若いパイパーが、 次々とオルタナティブなピーブロックを、ごく当たり前のごとく表現し始めている様です。世の中、捨てたもんじゃ無い、とホッ としま す。

2024/1/28
(日)

Dastirum
by Jan Belak

 ↑の日記を読 んで、bugpiper さんが Jan B. のブログの 2019年のページ全体を Windows Edge ブラウザーに付属した翻訳ソフトで翻訳した PDFファイルを掲示板に投稿してくれました。

 あらま〜、いつの間にかそんな事が簡単に出来る時代になっていたのか、とびっくり。私の使っている Mac 標準のブラウザー Safari はその点では未だイマイチですが、グーグル Chrome ブラウザーでは同様の機能が有って、言語選択アイコンをクリックするだけで望みの言語に変換してくれました。

 ゾッとしたのは、つまりはこのサイトもその様にして海外の人々がごく当たり前の様に目を通している可能性があ る、という事。今まで、「どうせ日本語サイトだから。」と、好き勝手な事書きまくっていましたが、今後は必要以上に過激な表 現は控えよう、と自戒しました。

 サイトのページを一気に翻訳できるとは知りませんでしたが、 DeepleGoogle 翻訳ソフトのお世話になっているのは、ご存知の通り。最近の私のコンテンツはそれらに頼りっきりなのは言うまでもありませ ん。
 ただ、英語→日本語については、まだまだ精度が低くて、毎回、かなりの時間を費やして読める日本語にするのがミソ。しか し、それがまた楽しい作業でもあります。
 一方で、試しに自分の書いた文章を翻訳ソフトで英語に変換してみると、それは見事に立派な英語になります。…なので、海外 の方がこのサイトを英語化して読むとすれば、良くも悪くも、かなりの精度で中身が伝わる、のではないでしょうか。

 さて、話は戻って、早速その様にして Jan B. のブログの過去ログ全てに目を通してみました。(何故か、2012年のページだけは翻訳ソフトが起動しませんでしたが…。)

 Jan B.Jan Belak の略と判明。
 Allan MacDonald
との接点は NPC では無くて、Allan がドイツで毎年開催しているワークショップ、だと判明。2011年3月のブログに写 真入りで説明されていました。羨ましい限りですね〜。

 その前の2011年2月のブログに は、例の衝撃的な Lament for Mary MacLeod の YouTube 動画がアップされ、「2010年2月に初めて聴いた Allan MacDonald のこのバージョンの Mary MacLeod 以上に私を感動させた曲はありませんでした。」と、記されています。
 つまり、このバージョンは紛れもなく Allan MacDonald のスタイルだと言う事。私も、これを聴いて非常に感動しました。同じ対象に同じ感情を抱く、つまり、正に「同好の士」の具体 的な存在は、勇気づけられます。今後は、私も是非ともこの曲をこのスタイルで演奏してみたいと 思った次第。

2024/2/3
(土)

2人の御大(Colin MacLellan &
Bruce Gandy)の
YouTube Channel

 あの International Piper を主宰していた、20世紀を代表するパイパーの一人である John MacLellan のご子息、Colin MacLellan は、それまでにも、ご自身の YouTube チャンネルでチューター動画をいくつかアップしていましたが、2020年に突如としてピーブロックの演奏音源(動画ではなく、サムネイルは静止画)を怒涛 の様にアップし始めました。新しい動画(音源)がアップされる度に、当時の掲示板で紹介していましたが、その掲示板は 2022年にサービス停止。今では過去ログが読めません。そこで、改めて現在の状況について紹介しておきます。

 Colin MacLellan YouTube Channel
 
 2020年に32本の動画(音源)を矢継ぎ早にアップした所で一旦休止が入り、2021年には1本のみ。2022年にはゼ ロ。もうヤメたのかな、と思っていた所、2023年に続けて2本がアップされましたが、その後は又、ここ暫く音沙汰がありま せん。
 …という訳で、現在の所、通して聴けるピーブロックは次の35曲です。
 殆どがお馴染みの曲のお馴染みのセッティングですが、Donald MacDonald セッティングの曲が2曲聴けるのが嬉しい所。また、お馴染みの Lament for Mary MacLeod のダブリング・バリエーションのあの突拍子も無い high G を high A に置き換えて演奏している、という珍しい音源もあります。
  1. Beloved Scotland / 10:58(2020)   
  2. The Bicker / 8:03(2020)
  3. The Blind Piper's Obstinacy / 8:18(2020)           
  4. The Blue Ribbon / 11:20(2020)
  5. The End of the Little Bridge / 7:59(2020)   
  6. Fair Honey / 8:48(2020)
  7. A Flame of Wrath for Patrick Caogach / 6:34(2020)

  8. Clan Campbell's Gathering / 7:22(2020)

  9. The Groat / 7:44(2020
)
  10. The King's Taxes / 8:16(2020)

  11. Lament for Donald of Laggan / 9:11(2020)

  12. Lament for Mary MacLeod / 13:37(2020): high A instead of high G in the third line of the variation doublings
  13. Sister's Lament / 11:03(2020)
  14. Lament for the Viscount of Dundee / 10:42(2020)   
  15. MacCrimmon's Sweetheart / 9:51(2020)
  16. Glengarry's March(Donald MacDonald setting) / 10:09(2020)
  17. MacNeill of Barra's March / 8:59(2020)

  18. Nameless, (Hihio tro tro) / 6:49(2020)
  19. Nameless, a Lament (Angus MacArthur setting) / 11:08(2020)

  20. The Old Woman's Lullaby / 7:52(2020)   
  21. The Phantom Piper of the Corrieyairack / 11:46(2020)       
  22. The Red Speckled Bull / 11:44(2020)
  23. The Rout of the Lowland Captain / 10:18(2020)       
  24. Salute on the Birth of Rory Mor MacLeod / 6:46(2020)       
  25. The Earl of Seaforth's Salute / 10:36(2020)
  26. Salute to the Great Pipe / 9:41(2020)   
  27. MacGregor's Salute / 8:58(2020)   
  28. Struan Robertson's Salute / 7:27(2020)       
  29. The Big Spree / 11:46(2020)
  30. The Little Spree / 8:07(2020)
  31. Too Long in This Condition (Donald MacDonald Setting) / 10:27(2020)   
  32. Tulloch Ard / 11:50(2020)
  33. Lament for the Harp Tree / 23:35( 2021)   
  34. The Battle of Waternish / 11:01(2023)   
  35. Black Donald's March / 10:01(2023)   

 さて、つい最近その存在を知ったのですが、カナダの著名パイパーで ある Bruce Gandy の YouTube チャンネルにも、多数(19曲)のピーブロック演奏動画がアップされています。こちらは、文字通りの動画として演奏風景を観る事ができます。私は、この人 の演奏は大変好みなので、これらの演奏を聴けるのは嬉しい限りです。因みに、あの Cris Lee はこの方に師事していた時期があるとの事。

 Bruce Gandy YouTube Channel
  1. Lachlan MacNeill Campbell of Kintarbert's Fancy / 13:23(2020)

  2. Lament for Donald Duaghal MacKay / 14:29(2020)

  3. Lord Lovat's Lament / 13:05(2020)
  4. March for Beginner / 9:35(2020)
  5. Nameless, (Cherede darievea) / 18:21(2020)
  6. Parading of the MacDonalds / 9:40(2020)

  7. The Piper's Warning to His Master / 12:06(2020)
  8. Menzies' Salute / 9:45(2020)
  9. Struan Robertson's Salute / 9:05(2020)
  10. Catherine's Lament / 8:54(2021)
  11. Lament for the Earl of Antrim / 16:20(2021)
  12. Ronald MacDonald of Morar's Lament / 12:36(2021)

  13. Lament for the Union / 13:48(2021)

  14. The MacDonalds are Simple / 9:33(2021)

  15. The Rout of Glenfruin / 11:30(2021)

  16. Corrienessan's Salute / 12:52(2021)

  17. The Big Spree / 12:55(2021)

  18. Too Long in This Condition (Donald MacDonald Setting) / 14:45(2021)
  19. Unjust Incarceration / 14:19(2022)


 動画のタイトルや解説がイマイチ不親切で分かり難いと思うので、正しい曲名を書き出しておきました。 お馴染みの曲が殆どで、既にこの方による演奏音源がある曲も幾つかありますが、多くはこの方の演奏音源としては初めての モノです。中でも、若干貴重な音源と、極めて貴重な掘り出し物がそれぞれ2つづつあります。

 若干貴重なのは、4. March for Beginner と 8. Menzie's Salute で、この2曲については、これまでこの他には1人の音源しかなかったので、聞き比べる対象が出来て幸いです。

 極めて貴重な一つ目は、14. The MacDonald are Simple で、この曲は私にとっては全くの初物。こういう新たな出会いは嬉しい限り。

 そして、もう一つの貴重な聴き物は、18. Too Long in This Condition (Donald MacDonald Setting)。お気付きかもしれませんが、↑の Colin MacLellan の演目の中にも同じ曲の DMセッティングが ありますが、実はこれらは中身が大きく違うのです。
 Colin MacLellan の演奏は イントロダクション3連符をモダンスタイルの cadence で演奏。また、taorluath も、どちらかと言うとモダンスタイルに近い表現です。また、各バリエーションの後で Urlar は演奏されません。
 しかし、Bruce Gandy の場合は、3連符は清く正しく run で演奏し、taorluath も Donald MacDonald の譜面通りに("Redundant A" や "B" がハッキリと聴こえる様)清く正しく演奏します。また、これまた譜面通りに各バリエーションの後には必ず Urlar が演奏されます。ここで、更に興味深いのは、Var.2 の後の2度目の Urlar は Urlar Doubling の方が演奏されている事。この様な表現も有りなのですね。同じ Urlar を4回聴かされるよりも、変化があって良い感じです。

 この機会に、モダンスタイルの演奏音源、Colin MacLellan の言う所のな〜んちゃって DM セッティング、そして、Bruce Gandy による正統的 DM セッティング、という3種の演奏音源を聴き比べて、その違いを味わってみて下さい。ピーブロックって、本当に楽しいですね。

2024/2/12
(月)

「Duncan MacRae of Kintail's Lament の不思議」
に対する解答
 先日、最近溢 れ返っている YouTube のピーブロック動画を片っ端から何気に観ていたら、Lament for Colin MacRae of Inverinate という曲の演奏に出会いました。ブルターニュで20年近く続いているピーブロックの野外演奏会(2020 Pibroc'h gathering in Cancale)に於ける、フランス・ピーブロック界の第一人 者、Patrick Molard による演奏

 「あれっ、どこかで聴いたことのある曲だがな?」と、思って PSサイトで調べてみると、"This tune is a version of Duncan MacRae of Kintail's Lament and adds Taorluath and Crunluath variations" との 事。パイプのかおり第40話で、 この曲についてあれこれ想いを巡らした時に夢想したバージョンが、実際に存在したのでした。楽譜と解説は PS Book16(P552〜554)に載っています。

 PSサウンド・ライブラリーにも、Michael Cusack、R.U.Brown、John Don MacKenzie の演奏音源が有るので、既にダウンロードして自身のサウンド・ライブラリーにも入っていたのですが、これまではこの事には気付きませんでした。ピーブロッ ク については、毎日が勉強の日々です。

2024/2/15
(木)

"Lady MacDonald's Lament" MacArthur setting
by Chris Lee
 ↑の動画が アップされている YouennPiper YouTube チャンネルには、↑の野外演奏会だけでなく、Festival Interceltique de Lorient(略称 FILLorient Inter-Celtic Festival)の動画など、古くは2011年頃から現在までに、1000本以上 の動画がアップされています。恐らく、ブルターニュ音楽ファンにとっては垂涎のチャンネルとして、広く知られているのではな いでしょうか。
 
 私は、このチャンネルの中でも、ピーブロック・国際コンペティション(Concours International de Pibroc'h/Pibroch International Competition)の動画だけは以前からチェックしていて、数多くの動画を再生リストに保存しています。 特に、頻繁に参加して(招待されて?)いる Fred Morrison が、彼の十八番の The Earl of Seaforth's Salute で優勝した2014年の動画など、いくつかの必見動画はダウ ンロードして自分のパソコンに保存もしています。

 実はピーブロックだけでも余りにも多くの動画がアップされているので、再生リストに保存しただけで、未だ観ていない動画も 沢山ありました。そこで、↑の Parick Molard の演目に遅ればせながら気付かされた事を反省して、新ためて順次目を通す事に…。

 そうした所、予想通りに早々に非常に貴重な動画を発見。
 それは、2018年のピーブロック・コンペティションに於ける、Allan MacDonald の愛弟子たる、あの Chris Lee による Lady MacDonald Lament です。動画のタイトルでは明記されていなかったので、漫然と聴き始めましたが、冒頭で清く正しい hiharin が演奏されるのにいきなり耳がピンと反応。一旦動画を停めて、MacArthur-MacGregor MS の該当ページ(P152)を開き、楽譜を見ながら再び最初から聴き直し始めます。紛れもなく、この演奏はオリジナルの MacArthur セッティング通りの演奏でした。
 「オリジナルの…」と言うのは、そもそもこの曲は Angus MacArthur による作曲。PS サイトの解説では "Binneas is Boreraig" の解説文をそのまま引用。それによると…、

 "MacArthur was piper to the MacDonald family and on the death (which is said to have taken place on the 18th October 1789) of Elizabeth Diana, Lady of Alexander, first Lord MacDonald, he composed the tune. " との事。


 解説と並んだサウンド・ライブラリーには、数個の音源がアップされていますが、どれも PSバージョンの演奏音源。一方で、私のサウンド・ライブラリーには既に MacArthur セッティングの 演奏音源が収録されています。それは、2019年6月の BBC Radio Scotland "Pipeline" にてオンエアされた音源で、それもやはり Chris Lee による演奏です。しかし、この時は Urlar〜Urlar Doubling までの演奏だったので、今回初めて通した演奏を聴く(観る)事が出来た次第。(厳密に言うと、楽譜にある Crunluath-a-Mach は省略。最後の Urlar はファーストラインのみ、なのが少々残念ですが…。)

 興味深いのは、この時の2人のジャッジ(Dr. Angus MacDonald ともう一人、名前がちょっと思い出せない)が、Urlar の演奏中、ずっと一緒に2人の間に開いた譜面をなぞりながら、一音一音確認していた事。もちろん、開いていたのは、Frans Buisman によって2001年にリリースされた The MacArthur - MacGregor MS(1820)の分厚い解説本である事は間違いあり ません。PSバージョンの楽譜ならば、全て頭に入っているであろうマスターパイパーたちでも、流石になかなか耳にする事の無 いバージョンでは、譜面が必要なのでしょう。

 それにしても、↑の Bruce Gandy による Too Long in This Condition 然りで、この様な古式ゆかしいバージョンを聴いてしまうと、モダンスタイル(PSスタイル)の演奏は到底聴く気にならなくなります。

2024/2/16
(金)

"The Fairy Chanter"
by Patrick Morlard
 Chris LeeLorient(FIL) で↑の演奏を行った同じ年、2018 Pibroc'h gathering in Cancale の方でも、掘り出し動画(音源)が有りました。

 こちらは、再び Patrick Morlard による The Fairry Chater という曲。この曲は、PS Books には載っていません。何故なら…、

 "This tune is found in The Piobaireachd of Simon Fraser with Canntaireachd second edition 1985 published privately by Dr Barry Orme P243 where it is called Ben Nevis Salute or The Fairy Chanter." (PS サイトの楽曲説明)だからです。

 それ故に、PSコンペティションのセットチューンに取り上げられる事もありません。音源も極めて限られてい て、これまでは PSサウンド・ライブラリーに収められている Andrew Wright の演奏音源しかありませんでしたが、この音源は通した演奏では無くて、更に 録音状態がかなりプアな事も相まって、イマイチ、ピンと来るモノがありませんでした。しかし、今回、新ためて Patrick Morlard による全曲通 した、しかも、音質もクリアな演奏音源を聴い(観)てみて、曲自体も大いに気に入りました。

 一方で、私はこの曲を実際に聴く前からそのタイトルに惹かれていました。何故なら…、

 "Nothing more is known about the origin of this tune, but the legend of the Fairy Chanter is well known.  It is said that the unprecedented playing abilities of the MacCrimmons derived from their ownership of the Soumsair Airgiod na Mna Sithe -- the silver chanter of the fairy woman –- given to Iain Odhar MacCrimmon in a place called Uamh nan Piobairean (the Pipers' Cave).  Iain Odhar was born around 1500 but little else is known about him.  Generations of MacCrimmons would go to the Piper's Cave, to practice and to compose.  It is said that they would fast until a composition was perfected."(PS サイトの楽曲説明)だからです。

 そして、楽曲解説の最後は次の様に締め括られています。

 "Two legends about the Silver Chanter are told in "The Silver Chanter and other Piper Tales" by Stuart McHardy." この本について は⇒

 今回、久しぶりに Simon Fraser の 赤本の目次を眺めていて気付いた事があります。
 ↑2/12の記述で触れた Duncan MacRae of Kintail's Lament (のロングバージョン)は、この楽譜集では Colin MacRae's Lament というタイトルで収録され、解説文には "This tune is usually known as Duncan MacRae of Kintail's Lament." と 記 されています。
 1985年にリリースされた Alt Red Book に既に収録されていたこの 曲(の別バージョン)が、30年後の 2015年にリリースされた PS Book16に なって漸く掲載された、という経過になります。そもそも、PS Book16自体が、PS Book15のリリースから25年後のリリース。21世紀になって漸く PSの民主化が進んで来た、と考えるべきなのでしょうか。Simon Fraser が受け継いでいたマクリモンの正しい伝承が日の目を見るのには、か なりの時間が掛かっている、という事には変わりありません。

2024/2/21
(水)

Pibroc'h gathering in Cancale
 このブルター ニュの海辺の街でのイベント Pibroc'h gathering in Cancale については、当時購読していた 2007年2月号 "Piping Today" No.20 の記事で知りました。
 そもそもこのイベントを企画し実行した、Anne Lore という女性のピーブロック半生を紹介した記事です。まずは、記事の中から抽出したリードの文言に感動。早速、ピーブロック名言集に収めま した。
 引用の了解を得ようと思って "Piping Today" の編集部に連絡先を教えてくれる様、依頼メールを書いた所、当人の連絡先は教えて貰えませんでしたが、当時の編集長 Mike Paterson に引用は了承してもらえました。

 Youtube の検索窓に "Pibroc'h gathering in Cancale" と入れると、 YouennPiper YouTube チャンネルの様々な年度のイベント動画がヒットします。その中に、2016年のイベントを1時間ほどに 纏めた動画があります。
 この年はゲストプレイヤーが Jimmy McIntosh。 当時、既にかなりのご高齢で、演奏風景を見ていると、チャンターの上で指も震えているのですが、不思議な事に音は震えていま せん。凄いと思います。
 この動画の解説には、32人のパイパーの全ての演目のインデックスが書かれています。
JM は(1)(13)(21)、先日2018年の演奏を紹 介した Chris Lee が(30)、また、Patrick Molard は(12)(23)ですが、特に(12) One of the Cragich (Colin Campbell Manuscript)は貴重です。
 そして、かの Anne Lore 女史が(22)(29)で登場。初めて、仔細にお顔を拝む事ができました。2007年の記事で「60歳を迎えて…」みたいな記述があったので、2016年 当時は今の私とほど同じ歳(70歳前後?)だと思われますが、流石に堂々とした演奏です。

 どの国の民族音楽も同様だと思いますが、ピーブロックという音楽はその故郷たるスコットランド人にはイマイチ受けが悪いで す が、私も含めて、海外の熱狂的な愛好者は本当に熱い想いを持って接している事を実感します。
 Anne Lore さんの記事は是非とも翻訳ソフトで目を通して読んでみて下さい。その熱い想いに強く共感させられます。

 因みに、2023年の最新動画では、 この年のゲストパイパーたる Robert Wallace が、十八番の "Lament for Allan, My son" を演奏しています。これも、聴き物。

2024/3/5
(火)

ボブさんの
ピーブ ロック・フォーラム
 このサイトを 開設したのは 2002年ですから、振り返るとかれこれ 22年間が経過しています。サイト開設から程なく、Bob Dunsire というアメリカ人の開設するパイピングに関するサイトに出会いました。そして、付属して開設されていた多種多様なテーマに沿って意見交換する場である 「フォーラ ム」の存在に感動。インターネット黎明期には、この様なフォーラムが多々有った(今もある?)様ですが、パイピングに 関してこの様な充実したフォーラムが有った事には単純に驚き、大きな喜びでした。流石、アメリカだな〜と感心した次第。その 当時の 顛末についてはパイプのかおり第22話(2004/10)に書いてあります。

 特にピーブロック・フォーラムに於いては、沢山の「我が意を得たあり!」と思える書き込みに出会いました。それらをそのま まにして置くのが勿体なく思えて、Bob Dunsire さんにメールで引用の許可も貰いつつ、膨大な書き込みの中でも特に印象的だった文言を抜き出し、ピーブロック名言集のページに引用した次第です。
 私とほぼ同じ年代だった ボブさんが 2006年に死去さ れた後、サイト本体は 閉鎖されましたが、各種フォーラムに関しては、Bob の娘さんによって継続運営されています。でもやはり、往時の賑わいはすっかり無くなってしまいました。…とは言え、ピーブ ロック・フォーラムだけでも、2001年11月26日のボブさん自 身による Welcome トピ以来の、足掛け 23年間分、総数にして 2,111(今 日現在)もの膨大なトピが、 今でも閲覧できるという のは凄い事だと思います。

 フォーラムの運営が娘さんにバトンタッチされたから数年経過した頃だったと思いますが、恐らくサーバー変更の必要が生じた のでしょう、若干のリニューアルが実施されました。特段、気にも留めて無かったのですが、ある時、名言集に引用した文言のオ リジナル投稿へのリンクが全て切れている事に気付きました。恐らく、リニューアルの際には、移行の詳細(元URL⇒新URL のフォーマット)について何らかのアナウンス等が有ったのかもしれませんが、時すでに遅し、その時にはその様な説明を見つけ る事ができませんでし た。新URLも判っているし過去ログ自体にはアクセスは可能なのですが、膨大な過去ログの中から、該当する投稿を探し出す、というのが至難の技。何故かと いうと、引用した文言にはそもそものトピのタイトルまでは記載していなかったのです。判っているのは投稿者のハンドルネーム だけ。リンクを復元するのは絶望的です。すっかり諦 めて、気付いてから10年以上リンク切れのままになっていました。

 しかし、とうとう昨日、一念発起してリンク切れ解消の作業を実施しました。投稿内容に関する検索システムはしっかりしてい るので、まずはその名言の中のなるべくレアな単語を選んで検索に掛けます。次に抽出された投稿に、投稿者のハンドルネームで 絞り込み。絞り込まれた(時には数十の)投稿を一つ一つ読み返して、名言の部分を特定。該当する投稿の URL をリンクし直します。
 オリジナル投稿の文章が短く、例えば Noh、Raga、yoga といった様なピーブロックとしてはレアな単語を含んだ投稿はいいのですが、極めて当たり前な単語しか使われていない名言については、絞り込みに難儀しまし た。また、投稿文が長い場合も、名言部分の特定にはかなり苦労。どうにかこうにか、全ての名言についてリンク切れを解消し終 わりまし た。

 実は、引用した文言からオリジナル投稿へのダイレクトリンクを張る事は、引用を承諾してくれたボブさんから出された唯一の 条件だったのです。ご当人がもうこの世に居ないとは言え、リンク切れに気付いて以来ずっと気になっていたのですが、無事に復 元でき て漸くホッとできました。

 今回、作業をしていて気付いたのは、複数の投稿者からあれこれと名言の数々が飛び出している特定のトピが、幾つか有っ た事です。確かに当時も、そのテーマによってはやたらと盛り上がった事は記憶にあります。 名言集の最後に、その様な代表的なトピを幾つか紹介し ておきましたので、興味のある方はどうぞ暇な時にでもお目通し下さい。…と、書いていて、そんな物好きは自分しか居ないのは 分かっています。つまり、これは自分自身の為にリストアップしただけ。まあ、突き詰めると、このサイト自体が自分自身の膨大 な備忘録と言える物。つまりは全ては自分のためのサイト作りであります。

 余談ですが、名言集の一番下の枠外に "Piping Times" のロゴが3つ並んでいるのにお気づきでしょうか?  ロゴの小さな顔の部分にクリックポイントが有り、それぞれ 2008〜9年頃の "Piping Times" のエディトリアル・ページ(の画像ファイル)にリンクしています。当時のエディター、Robert Wallace が書いたエディトリアルの中で特に印象的だった文章です。当時は、著作権に考慮してこっそりとアップ。時たま、自分で読み返す為のクリックポイントでし た。 今は、読みたければオリジナルをいつでも誰でも読む事が可能なので、秘密開示。それぞれ名言に溢れています。こちらは本当の意味で是非お目通しを…。

2024/3/11
(月)

  Ron Teague さんの名言
 せっかく自分 の為にリストアップしたので、名言続出の代表的な7つのトピのジャスト280個の投稿について、20年余りの時を経て改めて 目を通しました。20年前と違うのは、まずはそれぞれの投稿文を翻訳ソフトにコピペして日本語でざっと目を通す事ができる事 です。ですから、(ピーブロック・フォーラムだけでなく、興味深いその他の幾つかのフォーラムも含めて、数百のトピ&四千数 百 の投稿の英文を全て読み通した)20年前程には時間が掛からず、2、3日の楽しみで終わりました。改め て目を通してみると、当時取り上げなかった名言も幾つか出て来たので、新たに 30個ほどの名言を追加しました。

 中でも "Piobaireachd to a Wider Audience" というトピに一つの非常に印象的な投稿がありました。この投稿の場合は、名言 が含まれて いるというよりも、この主張全部が感じ入る内容。名言集に取り上げるのは適当では無いと思うので、以 下に特別に全文を紹介します。

 投稿者は常連投稿者の Ron Teague さん。このトピの11番目の投稿として、2006年8 月9日に投稿されたものです。

Well Well, is ceol mor a side show or not ? I've been farting around with this music for longer than most pipers have been alive. Right now I think we are in a golden age of ceol mor playing why?:
  1. the Two Bobs cds folk are learning about the history and liniage of piobaireachd playing
  2. Wee Donald's tutorials, I mean really who would have thought that over twenty double cd's of an old fart playing the practice chanter and singing tunes would ever sell, I mean TWENTY DOUBLE CD's. When I started playing there was essentially NOTHING recorded.
  3. The COP MacPherson CDs and lots and lots of other works like Wright's CDs. The COP and BBC Pipe line's inclusion of ceol mor in almost every show.
    I'm looking at my piobairechd cd collection and it is almost two feet long!!! I had only three records when I started, now I have an Ipod full of ceol mor
  4. The publication of ceol mor music, We have a new binnias, the MacArthurs MS, Joseph MacDonald not to mention ceol sean's stuff on MacKay, MacDonald and Glenn.
  5. We have Barnaby and Jim McG who are pusing the envelope and the piping times who is bringing forth new ideas on ceol mor.
  6. we have the PS which is getting bigger(time to join up piobaireachd campers and help preserve this music-yes you you can help)
  7. lastly we have this VERY FORUM, there has NEVER been anything like it in the history of piping. Bless Bob Dunsire for keeping it going. Where else could a cheese ball like me have a conversation with Rodger or Jim McG about piobaireachd or Adam, the dog who gets to play at standing stones and the MacCrimmon cairn. Never have we been able to make friends, share ideas, crab and tell tales on ourselves about this superb music. Is the music blocked, I say HELL NO, I've had more connection than ever before in the last 10 years. Look at the DRM, ceol mor is the center piece of this event. Senior pipers have to play an URLAR as well as a whole piobaireach. I think a wee bit more fans and we will have a critical mass in short order where ceol mor will move into the popular culture. I've played in front of the Symphony League, infront of professional Classical musicians and professional 'gaelic' musicians and ALL of these folk have loved the ceol mor. Played well, with a wee bit of emotional understanding, i.e. as music and not as a finger exercise, folk love it--yes one might need to avoid some of the slower begining variations, but they love it just the same. I've had to play at police, fireman funerals and I always play ceol mor and I always get thanks for the 'real music'. So, no, I do not agree that we are in a ceol mor wasteland, I was raised in ceol mor badlands, where one only had the p/s versions and nothing ever recorded. Now one can actually hear the tunes played.

 つまり、「自分がピーブロックを始めた頃に比べたら、近年はありと あらゆる音源や資料が出回っている。この状況は正にピーブロック演奏の黄金時代と言えるでしょう。皆さん、この良き時代を大 いに楽しみましょう!」と言った所。特に、彼が強調しているのが、当のピーブロック・フォーラムの存在意義です。しかし、彼 がここで「Bob Dunsire に祝福を!」と書いたこの投稿から僅か3ヶ月後に、ボブさんが帰らぬ人になってしまったのは、極めて残念。

 恐らく、年代的にも私とそれ程違いの無い歳頃だと思われます。また、ピーブロックを愛好して来た年月も似たような所でしょ う。自分自身の ピーブロック人生と重なって、彼の言ってる事全てに頷くばかり。いや〜、凄くいい事言っているな〜、流石だな〜、と強く共感した次 第。

 この投稿、フォーラムと出 会ってからかなり時間が経過した頃のものだったので、初めて読んだ様な気がしました。ところが、何 のことは無い、更に他の投稿を読み進めると、この投稿の直後に自分がリプライしているのを 発見。当時も強く共感した事が窺えます。「…窺えますって、自分の事だろう!」ですよね。「ボケるのもいい加減にしろよ!」 と自分 を呪いたくなります。まあ、だからこそ、このサイトを延々と運営し、この名言の様に、忘れそうな内容を次々とアップしている 訳でして…。

2024/3/23
(土)

Alt Red Book
の扱いの変遷
 例によって "Piping Times" を遡る作業をしていて、興味深い記事を見つけました。

 1998年8月号"The Piobaireachd of Simon Fraser"(Alt Red Book)のレビューが掲載されていたのです。この本(の第2版)が出版されたのは1985年の事。 つまり、このレビューが書かれたのは出版から13年経過した後の事。何故、13年も経って? という事もそうですが、そもそ も "Piping Times" 誌上にこの本に関する記事が書かれていた事自体が意外でした。

 そこで、NPC のデジタル雑誌アーカイブで この本のタイトルで検索を掛けてみた所、記事や広告があれこれヒット。時系列を追っかけて行くと、色々と事情が見えて来まし た。

 考察結果については、この本について最初に触れた 1988年5月号 "Piping Times" の記事に追記しました

2024/3/28
(木)

Road to "Binneas is Boreraig"
 またまた、 "Piping Times" の過去記事(から辿り着いた)ネタです。

 1998年3月号にこの当時の編集者、Dugald B. MacNeill による "The Nature of Piobaireachd" という記事がありました。この方、競技パイパーとして華麗な経歴を誇る訳でも無く、そもそも詳しい経歴も存じ上げないので、 リアルタイムで 読んでいた当時 は、どことなく陰の薄い単なる「中継ぎ編集長」という印象でした。当時の紙面では、いくつかの楽曲説明記事を執筆してる事には気付いていましたが、この記 事は読み落とし ていました。

 最初に "The Nature of Piobaireachd" というシンプルなタイトルを目に した時は、「今更読むまでも無いかな?」と、一瞬躊躇したのですが、ところがどっこい、新ためて読んでみると極めて示唆に 富んでいるだけでなく、強いメッセージが込められていました。そして、何よりも収穫だったのは、あの Roderick Ross による "Binneas is Boreraig" 復刻版リリースへの道筋が見えて来た事です。

 パイプのかおり第61話として纏めましたので、お目通しあ れ…。