パイパー森の音のある暮らし《2016年

2016/1/2
(土)

ピーブロックの指揮

 シアトル郊外の Seabeck という街で開催された "The 2012 Celtic Arts Winter School" に於けるこの動画、上級クラスの生徒たちによる模範演奏と思われます。複数の生徒たちが揃って "Hector MacLean's Warning" を演奏するのを、Murray Henderson が《指揮》します。

 抑揚、強弱、テンポなどといった表現のポイントを、手を叩く、指で示すなどを交えながら身体全体を使って演奏を誘導するその仕草に、最初から最後までず〜っと見とれてしまいました。
 生徒たちもそれに応えて(ドローンはイマイチですが)見事に揃った演奏をこなします。

 この「ピーブロックの指揮」の有様は、 Concert for George のビデオで観たアヌーシュカ・シャンカールのインド音楽の指揮の様子に酷似。やはり、リズムやテンポがはっきりしている一般の西洋音楽とは一線を画した、民俗音楽に共通する所作ですね。

 それにしても、様々な年代の聴衆たち(皆この教室の生徒だと思われますが)がピーブロックを聴き入る真剣な顔、顔、顔。そして、演奏終了後の万雷の拍手。
 本来あるべきハイランド・パイプ愛好家の集りですね。健全、健全。羨ましい限り。

 ハイランド・パイプが偏って愛好されているどこかの国では到底考えられません。

2016/1/16
(土)

ピーブロック・ソサエティー・カンファレンス2014

 ここ最近2、3年のピーブロック・ソサエティー・カンファレンス講演録に目を通してなかったことに思い至り、2014年の講演録から読み始めました。まずは、軽めの講演2つについて…。


 “Noting the Tradition. The teaching of Robert Brown and Robert Nicol”
The National Piping Centre(NPC)の図書館司書である、James Beaton の講演。
 NPC では、2011〜2013年に "Noting the Tradition" というプロジェクトを実施。過去50年ほどの間(1950年代末〜)にパイピング文化に関わった人々のインタビューを記録する作業を行ったとのこと。当初は40のインタビューを集めることを目標にスタートしましたが、最終的には45のインタビューが収集されたそうです。

 この講演では、その中から Bobs of Balmoral こと Robert BrownRobert Nicol ゆかりの4人が語った、この2人のマエストロに関するインタビュー音源が披露されました。4人の内3人は、Jack TaylorJimmy MacintoshMalcolm Macrae といったお馴染みの面々。それぞれ大変興味い内容です。

  2人に共通するピーブロック伝授方法は徹頭徹尾「曲を歌って伝える」という事。抑揚や強弱、韻の踏み方といった微妙なニュアンスは楽譜では到底書き表せな いという事が根底にあります。楽譜を使うことはおろか、なんとプラクティス・チャンターすら使わないそうです。プラクティス・チャンターはあくまでも装飾 音の練習などをするもの、という認識なのです。
 そして、パイプでの演奏の際は、1/2の日記↑で紹介した動画の Murray Henderson のように、身振り手振りで抑揚や強弱、韻の踏み方を示す指導が行われたそうです。

 インタビュー対象の4人の内残る1人は、Ann Spalding という無名(?)の女性。彼女は、14、5才の時に Robert Brown から手ほどきを受けたという事。
 実は多くの人のインタビューをこなす必要があったこのプロジェクトには、多くの若者たちがボランティアとして協力しています。この Ann Spalding にインタビューしたのもそのような一人で、バグパイプに関する知識はごく浅いため至って素朴な質問がされています。それ故、次のような大変ストレートな質問&回答が印象的です。

Q : Tell me about the importance of the piobaireachd ?
A : The piobaireachd is the big music of the pipes that most solo pipers will aspire too. The people that don’t play piobaireachd tend to not like piobaireachd because they don’t understand it; I think you have got to play it to understand it. It is the classical music of the pipes that was the original music of the pipes.

 ともあれ、どのインタビューも大変に興味深い内容です。Piobaireachd Society 会員の方はぜひご一読を…。


 そして次に、Murray Henderson 御大 による “Preparing for Competition” という講演録に目を通しました。
 タイトルから「コンペティションに向けた心得」を伝授しているのかと思い読む前はイマイチ興味が湧きませんでしたが、実際には御大のパイピング人生を振 り返りつつ、ハイランド・パイプを練習する際や人前で演奏する際のごくごく基本的な姿勢を伝授しようとするトークで、これもまた大変興味深く、非常に有益 な内容でした。
 講演形式としても、一方的に話を進めるのだけではなく、途中からは聴衆とやり取りしながら進められているのも、和やかな感じです。この講演録も是非お薦めです。

 そして、そんなやり取りの中で交わされた Roderick Cannon による次の言葉は、日頃から私が実感している事そのものなので、正に我が意を得たりという思いがして大変印象的です。

I’ve discovered, relatively late on, that playing piobaireachd in public can be a much greater success than you might imagine it to be. Even to us, piobaireachd is a slightly esoteric art, which you learn to appreciate, but if it is delivered smoothly and well in tune people may not know what is coming next but will often sense what is going on there is not quite the normal thing.

 一読すると、先に紹介した Ann Spalding の言葉と対照的な内容のようにも感じられるかもしれませんが、実はそうではありません。Ann Spalding はここで "The people" 「人々」という単語を使っていますが、インタビューの背景と前後の文脈から推してこれは「パイパーの人々」という意味です。ですからこれを "The pipers" という単語に置き換えてみると、この二人が伝えようとしている事は決して矛盾していないのです。
 世の中で曲者なのはピーブロックを演奏し(ようとし)ないパイパーなのであって、ピーブロックどころかハイランド・パイプを演奏しない、あるいはどんな 楽器すら演奏しないような人が、全く先入観なしにピーブロックを聴いて感動するのは決して稀な事ではない、というのは私のささやかな経験から知り得た真実 です。
 一方で、これはケルト系を除いた一般的な西洋人(ハイランド・パイプ愛好者にも多い)には、必ずしも当てはまりません。これもまた、私のささやかな経験 から感じている事です。さほどにピーブロックという音楽は西洋音楽の中では極めて特異な存在と言えるでしょう。その反面、日本人を含めたペンタトニック・スケールの音楽がごく身近に溢れているような民族には、ピーブロックは馴染み難い音楽ではないのです。関連名言⇒ 関連記事⇒

 この Roderick Cannon による言葉も、Ann Spalding の言葉と共に新たにピーブロック名言集に収録しました。


 この年の講演の中で最も重いのは、あの Alt Pibroch Club を主催する、Barnaby Brown による "Settings of tunes: How do we explain the differences?" です。
 Cambpell Canntaireachd など、昔のピーブロックの有様に関する最新研究成果なので興味深い限りなのですが、難解な用語や概念が沢山出てくるので、そうそう簡単に読み進むことがで きません。苦労して目を通し、それなりに理解できた興味深い箇所も多々ありましたが、全体を十分に理解できたとは到底言い難く、要約して説明できるような 能力は私にはありません

 …とは言え、 IT時代に相応しく Proceeding のページには講演録のPDFファイルに加えて、Barnaby Brown が講演の中で実際にカンタラックを歌った箇所のサウンド・ファイルが6つもアップロードされているので、それだけでも聴きモノかと思います。時には聴衆を 誘って一緒にカンタラックを合唱している様子も伺えて、講演内容は格調高くても決して堅苦しい雰囲気ではないという事が伝わってきます。

 もう一つの(古の)ピーブロックに興味のある方は苦労してでも読む(&聴く)価値はあると思います。

2016/2/3
(水)

The Kilberry Book of Ceol Mor
自家製デジタル版

 2013年2月11日の 日記に「電子ブックの形式とはいえ、元となっているのは紙ベースをスキャンした画像を電子ブックにバインドしただけなので、そうであるならば紙版の Kilberry Book を裁断し自炊して PDF ファイルにする方がずっとマシです。そうすれば、パソコンでも iPad でも自在に読めますし…。」と書きました。それから徒らに3年間経過してしまいましたが、昨日ようやくこの自炊作業を実行しました。

 3年間も手を付けなかった事に特段の理由がある訳ではありません。
 しいて言えば、取り組もうとする曲はさほど多い訳ではなく、 既に Kilberry Book や Piobaireachd Society Books から該当の楽譜をスキャンしてPDFファイル化し、40曲ほどのデジタル楽譜集を作ってあり、それで十分に用が足りている。つまり、日常的に Kilberry Book をめくる必要は無いという事。また、いざとなると、1992年に購入して以来ほぼ4半世紀近く愛用してきた愛着のある赤本をバッサリ裁断するのは偲びな い、という気持ちも払拭しきれません。そして、使い勝手が悪いとはいえ、それなりのお金を支出して公式デジタル版を購入済。それも、iPad 版と PC 版の両方とも…。
 それでも、今回一念発起したのは、やはり公式デジタル版の微妙な使い勝手の悪さに対するストレスが限界を超えた、といった所でしょうか。

 一つには、以前にも書いたように、ファイルを開こうとする度にログインが必要で、毎回 ID(Email Address)とパスワードを入力させられる事。
 同じ Yudu degital edition というシステムを使った "Piping Times" デジタル版でも同様なのですが、ID & Pass Word 入力画面にはちゃんと □Rmember my details というチェックボックスは有るには有ります。しかし、いくらチェックをしておいても(少なくとも Mac OS や iOS では)情報が記憶されたことはありません。毎回、全部を入力させられるのです。

 二つ目は各種の操作性について。
 Kindle などでも同様ですがデジタル書籍では、ページをめくるのは矢印マークなり、そのページの下端などにあるクリックポイントをクリックする必要があります。
 しかし、ページをめくろうとする際にクリックポイントから少しでも外れた場所をクリックしたりするとページがめくられる代わりに、いきなり画面が拡大す るなど意図しない展開になる事が度々。悪態をつきながら元のサイズに戻そうとすると、今度は突然2ページ表示になったり…。
 ページをめくって読み進めていく純粋な読み物であるのならばこのようなページめくり機能も適当かもしれませんが、楽譜集の場合は順次ページをめくること は無いので、決して使い勝手が良いとは言えません。まあ、そのために目次ページからはそれぞれのページにリンクが張られてはいるのですが…。

 新聞のビューアーも同様ですが、デジタル書籍のビューアーで最も違和感を感じるのは、画面のスクロール。画面をスクロールさせようとした場合、い ちいちサイドバーの矢印を何度かクリックする、あるいはカーソルをホールドして上下させる、または画面上でクリックしてカーソルを手のひらマークにして画 面を掴んで上下させる、といった動作を求められます。単純な PDFビューアーであれば、通常のパソコン操作の基本の基の通りに、マウスやトラックパッドの上で指をスライドさせるだけ済むのとは対照的です。

 この様な些細な操作性の違和感が一つ一つ積み上がって来ると相当煩わしくなります。
 そして今回、決定的だったのは、このところで 30年前の "Piping Times" 1986年2月号の記事を書いている最中に「はてさて “Black Donald’s March” のゲール語タイトルは?」とデジタル版 Kilberry Book を開けようとした時の出来事。
 いつもの様にビューワーの読み込みを経てアクセス画面が出るまでの間イラっとしながらしばし待たされた後、悪態をつきながら、ID とパスワードを入力し、Continue ボタンをクリック。しかし、なんと(英文メッセージの正確な内容は忘れましたが)「Sorry, ナンチャラカンチャラ…このパソコンでは承認されていません。」という様なメッセージが出てページが開きません。思わず「このヤロウ!」という感じ。また また、あの ○ndrew Wallace に文句書かないとならないのか…?! と呆然としました。
 結論から言えば、この日は何度トライしてもログインできなかったこの現象も、数日後には何も無かったかのようにログインできました。しかし、兎にも角にもデジタル書籍は未だにこのような不安定さが払拭できていないという事は確か。
 事ここに至りてさすがに堪忍袋の緒が切れた。…で、いよいよ自炊を決断した次第。

 赤本をバッサリ裁断。いつものように ScanSnap S1300 でスキャンします。
 この時、幅を千数百ピクセル程度の大きめサイズに設定してスキャンするのがミソ。仕上がった後の PDFファイルを拡大して見る際の鮮明さが違います。確かにスキャンスピードは遅くなりますが、フラットヘッドスキャナーに比べたらスキャンするスピード が段違いに早い上に、両面を同時にスキャンしてくれる ScanSnap の作業効率は非常に高いので、全く苦になりません。
 首尾は上々。正規のデジタル版よりもかなり精度の高い譜面となり、拡大した時のクリアさが向上しました。

  さて、正規デジタル版に負けないようにインデックスページの曲名からそれぞれの楽譜ページへのリンク、そしてそれぞれの楽譜ページからインデックスへ戻る リンクを張らなくてはなりません。こればかりはシコシコ手作業。収録曲数は118曲なので、計236ヶ所のリンクを張る作業は少々手間でした。
 MacOS のデフォルト・ビューアー Preview はウィンドウズマシンに標準で付いてくる Acrobat Reader よりずっとパフォーマンス高く、Acrobat で言うところの「ファイルの結合」なんて事は、その操作を示す用語すら無いほどに簡単。マックならではの「こうあって欲しいな」と思うがままにファイルを ホールド&ドローすればあっという間に完了します。
 しかし、どういう訳か2013年10月リリースの MacOS10.9以降の Preview からはリンクを張るツールが削除されてしまいました。ですから、このリンク張り作業は Adbe Acrobat Pro をインストールしてある、奥さんの Windows マシン借りて済ませました。

 そんなかんなで、今では我が家の3台全ての Mac のデスクトップと iPad のホーム画面から、アイコンをワンクリックするだけ「パイパー森特製」デジタル版 Kilberry Book が即オープン。そして、目次からワンクリックで望む曲の楽譜に瞬時にアクセス。大きく表示したければ画面を広げれば良いし、スクロールしたければマウストラックパッドの上をちょこっと撫でれば良し。終始キーボードに触れる必要も無く、段違いにストレスフリーになりました。

 さて、次なる課題はピブロック・ソサエティー・ブック16冊のデジタル化。
 Piobaireachd Society ブックはPiobaireachd Society Kilberry Book よりも一回り大きく、A4版対応の ScanSnap S1300 ではスキャンできません。A3に対応している Epson PX-1700F には ADF(原稿自動送り装置)が付いているので、自動で用紙を裏返して両面スキャンをしてくれますが、ローラー式読み取り部分に原稿を通すだけで両面を同時 にスキャンしてくれる ScanSnap と比べると、その作業効率は著しく低下します。
 そもそもピブロック・ソサエティー・ブックを裁断するか?ということについてはまだちょっと腰が引けてます。もちろん、最近では本を裁断せずに次々ペー ジをめくるだけでオーバーヘッド・スキャンが可能な ScanSnap SV600 という機種もありますが、価格が数万円するのでそれだけのために購入するのは躊躇われます。

 まあ、どうやらこの作業については今しばらく様子見、といったところになりそうです。

2016/2/14
(日)

The History and Structure of
Ceol Mor
自家製デジタル版

 2月3日に↑のように書きましたが、実は、ピブロック・ソサエティー・ブックよりも先にデジタル化したかった本があります。それはピーブロック愛好家のバイブル、A. J. Haddow“The History and Structure of Ceol Mor” です。

 "Piping Times” 1979年2月号で紹介した様な経緯で1982年にリリースされたこの本が、Oさんのスコットランド旅土産として私の手元に来たのは丁度30年前の1986年6月9日の事。私にとっては 1992年に入手した Kilberry Book よりもさらに古く、1983年に入手した Seumas MacNeill“Piobaireachd - Classical Music of the Highland Bagpipe” に次いで長い付き合いになります。
 Seumas
の本は「ピーブロックとは? マクリモンとは?」といった基本の基からピーブロックの全体像を解説してくれている本。一方、Haddow の本はおよそ 200曲のピーブロックについて、その「背景となっている歴史と構造パターン」を解き明かしてくれている本。
 それ以降もピーブロックに関する様々な本や楽譜集を入手していますが、この2冊以上に頼りにしている本はありません。特に Haddow の本は一気に読み通すというよりは、新しいピーブロックと出会う度に参照するといった使い方をするので、常に「座右」に置いていつでも紐解ける様にしておく必要があります。

 2冊ともコンパクトな A5版サイズでハンディなのは良いのですが、出会ってから 30年以上経つと読み手の方がすっかりローガン者となり、いざという時に目を通すのが辛くなってきました。Seumas の本の活字も決して大きいとは言えませんが、Haddow の本はさらに一段と小さな活字で行間も極めて狭隘。楽譜集とは別の意味でデジタル化が求められます。

 A5版ですから、裁断さえすれば手持ちの ScanSnap S1300 でもスキャンは可能です。しかし、この本は Oさんから頂戴した思い出の蔵書。自分で購入した Kilberry Book とは違って裁断するなんてことは到底考えられません。そこで、私は裁断用として(今度は自分で)新品をもう一冊購入することにしました。
 ところが、CoP オンラインショップで購入しようと手続きを進めて行くと、£13のこの本の送料がなんと£26と表記されます。以前度々CD類を購入した時、あるいは先日 Piobaireachd Society Book 16 等を購入した際にも、こんな法外な送料が掛かったことはなかったのですが…? 理由は不明ですが、手続きを進めて行くと配送手段がこれまでのように郵便 (Royal mail)ではなく勝手に宅配便(courier)となってしまいます。どうやらこのせいで今回の様に安価な物を購入しようとする場合には、相対的に送料 が割高になってしまう様です。それにしても本体の2倍の送料、つまり支払額が3倍になるというのは余りにも馬鹿げています。

 そこで、改めて ScanSnap SV600 について検討する事にしました。
 2012年に初登場した際は Windows にしか対応していなかったようですが、2013年には MacOS にも対応。ちょうど一年前の2015年2月にはマイナーチェンジも実施された模様。さらには、PDF編集ソフトなども添付されているとの事。実勢価格もお よそ5万円と判明。これならば、ピブロック・ソサエティー・ブックのデジタル化の際にも楽譜を裁断せずに済むし、この際このスキャナーを購入した方がベ ターだと判断。早速、ネットで注文しました。

  スキャナー到着後、早速に作業を開始。うたい文句通り、見開きページを自動で切り分けてくれたり、本の中央部分の文字の歪みや傾きも見事に補正されます。 しかし、実際のところ歪みや傾きの補正結果は完璧に満足できるようなレベルではありません。そこで、見開き2ページ毎に一旦 JPEG形式で取り込み、画像処理ソフトGIMPを使って歪みや文字の傾きの修正、活字全体のレイアウト調整、汚れや影の消しゴム処理等を施した後に PDFファイルに仕上げる、という作業行程を取りました。およそ3日間掛けて 224ページを取り込み→修正→PDFファイル化。やり直しを含めると多分120〜130回程のスキャン&修正作業を延々と繰り返しました。

  「僅か3日間で?」と思われるかもしれませんが、ScanSnap はフラット・ヘッドスキャナーに比べてスキャン・スピードが格段に速いのです。そして、SV600 が S1300に比べてさらに優れているのが、解像度に関係なくスキャン・スピードが僅か3秒(!)と極めて高速である事。今回も解像度を 300dpi に設定しましたが、それでも変わらず3秒。開いたページを指で押さえる際の力加減によっては、取り込みに失敗する事も多々あるのですが、そんな時は躊躇せ ず失敗したファイルを捨ててやり直せば良し。
 試しに、我が家の2台の(プリンター複合機の)フラットヘッド・スキャナーを使って、同一条件でスキャン・スピードを計測してみました。「A3対応/画 質は劣る」Epson PX1700F の場合は1分45秒程。「画質はベター/A4対応」Canon MP640 に至っては何と3分近く掛かりました。つまり、これらのフラットヘッド・スキャナーを使って百ページを越す本を裁断せずに自炊するというのは、膨大な時間 を要する作業になります。

  さて、全てのページのPDFファイルが完成しそれらをバインドした所で、次は添付されていた Nuance PDF converter for Mac という編集ソフトでリンク張りの作業。今回はこの添付ソフトのお陰で、Windows マシンを借りなくても済むようなったのも幸いでした。やはり、出来るならば最後まで Mac で作業を完結したい所。
 この本の一覧表に載っている 194曲の内、歴史に関する記述が書かれているのが 97曲。構造パターンの解説が書かれているのが 119曲。歴史の記述と構造パターンの解説はそれぞれ別のページに書かれているので、目次の12項目と合わせておよそ 240のリンク。そして、全てのページから目次やインデックス・ページに戻るリンクが総ページ分 224ヶ所。Kilberry Book のおよそ2倍のリンクをシコシコと作成しました。 確かに大仕事とはいえ、今回は操作性の優れた MacOS に最適化されたソフトのお陰で、前回よりも随分と楽に作業する事が出来ました。

  その後、同じソフトで OCR処理をして文字識別可能な PDFを作成。OCR処理をすると文字列が検索可能になるだけでなく、インターネット・サイトを閲覧する時と同様に、知らない単語や用語を調べたい時に は、画面上でその文字列を選択すればそのまま辞書やウィキペディアで調べる事が可能になります。その代わり、リンク情報は失われてしまうので、その時々に 「リンク」と「文字識別」のどちらを必要とするかによって、通常版とOCR版を上手く使い分ける必要があります。

 この様にして仕上げた、自家製デジタル版 “The History and Structure of Ceol Mor” が 極めて便利なのは言うまでも有りません。iMac の27インチのディスプレイや iPad の画面一杯に文字を広げることができるだけでなく、一覧からは曲の歴史や構造を解説したページにひとっ飛び。また、OCR版を使えば辞書無しで読み進める 事も至って容易。オーバーヘッド・スキャナー購入の意義は極めて大でした。

 さて、いよいよ次に控えているのは、ピーブロック・ソサエティー・ブック16冊のデジタル化の作業です。

2016/2/16
(火)

The "How to" Piobaireachd Manuarl and CD
自家製デジタル版

 2月14日に↑と書いておきながら、またまた別の本を自炊してしまいました。ピーブロック・ソサエティー・ブックは大仕事という意識が抜けなくて、なかなか手がつきません。

 今度は Archie CairnsThe “How to” Piobaireachd Manual and CD です。もちろん、CDは抜きですが…。

 実は、私が新たな曲の練習をする際、また、装飾音やピーブロック用語の意味や発音が知りたい時などに、参照する機会が最も多いのがこの本だという事に思い至ったのです。

 また、この本はスパイラル・バインドなので、1ページづつ平面としてスキャンできるのがミソ。先日の Haddow の本よりもはるかに自炊し易いという事にも気が付きました。
 もちろん、同様の理由からこの本についてはフラットヘッド・スキャナーでもスキャンは可能です。そして、ガラス面に密着させるので歪みが出にくいフラッ トヘッド・スキャナーの方が、修正も最低限で済むのは事実。しかし、なんと言ってもスキャン自体に時間が掛かり過ぎます。試しに数ページをスキャンしてみ ましたが、一度 SV600のスピードを体験してしまった後では、余りにもまどろっこしくて到底耐えられません。

 色々試行錯誤したところ、SV600でスキャンする場合もやはり誌面はビシッと平らに押さえつけた方が、スキャン後の修正作業が楽なようです。実はそのような用途の SV600の関連商品としてブックプレッサーと いう器具が販売されています。しかし、「外部光の侵入・反射を軽減し、光線透過率の高い特殊フィルムをアクリル板に貼付」といったうたい文句だけでなんと 1万5千円。SV600自体が5万円なのにこれはちょっとアホらしい。近くのホームセンターに行き、この製品と同じ3mm厚のアクリル板を約2,500円 で購入。十二分に用が足りました。

 もう一つ、前回より作業効率がアップした理由があります。前回は JPEG 形式で取り込み→修正作業したファイルをその都度 PDF化。最後に全ての PDFファイルをバインド(結合)というプロセスをとりました。しかし、今回は修正作業の終わった JPEGファイルはそのまま貯めておいて、最後の最後に MacOSの自動処理プログラム(Automator/WindowsOS のマクロと同様ですがプログラムを組む容易さは天地の差)を組めば「JPEG → PDF → ページ順にバインド」の一連の作業はワンクリックで完了できる事に気がついたのです。

 これらの甲斐もあって今回は取り込み→修正作業も至って楽チン。ちょうど100ページのこの本の自炊作業は、リンク張りも含めてまる2日間も要せずにあっと言う間に完了です。

 いや〜、ますます便利になりました。さて、今度こそ…。

2016/4/10
(日)

エイプリルフールの出来事

 "Piping Times" online Edition については、最後に報告した 2014年5月以降は平穏な日々(月々?)が続いていました。ところが、先日4月1日のエイプリルフールに久しぶりにまたまたやってくれました。いつまで経っても退屈させてくれませんね。

 前にも書いた通り、私の定期購読は毎年2月で終了します。今年もまた例年の如く「もういい加減購読やめようかな?」と逡巡しつつも、結局「ま、いい か〜」と、2月号の配信のあった日に一年間の購読更新を手続き。そして、新しい定期購読期間の最初の号である3月号が3月1日に無事配信されてほっと一安 心。

 確かに、購読更新の手続き後には CoPからの注文確認のメールと PayPal からの領収メールが送られてきています。しかし、最終的に私の新しい購読期間を配信システムの中でリニューアルするのは CoP のスタッフの手作業だと想像されるので、その事が抜かり無く処理されて実際に配信されるまでは決して安心できないのです。

 さて、そんな不安感も無くなったところで次の4月号がスケジュール通り4月1日(金)に配信。ところが、ログインしようとしたら、なんと次のようなメッセージが…。



 この後に及んでまるで意味不明。しかし、CoP の事ですから「2月号配信後に定期購読終了処理をし忘れて3月号に突入。その後、リニューアルの確認もせぬままに遅ればせながらの定期購読終了処理をして そのまま放置。」といった間抜けな対応をした、という様なことは十分に考えられます。

  余りのアホらしさに、もしかしたら「エイプリルフールのジョーク?」という事も半ば本気で考えました。しかし、現地時間の2日になっても同じ状況である事 を確認したところで、単なる間抜けな処理がされていると確信。4月1日以降最初のワーキングデーたる4月4日(月)の業務開始一番にメールを読ませるよう に、月曜日朝の内にメールを送信しました。

 タイトルを「これってエイプリルフールのジョーク?」とし、本文は一切書かず、上の画像とともに、2月1日付けで CoPから送信された購読更新を受付た際のインボイスを皮肉たっぷりに並べて添付。言いたい事は明々白々で伝わるでしょう。

 メールの宛先は shop@collegeofpiping.org と andrew@collegeofpiping.org としました。
 そうしたところ、ものの1分もしない内に ○ndrew Wallace から次のような至って丁寧な文面のメールが返信されました。

 I am sorry I cannot respond to you immediately. I am on annual leave until 20th April. I have limited access to my email and I will get back to you as soon as possible. If you require immediate assistance, please email college@collegeofpiping.org, or phone +44 (0) 141 334 3587. Regards

 一瞬「お〜、丁寧な物言いで即返するなんて殊勝な心がけだ。大分反省した ようだな。」なんて思ったのですが、よく見るとタイトル欄に Automatic replay : とあります。な〜んだ。年次休暇中の自動返信メールの定型文か。道理で俊速の返信かつ丁寧な文面だと思った。

 それにしても、4月20日まで戻らないのであれば、それまで待っているのも癪だし、第一黙って待っていれば、その頃にはすっかり忘れられてしまうのは目に見えています。
 定型文のアドバイスに従い、改めて colleg@collegeofpiping.org 宛にメール。本文として「誰かログイントラブルを何とかしてくれ〜」と書きつつ、○ndrew Wallace からの自動返信メール本文と、上の画像2枚をそのまま添付して送信したのが4月6日の事。しかし、それから2日間は結局なしのつぶて。「またかよ〜!」と悪態をつきつつ、とりあえず暫くは待つ事に…。

 そうしたところ4月9日になって何故かまだ休暇中のはずの ○ndrew Wallace から

 Hi
 This should work now. 
 Can you please try and let me know how you get on. 
 Thanks

 …と、至ってノー天気かつ愛想の良いメールが到着。試してみると確かにログイン可能状態に…。そもそも遠隔操作可能なら、最初のメールを自分自身で確認した後に直ぐやれよ!

 いや〜、またしても相変わらずの CoP ぶりに振り回された日々でした。

⇒さらば "Piping Times"

2016/4/11
(月)

The Piobaireachd Society Books 自家製デジタル版

 CoPのデジタル書籍は相変わらずトラブル続きですが、私の自炊による自家製デジタル版作りははその間も粛々と継続。The "How to" Piobaireachd Manuarl and CD デジタル版作成の作業を終えた2月半ばから、ほぼ2ヶ月間掛けて The Piobaireachd Society Books16冊のデジタル化に取り組んできました。
 膨大なページ数に圧倒されてしまわないよう、出来るだけ先を見ないように心掛けつつ、ただひたすら「スキャン→JPGファイルでの修正作業→PDF化」 を淡々と繰り返すことおよそ半月。16冊に加えて、1997年にリリースされた "General Preface to the Piobaireachd Society Collection" を含めたすべてのPDF化が完了してみるとなんと総ページ数は708ページに…。

 ところが「さて、次は目次ページからのリンク張り作業だ。」と意気込みつつ全ページをつらつら捲ってみていると、既に修正作業を終えたにも拘らずあれこれと不具合が目に付く様になってしまいました。
 その理由は、私自身が求める修正レベルが上がったこと。JPEGファイルの修正には Adobe の Photshop 並みの機能を持つ GIMP というフリーの画像処理ソフトを使っていますが、この間の一連の作業経験を経てこのソフトの習熟度が高まり作業が徐々に高度化。その結果、以前は見逃して いた不具合も気になるようになってしまったのです。
 そこで、改めて全ページを見直して微修正する作業に入りました。五線譜や文字列のわずかな歪みも、回転、剪断変形、遠近法変形、ケージ変形、と言った ツールを駆使して修正。スキャン時に裏面の印刷が透けてしまったドットや汚れも、消しゴムのサイズを様々に調整しつつ丹念に消し去ります。そんなかんなで リンク張りの準備が整うまでに、さらに1ヶ月余りも費やしてしまいました。

  そして、いよいよ最終段階のリンク張り。昨年、25年ぶりにリリースされた Book 16を除く15冊に収められている 244曲のインデックスは2ページに集約した物が別途リリースされています。そのインデックスと Book 16の20曲のインデックスから夫々の楽譜のページにリンクを張ります。一曲当たりのページ数は楽譜自体と解説で最低でも2ページ、多い場合は数ページに 渡りますが、リンクするのは夫々の曲のトップぺージのみとし、インデックスページに戻るリンクもトップページからのみとしました。今回は総ページ数が多い ので手抜きです。ですから、264曲分のリンク張り作業自体は比較的楽に数日間で完了。

 The Piobaireachd Society Books 自家製デジタル版の完成です。

 オリジナル以上にクリアな譜面と解説ページの16冊全ページが一体としてバインドされ、全曲のインデックス・リンクまで張られたデジタル版 The Piobaireachd Society Books なんて物は、おそらく世界中見渡しても他には存在しないと思われます。まあ、たとえ存在していても著作権の関係で公にはなりにくいので確認のしようがない、というのが本当のところですが…。

 現在およそ半数がリリースされている公式デジタル版が全冊出揃うのは、これまでのペースで考えるとまだ2、3年掛かりそうです。また、たとえそれ が完結した場合でも、公式版の電子書籍フォーマットは、シンプルなPDFファイルに比べて、遥かに使い勝手が悪いことはこれまで幾度となく指摘してきた通 り。そもそも、個別に販売される各冊のデジタル版が手元に全部揃ったところで、全冊を貫くようなリンクが張られた全曲インデックス・ファイルが提供される のでしょうか? 現在の CoP の電子書籍システムの不親切さから考えると、それは余り期待できそうには有りません。

 一方、紙版の The Piobaireachd Society Books はそもそも手元で開くには手に余るサイズ。さらに、16冊に分冊されているため使い易いとは到底言い難い。これまでは、どうしても参照したい楽譜があった際に該当する一冊を取り出しその楽譜をコピーする、といった使い方しかしていませんでした。
 しかし、今回作業しながら折に触れ各曲の解説ページをチラチラ見ていると、やはりこれはしっかりと目を通さなければならないな〜、と思わされる記述が多 々目につきました。これからは必要な楽譜をワンクリックで呼び出せる便利さだけに満足するのでなく、これまで読み過ごしてきた解説ページについても丹念に 目を通していきたいと思います。

 惜しむらくは、著作権を考慮するとこの例を初めとして、これまで紹介してきた一連の自家製デジタル版はあくまでも私だけのプライベートユースに限られるという事。まるで、単にひけらかしているだけのような顛末報告にならざるを得ないことはどうかご容赦下さい。

⇒ Binnea is Boreraig 自家製デジタル版

2016/4/12
(火)

iPad Pro
9.7 inch

 私の性格として、ある製品を選ぶ際の基準として「新しいもの好き」な面があるのは否定しません。しかし、同時に「気に入ったものは出来るだけ長く使いたい」と思う気持ちも強くあります。これは言い換えると「出来るだけ長く使えるような(ライフサイクルが長い)製品を好む」と言う事でもあります。

 我が家では昨年5月に車を買い換えましたが、それまでのボルボ850エステートには19年間乗り続けました。走行距離は15万km弱。本当は、20年間 or 20万kmを目標としていたのですが両方とも果たせず、少々残念な想いが残ります。
 1996年にボルボを購入した際の動機の一つに、ボルボの オーナーは長く乗る人が多く古いボルボが当たり前のように走っているので、長く乗り続けても古臭く見えない車である、と言うことが有りました。また、母国 スウェーデンではボルボの平均利用年数は20年を超すと言うこと。確かに、その車体は正にその利用年数を裏付けるような堅牢な造りでした。
 昨年入れ替えたレンジ・ローバー・イヴォークも同様の理由。イヴォーク自体は2012年にラインナップに加わったばかりの、レンジ・ローバー・シリーズの中では新参のモデルですが、街には様々な年代のレンジ・ローバーが悠々と走っていて、どれもちっとも古臭さを感じさせません。

 iPad については、2010年1月発表の初代を、発売日に入手して以来、およそ6年間ずっと使い続けてきました。iPad は毎年のように代替わりしていますから、最新のものから数えるとちょうど6世代前のタイプに当たります。

 車もデジタル機器も気に入ったモノを使い続けられれば使い続けたい気持ちは大なのですが、どちらの製品も、ある時点を超すとその時代の水準から余りにもかけ離れすぎる状況に陥ります。ボルボの場合は、ATのシフトが4段しかなくて燃費が余り良くない事や、足回りがヘタって来た事などが寄る年波を感じさせられる大きな要因でした。

 一方、iPad の場合は、かなり前から iOSやアプリの最新版が対応しなくなっていました。何しろ、iOSの最新バージョンが iOS9になっているにも拘らず、初代 iPad はなんと iOS5までしか対応していないのです。
 ですから例の HBT App for iPhone & iPad のアプリも、今では最新の iOS9 で動作している iPhone と iOS5で動作している iPad では表示や機能が微妙に異なっています。昨年9月からは、朝日新聞のアプリも対応しなくなって新聞すら読めません。そうそう、なんと初代 iPad にはカメラさえ付いてないのです。

 …とは言いつつ、そのような状況になってもある決定的な局面を迎えるまでは「まっ、いっか〜」と騙し騙し使い続けるのが私の常。

 ボルボに 於ける決定的な局面というのは、ブレーキペダルのスイッチが壊れているのに気づかず(玉切れはウォーニングランプが付くのですが、さすがにスイッチ は…)、走行中にブレーキランプが全く点灯していない状況を、たまたま後ろに着いたパトカーに指摘(?)され、整備不良の違反切符を切られてしまった事で した。まあ、いつからなのか分かりませんがブレーキランプが点灯しない状況で追突されなかったのが不幸中の幸いと感謝しつつも「些細だけど、こんな肝心な 箇所が突然壊れるようになったらいよいよ潮時だな〜」と思わされた出来事でした。

 さて、iPad の決定的な局面は、今回手がけた自家製デジタル版の本&楽譜の閲覧に際して訪れました。一連の作業で完成した自家製デジタル版は The Kilberry Book of Ceol Mor が 159.3MB、The History and Structure of Ceol Mor が 352.8MB 。かなり大きなサイズになってしまったこれらの PDFファイルの閲覧の際、やたら動作が鈍い事を痛感。急いで操作するとアプリがシャットダウンする事も何度かありました。
 そしてトドメは、今回の The Piobaireachd Society Books。790.6MBと言うその巨大サイズに、初代 iPad はとうとう完全に音を上げてしまいました。ページを捲るのになんと3秒近く掛かる始末。スキャンするのに3秒しか掛からないのに、ページ捲るのに3秒掛かっていてどうするんじゃい!

 やれやれ初代 iPad もいよいよ引退の潮時。早速、Apple のオンラインストアで最新の iPad Pro 9.7 inchゴールドを発注。4月14日午前中に配送予定です。

 これで、各種自家製デジタル版の本&楽譜集をサクサク読み進める事ができるでしょう。これからはこれまでの努力の成果を存分に味わう段階です。


 ちなみに、私は iPhone も2011年秋リリースの 4S を4年半使い続けています。4S の後に出た iPhone 5 のサイズが大きくなったので買い替えを控えていたら、次に出た iPhone 6 でさらに大きくなって、買い換えるタイミングをすっかり失いました。

 そんな所にこの春、iPhone SE と言う iPhone 5 と同じ画面サイズ 4inch のタイプが復活したので、ようやく買い替えを決意。3月末のリリース時点で早速予約を入れました。ところが、何故か全国的に在庫切れとの事で、実際に手にするのは5月中になりそうとのことです。
 少々不満ではありますが、それよりもこのところサイズ拡大の一途をたどっていた iPhone に対して疑問を抱いていたのは自分だけじゃなかったのだな、と溜飲を下げています。そもそも、ジョブスが生きていたら、4.7inch の画面サイズの iPhone なんてモノをリリースしていたかどうかは少々疑問です。

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2016/6/27
(月)

Binneas is Boreraig 自家製デジタル版

 iPad Pro は予定通り4月14日に配送。iPhone SE も遅れに遅れはしましたが、それから約一ヶ月後の5月11日に入手完了。数年ぶりに、iOSガジェットが最新バージョンに更新されました。

 お陰で朝日新聞もアプリで読めるようになったし、790.6MBの The Piobaireachd Society Booksを始めとして、この間作成した自家製デジタル版の本&楽譜集がストレスフリーでサクサクめくれるのが何より。2013年に購入して以来ここしばらく眺める事から遠ざかっていた The Book of Kells も Retina Display の繊細な画面で眺めると、その渦巻き模様や組紐模様の込み入った文様に飲み込まれそうになります。


 さて、そんな中、CoP のデジタル版にはまたしてもやられてしまいました。
 iPad の CoP Bookstore アプリも最新版にやっとアクセスする事ができるようになったので「まあ物は試し」と購入済みの The Kilberry Book Binneas is Boreraig を閲覧しようと思った訳です。そこで、アプリを開けて My Downloads のページを開きましたが、あるのは The Kilberry Book だけ。Binneas is Boreraig が見当たりません。これまで使っていた旧 iPad の古いバージョンの CoP Bookstore アプリでは読めたのですが…。

 例によって、○ndrew Wallace 宛にメールを書けば直ぐに解決するでしょう。しかし、CoP のデジタル版の使い勝手の悪さにはとうの昔にさじを投げているのでどうせ使わない物。それすらする気になりません。
 しかし、それにしても使う使わないは別にして、一旦はお金を出して購入したのだから、それにアクセスできないとすれば、それは詐欺ですよね。

 Binneas is Boreraig の特徴的な3線譜に記された楽譜は、正直使い勝手が良いという訳ではありませんが、パイプのかおり第14話で紹介したように、復刻版に新たに加えられた各曲の解説に大きな価値があります。特に、作曲者に関する記述に関しては、他の資料では書いてあったりなかったりで、その都度あれこれ当たらなくてはならないのですが、Binneas is Boreraig の解説には、判明している限りほぼ作曲者が記載されているので重宝。

 そんなかんかで、この際 Binneas is Boreraig も自家製デジタル版を作成する事にしました。幸い、この楽譜集も The “How to” Piobaireachd Manual and CDと同様にスキャンが容易なスパイラルバインドで、総ページ数も130ページ余りで少なめで楽勝!と早合点。
 …が、その実、その特徴的な彩色譜面を活かすためこれまでと違って今回はカラースキャン処理したので、修正作業にもそれなりに手間が掛かってしまいました。そんなかんなで、リンク張り作業が全て終わるまでに3日間を費やしました。

 この楽譜集は楽譜によっては見開き2ページに掛かるように横長に書かれている曲もあったり、解説文と楽譜が見開き左右で隣り合っていたりするので、原則見開きで使いたいところ。
 iMac の 27inchディスプレイの 場合はそれが無理なくできるので、ある意味 iMac 27に最適化しているとも言えます。もちろん、PDFファイルの自家製デジタル版の良いところは、OSを選ばないという事。iPad を始めとしてどんな端末に幾つでも限りなくコピーして使えるのが何よりです。これでまた、デジタル・ピーブロックの利便性が高まりました。

⇒ Pipers Meeting 自家製デジタル版

2016/9/21
(水)

Piobaireachd HighA?

 掲示板でピーブロック仲間の O’HARAさんから次のようなご質問を頂戴したのでお答えします。

「最近練習している中で分からないのが、Piobaireachd HighGHighA通常の HighG、HighA 及び throw on DLightHeavy の使い分けです。それらの法則性があれば教えてください。」


(1)Piobaireachd HighG について
 ピーブロックの演奏では Piobaireachd HighG 以外は一切使いません。
 Piobaireachd HighG は通常の HighGとは微妙に音程が異なります。
 また、ピーブロックで出てくる HighG 絡みの装飾音はどれも Piobaireachd HighG の指遣いを前提に構成されているからです。

(2)Piobaireachd HighA(?)について
 一般的に Piobaireachd HighA という言い方はしないと思いますが、bugpiper さんの 2006年 The Argyllshire Gathering レポートでご報告頂いた Robert Wallace の指遣い「HighG からの HighA は親指を離すのみ、他の音からの HighA は普通の指遣い」の中で出てくる『HighG から親指を離すだけの HighA』を Piobaireachd HighA と呼ぶのだとすれば、この指遣いは時によって極めて合理的な場合があります。また、音程も変わらないと思われます。
 この指遣いを知って以来、私はこれらを前後の音の繋がりによって適宜使い分けています。

 では具体的に、The Daughter’s Lament の Urlar を例にとって説明します。以下、Piobaireachd HighA を P-HiA(赤丸)、普通の HighA を O-HiA(青丸) と表記。

Daughter'sLamentUrlar

●1st ライン3小節目は (Chedari)HiG〜(tr)HighA という極めて混み入った指の動きからして、HighA-doubling の処理がし易い P-HiA の方がベターです。

●4小節めの(tr)HighA は次の5小節めの HighG に続くので P-HiA で演奏するべし。なぜなら、この2音を移行する際に、単に親指穴を塞ぐだけというワンアクションで済ませられるからです。

●7小節目の (Chedari)HighG-HighA-D、2nd time 7小節目(Chedari)HighG-(tr)HighA-F も、3小節目と同様。

●その一方で、2nd ライン の1小節めの HighA-dreE-HighA-E という音列の場合、特に前半の HighA-dreE に関しては、指の動きが単純な(単に慣れているだけ?)O-HiA の方が歯切れよく仕上がるので私は O-HiA を使います。
 必然性は無いのですが行きがかり上、次の HighA も自然と O-HiA になります。

●2nd ライン3小節目の E-(tr)HighA-HighG は指の動きが圧倒的に少なくなるので P-HiA を使うのがベター。

●3rd ラインは以上のパターンを適用。

 以上を参考にしながら、ご自身でも試してみて下さい。
 P-HiA に慣れない間はすんなりと納得できないかもしれませんが、慣れるときっと「なるほどな〜」と感じられると思います。

(3)throw on D の Light と Heavy の使い分け
 私はピーブロックを始めた頃からずっと「ピーブロックに関しては Light D throw を使うのが定石」だと思い込んでいました。ところが、最近になって様々な古い楽譜を目にするようになって「そうでもないんだな〜」気づかされ、考えを改めた次第。
 おそらく、ある場所の D throw で LowGのインパクトを入れるか?入れないか?についての使い分けには、歴代のパイパーたちが、その部分の表現に際して思うところあって選択した結果だと思うのです。
 ですから、最近は割と表記されている様に演奏する様にしています。例えば、Donald MacDonald setting の楽譜にある "Sister’s Lament" の Urlar には両方出てくるので、逐次その表記に従っています。


 その後、掲示板で bugpiper さんが次の様に投稿されました。

> I氏の師の一人、Hugh MacCallum は、Crunluath a Mach on D のみ Heavy で 演奏したとご本人から聞いたとのことです。

 そこで、Archie Cairns"How to" Piobaireachd Manual を紐解いたところ、確かにそう書いてありました。

 私は、これまでずっと Light D throw でやっていました。まだまだ学ぶ事ばかりですね〜。

2016/9/25
(日)

ピーブロックに関する情報の整理&管理につい

 O’HARAさんから。もう一つ次のような質問を頂きました。

「パソコン・スマホ等機器による Piobaireachd のデータ収集、整理、管理をご自身では、どのようになされていらしゃいますか? 差し支えなければお教えください。」


 この機会に、私が日常行っているピーブロックに関する情報・データの整理・管理について説明します。まあ、これはハードやソフトの更新に連れて年々変化し、情報の追加によって日々深化するものですから、あくまでも現時点での状況ですが…。

 まず、私が日常的に使用しているIT機器は次の通りです。
iMac 27inch(ストレージ容量1.12TB/SSD120GB+HD999GB)
Time Capsule(Time Machine バックアップ用HD/容量2TB)
iPad Pro 9.7inch(容量32GB)+Apple Pencil
iPhone SE(容量64GB)

 当然ながら全てのデータはまずはメインマシンである iMac 27inch のストレージに収納。
 Mac OSTime Machine システムは、ほぼ1時間ごとに自動で差分をバックアップするので、新しいデータをゲットすれば直ぐにバックアップされます。そうは言っても、豪雨が頻発する最近の気象状況では、雷で全てがパーになる危険性も否めません。そこで、思いついた時には無線LAN経由で古い iMac 20 inch と同期したり、以前 Time Machine 用として使っていたもう一台の外付けHDを繋いで、主要なファイルをバックアップする事もあります。
 さらに、最近ではエクストラコストを払ってでも主要なファイルはクラウド・ストレージにバックアップをとる方が安全なのかな〜?と思案中です。→その後の経過

 ファイルの管理はそんな感じですが、要はデータをどの様に整理するか、どの様にアクセスし易くするかが工夫のしどころです。

(1)文献資料

1)iMac

iMac_Desktop

 iMac のデスクトップです。

iMac_Dock

 ドックにはよく使うソフトのアイコンの他に、右から2、3個目の2つのアイコンが、頻繁にアクセスする主要なフォルダへのショートカットになっています。

iMac_Dock_P マウスを操作して最も手近な位置にある Piobaireachd のホームフォルダをクリックすると↓の様に展開します。
 ピーブロックの練習の際、あるいは資料を読んでいる際にスコアを調べたい様な場合に必要なインデックスと楽譜集を並べてあります。言い換えれば「座右のフォルダ」と言ったところ。

 ホームフォルダの資料は次の通り。 

 00 My Scores : 練習用に編集したマイ楽譜コレクションPDF。30数曲分。

 01 Piobaireachd Index : 全てのピーブロックの様々な楽譜集の収録先が一覧になったインデックス。ヘッダ行を固定してスクロールして見やすいように、このファイルだけは Numbers という MacOS の表計算ソフトのファイルです。元データは確か Ceol Sean の Steve Scaife 作だったと思います。

 02 Piobaireachd Index : 同じ内容の PDF版

 03 Piobaireachd Society Books : Book 1〜16 の自家製デジタル版

 04 The Kilberry book of Ceol Mor : 自家製デジタル版

 05 Binneas is Boreraig : 自家製デジタル版

 06 Pipers Meeting:自家製デジタル版(2017年5月完成&追加)

 07 "How to" Piobaireachd Manual : 自家製デジタル版

 20〜25のブリーフケースのアイコンはフォルダアイコンです。それぞれのアイコンをクリックするとフォルダが開いて次のフェーズに入ります。

iMac_Articles.jpg

 20 Articles には、個々の曲の歴史や背景を調べたい時に必要な本など、どちらかというと読み物的な文献を収めてあります。ネットからダウンロードしたもの、自家製デジタル版など出典はあれこれ(出所を思い出せないものも多々)。
 また本の場合には、目次から該当ページへのリンクを張ってある通常バージョンと、語彙の(辞書)検索やマーキングが可能な様に OCR処理したバージョンの両方を並べてあるモノもあります。

 01 The History and Structure of Ceol Mor  : 通常バージョン
 02 The History and Structure of Ceol Mor  : OCRバージョン

 03 Art of Piobaireachd by Ian L. MacKay : 通常バージョン
 04 Art of Piobaireachd by Ian L. MacKay : OCRバージョン

 05 Legendary & Historical Notes of Ceol Mor by Roy Gunn : 通常バージョン
 06 Legendary & Historical Notes of Ceol Mor by Roy Gunn : OCRバージョン

 07 Piobaireachd - Classical Music of the Highland Bagpipe : 通常バージョン
 08 Piobaireachd - Classical Music of the Highland Bagpipe : OCRバージョン

 09 PIOBAIREACHD and its Interpretation : 通常バージョン
 10 PIOBAIREACHD and its Interpretation : OCRバージョン

 11 Masters of Piping by Seumas MacNeill : 通常バージョン(2017年10月完成&追加)
 12 Masters of Piping by Seumas MacNeill : OCRバージョン(2017年10月完成&追加)

 13 The Bagpipe Fiddle & Harp by Francis Collinson : OCRバージョン

 etc.…

 21 PS Proceedings は、1973年〜2016年の Piobaireachd Society Annual Conference の講演録を年度毎に一冊にバインドしたPDFファイルを年代順に並べて収録。
 講演録自体は、今では PSサイトでいつでもアクセス可能ですが、いちいちログインして、あれこれクリックして目的の講演録に辿り着くまでにかなりの手間が掛かります。また、サ イトにあるのは講演毎のファイルなので、ダウンロードしただけでは膨大なファイル数になり収集が付きません。そこで、一手間掛けて年度毎にバインドしてい ます。

 22 PS Articles は、PSサイトにアップロードされている様々な文献資料を個々にダウンロードして収録。大分前に作業したので、その後追加された文献の取りこぼしがあるかもしれませんが、それでも現在 74ファイルも有って読むのが追い付いていません。これらについても、PSサイトでいつでもアクセス可能ですが、やはり、その都度アクセスする手間を省きたいのと、ネット環境に関わらず何時でも読めるようにオフラインバージョンとして保存してあります。

 23 Donaldson は北米のネットマガジン "pipes|drums" に2000年から連載されている、Dr. William Donaldson による PS Set tunes に関する解説コーナーのマテリアル。現時点でおよそ170曲分。解説ではあらゆる古い楽譜集を全て網羅して見比べています。つまり、この資料があれば PSサイトCeol Sean の個々の古い楽譜集を一々めくって該当の曲を検索してする手間が省けて極めて重宝。これらも、サイトでいつでもアクセス可能ですが、上と同様の理由でオフラインバージョンを保存。

 24 "Bagpipes" "Bagpipes" A National Collection of a National Instrument by Hugh Cheape"(2008/National Museum Scotland)に付属している CD-ROMの中身そのもの。
 本の内容の主要部分がデジタル化されて収録されています。特に写真類を大型ディスプレイの鮮明な画像で閲覧できるのはメリット大。

 25 Materials はいわばバックヤードの収蔵庫。
 収蔵品の中で最も価値があるのは Ceol Sean から購入した各種の古い楽譜のデータを収めた8枚のCDでした(過去形)。これらは、現在では Ceol Sean のサイトで無償提供されていて、誰でもいつでもダウンロード可能となっています。
 また、Donaldson の資料や Alt Pibroch Club - Musical Materials のページで、それぞれの楽譜をイージーかつ横断的に参照できる時代が到来し、実のところ正にお蔵入り状態。
 お蔵入りといえば、CoP から購入した 公式デジタル Kilberry Book(PC版)も一応捨てずにここに残してはあります。
 その他は、余り参照しないと思われるどこかで拾った楽譜や資料や、本のデジタル化作業の際に個々のページを修正する際に使用した JPEGファイルなどを収納しています。
 JPEGファイルは、再度修正が必要になった際に PDFファイルから書き出せば済むのですが、楽譜類については、ある特定の曲のJPEGファイルが欲しい時にはすぐ取り出せるのが便利。
 でもまあ、ここは殆どがタンスの肥やしというのが正直な所。


2)iPad

 iPad の PDF閲覧アプリとしては、以前は定番の GoodReader をメインで使っていましたが、現在は i文庫HD がメイン。iOS デフォルトの iBooks はどういう訳か使いにくい。
 iBooks は使い勝手の悪さもさることながら、以前は木製本棚を模していたフォルダデザインが、 Jony Ive(今やアップルのデザイン担当副社長ですからね)の "simple is the best" 嗜好がとことん徹底され、バージョンアップの度にどんどんシンプルに…。今では到底本棚というイメージは無くなってしまいました。そんな訳で、私は初期の iBooks をパクった本棚フォルダのデザインをそのまま保持している i文庫HD がお気に入りです。

 また、使い勝手の面からも操作や表示などについて極めて細かく設定できる i文庫HD は、PDF版のデジタル本を読むという事に関して大変優れています。中でも私が特に有難いと感じるのは、手動で余白を自在に設定できる事。
 書籍というものは、ページを開いた時に読み易い様に最適な幅の余白が取られているので、自家製デジタル版作成の際も、基本的にはその余白をそのまま反映させます。そして、iMac の大画面で2ページ見開きで読む際は、この余白は紙の本と同様に読み易さに繋がります。
 ところが、老眼故少しでも大きな文字で読みたい身としては、iPad の 9.7インチしかないディスプレイで読む際にはこの余白がもったいない。…かと言ってページ毎にピンチアウトして画面一杯に文字部分を広げるのは煩わしい限り。
 そんな時、i文庫HD では4方向の余白をそれぞれ任意の幅で手動カットする(自動もある)事が出来るのです。一度設定した余白幅はその本のファイル毎に保存されます。ですから、一旦本を閉じて本棚にしまった後でも、改めて同じ本を開けば前回指定した余白幅の誌面が表示されます。

 この i文庫HD には基本的に iMacPiobaireachd フォルダの中身をそのままの階層で保存し、並列した5つの本棚にそれぞれの階層毎に表示される様にしています。

 この記事を書いている最中に新たに Apple Pencil を入手しました。

 実は、この半月ほどの間に Seumas MacNeillPiobaireachd - Classical Music of the Highland Bagpipe"(1968)を初めとする、読み物系の参考文献4冊を続けざまにデジタル版加工していました。そして、その過程でそれらの本に沢山引いてあるラインマーカーを残すかどうかで逡巡しました。
 ラインマーカーを残すためにはカラーモードでスキャンする必要があります。しかも、紙質が悪く年代を経て黄ばんでいるこれらの本のラインマーカーを写し とるためには、ある程度の濃さでスキャンしなくてはなりません。ところがそのようにすると、スキャン画像は全般的に黒ずんでしまうので、その後の修正が極 めて煩わしくなるのです。
 Binneas is Boreraig
をカラースキャンしてデジタル化した際はさほど黒ずみもせずに、ラインマーカーも綺麗に写しとられていたのですが、あの本の場合はそもそもカラー印刷のために光沢紙を使っている特例でした。

 そこで、今回の作業ではラインマーカーを残す事は諦めて、全てグレーモードでスキャン。仕上げた PDFファイルについて、まずは目次やインデックスから該当ページへのリンク張り作業を済ませます。
 そして、その後その PDFファイルに OCR処理して文字認識ができる形式に変換したものを作成。その OCR版iMac のビューアー上でデジタルなラインマーカーを引く事にしました。

 最初に仕上がった Piobaireachd - Classical Music of the Highland Bagpipe - by Seumas McNeill については、その様にしてデジタルラインマーカー引き作業を一気に仕上げて、解体前のラインマーカーを復元しました。
 ところが、やってみて分かったのですが、この作業を iMac で一気にこなすのは、マウスのクリック&ドローの連続で結構シンドイという事。
 そこで、デジタルラインマーカー引き作業は、完成した OCR版iPad Pro でじっくりと読み進めながら行う事にしました。善は急げと Apple Pencil を早速オーダー。つい先ほど配達されました。

 余談ですが、今回の購入先ヨドバシ・ドット・コムのエクストリームサービス便ってスゴイですね。朝11時過ぎにオーダーしたのに、夕方6時過ぎには自宅の郵便受けに届いているんですから…。

 ここで問題発生。i文庫HD ではマーキング作業が出来ない。
 確かにこのアプリにもマーキングに似た「文字に《しおり》を付ける」という概念はありました。しかし、試してみた所、この「文字のしおり」はページに挟み込む「しおり」と同様に、あくまでも i文庫HD アプリ内に保存される一時的な情報であり、該当のPDF文書自体を編集している訳では無いということが判明。これでは使い物になりません。

 そこで、PDF文書の編集が可能で、かつ、マーキング作業が紙の本での作業に近いと思われる、別の PDFビューワーを探す事にしました。ササッと検索して PDFの総元締め、パソコンでお馴染みの Adobe Acrobat Reader の iOSアプリをダウンロード。
 早速、試してみましたがこのアプリでのマーキング作業は、感動するほどに紙の本のそれを彷彿とさせます。…と言うか、デジタルラインマーカーは色の種類・透明度の変更、消去も自在なので、ある意味その便利さは紙版以上かもしれません。

 ただし、Acrobat Reader で作業完了した段階で、そのファイルを再度 iMac の Piobaireachd フォルダと  i文庫HD のファイルと置き換える手間が掛かります。しかし、これだけ心地よい作業が出来るのであれば、まあ良しとするしかありません。もちろん「デジタル本が読 みやすく、本棚フォルダの体裁が良く、マーキング作業がし易い」といった三拍子揃ったアプリがあったら申し分無いのですが…。

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(2)音源資料

1)iMac

 音源資料は基本的にピーブロック以外の音源と一緒に iMac iTunes で管理しています。iTunes では、全ての音源の分類が一目で解り易い、下の様なツリー形式のカラムブラウザをデフォルト使用。

 ジャンルは全部で12。ロック、民族音楽(World)、ケルト、ブリティッシュ・トラッドを除いたハイランド・パイプに関するジャンルを選択すると次の様な具合。

 他の音源はごく普通のジャンル分けですが、ハイランド・パイプ関連の音源についてはジャンル分けとタグのつけ方に一工夫しています。

 まず、Binneas is Boreraig、Donald MacLeod Tutorials、Masters of Piobaireachd、Piobaireachd Old Settings というシリーズ音源は、それ自体をジャンル名にして独立させています。

 このようなシリーズものの場合、ある曲が Vol.?に入っていたかということは余り意味がありません。その代わり、こうしておけばそのシリーズ収められている全ての曲をタイトル順に表示することが容易で、曲を探す際に大変好都合なのです。

 Highland Pipe に収められているアルバムの殆どは、中にピーブロックが含まれていて、その曲だけは抜き出して Piobaireachd のジャンルで管理しています。しかし、あえてアルバムとして聴く価値があるようなものに限ってここにダブって収めています。
 Bill LivingstoneA Piobaireachd Diary シリーズに収録されているのはピーブロックだけですが、それ以上に曲間のナレーションが貴重なので…。

 Interview & Others は主に Pipeline や、今は無き CoP Radio でオンエアされたインタビュー音源などを収めています。

 Tutor は手元にある様々な教則本に付いていたCDなどの音源類。

 さて、いよいよ肝心のジャンル Piobaireachd について。

 最初に紹介したシリーズ物の音源を除いた純粋な(?)ピーブロック音源の数は今や 1,061個/181人のアーティスト/233曲/7日16時間48分20秒/11.33GB になっています。
 このジャンルの音源データのタグ付けの一工夫は、それがどの様なソースであろうと「アルバム名=曲名」と打ち込んで分類していること。

 この様にすることによって、アルバム欄の曲名を選択すればその曲の全ての音源が一覧に並びます。↓の "Lament for the Children" の例で言えば、コレクションされている 21個の音源が一覧で表示されているのがお分かり頂けるでしょう。
 音源によっては Urlar だけとか、特殊なセッティングだとかがあるので、その様な場合はアルバム名欄の曲名はそのままに、曲名欄の曲名の後にカッコ書きします。
 また、出典等についてはコメント欄に記入。中でも録音年(放送年ではなく)が明確に分かっている音源については、コメント欄のトップに西暦で記載します。アルバム欄の曲名でソートした後で、コメント欄を昇順or降順で並び替えると年代順に並びます。

 曲名表記については、PS Books 自家製デジタル版を頻繁に使う様になってから、iTunes の方も PS Books のインデックスページの表記と同じコンセプトに変更しました。

 つまり、Battle、Gathering、Lament、March、Salute といったテーマ別の曲が一塊になるように、"Lament, Ronald MacDonald of Morar’s" とか、"Salute, MacLeod’s"といった具合に、タイトルの最後に Lament とか Salute とか付く曲の場合はそれぞれ Lament Salute を最初に持ってきます。
 また、iTunes ではタイトルの並びは基本的に「読み方」で並んでいるので、for とか the ,(カンマ)などを除いて、"Lament, Catherine’s""Lament for the Children" が Lament の中でちゃんと Ca → Ch の順で並ぶようにするために、それらを除いた読みを「名前(読み)」の項に入れます。これはアルバム欄も曲名欄も同様。これらの地道な作業の結果、iTunes 上で PS Books のインデックスと同じ並びで曲が並ぶようになるのです。


2)iPhone

 今年5月に IPhone を更新する際、思い切って容量を64GBのものにしました。ですから、今では iTunesに入っている殆どの音源を iPhone に入れて持ち歩いています。
 実際には現在は殆どが自宅暮らしなので、その気になれば、iMac iTunesローカルネットワークで共有に設定にしておけば、自宅内ならどの端末でも全ての音源を聴くことができるのですが…。
 でも、その実、いちいち共有を呼び出すのは煩わしいもので、モバイルな端末に殆ど全ての音源が入っているのは、やはり極めて便利ですね。特に、蓼科の山荘に居る時などはその有り難さを痛感します。


※ ↑の内容は 2016年9月25日以降の改善点等について一部加筆修正しています。

2016/11/6
(日)

Glenfiddich
ライブストリーミング&ビデオ

 パイプのかおり第36話の冒頭にも書いた様に、最近は CoP や NPC から折々、コンペティションや講演のライブストリーミング配信のお知らせが届きます。2014年からはあの Glenfiddich パイピング・チャンピオンシップのライブ配信も始まりました。
 今年も数日前に予告メールが届いた後、現地時間10月29日(土)9:00AMのイベント開始直前、日本時間29日17:59に "Now LIve!" というお知らせメールが届き、ライブストリーミングが開始された様でした。
 「…様でした。」というのは、実際には確認してはいないから…。世界中で7,000人がウォッチしたという事ですが、時差が障害にならない場所に住んで いる余程の物好きでなくては、このイベントのように長時間に及ぶライブストリーミングに、最初から最後までずっと付き合う人は居ないでしょう。
 そこら辺の事情は NPCもよく解っているようで、翌30日(日)には "Re-Live this year's Performances" というお知らせメールが届き、水曜(11/2)には録画ビデオのストリーミング配信が開始される旨が告知されました。そして、予告通り日本時間11/3の 3:00AMつまり、現地時間11/2(水)6:00PM に "Re-Live the 2016 Glenfiddich Solo Piping" Watch now というリンクが張られたメールが送信されてきました。

 リンク先の Vimeo の NPC のページに行くと、10人の演奏風景が編集されて個々人のピーブロックとMSRパフォーマンス毎に閲覧可能になっています。イベント当日から中3日でこの状態にまで仕上げるのですから、英国人も変われば変わるものです。

 昨年までの記憶は無いのですが、どうやら同様の経過を辿ったようで、そのページにはライブストリーミング初年度の 2014年と昨 2015年のビデオも同様の形で閲覧可能になっていました。

 トップ3の音源はその後 Pipeline でオンエアされましたが、その他の音源は聴いた事がありません。折角なのでこの際この3年間のパフォーマンスについて、取りこぼしていた演奏音源をキャプチャーしながら全部通して観てみました。

 ちなみにこの3年間の演目と演奏者は次の通り。パイパー名の太字は3年連続、斜体は2年連続出場者。曲名の斜体は3年間に2回登場した曲。

2014
・Lament for Colin Roy MacKenzie(Stuart Liddell
・The Big Spree
Bruce Gandy
・Isabel MacKay(Roderick J. MacLeod
・The Prince’s Salute(Iain Speirs
・The Earl of Seaforth’s Salute(Gordon McGready
・The Rout of the Lowland Captain(William McCallum
・Lament for Patrick Og MacCrimmon(Jack Lee
Lament for the ChildrenNeil Stewart
I Got a Kiss of KIng's HandDouglas Murray
・Bells of Perth(Angus MacColl

2015
・The Old Men of the Shells(Roderick J. MacLeod
・The Red Speckled Bull(Angus MacColl
・Lament for the Laird of Anapool(Stuart Liddell
・Unjust Incarceration(Bruce Gandy
The Big SpreeJack Lee
Scarce of FishingIain Speirs
・The Earl of Ross’s March(William McCallum
Ronald MacDonald of Morar's LamentCullum Beaumont
・Lament for the Union(Finlay Johnston
・Lament for MacSwan of Roaig(John Angus Smith

2016
・Scarce of FishingBruce Gandy
・Nameless, (Cherede darievea)(Iain Speirs
・The Earl of Ross’s March(William McCallum
・Ronald MacDonald of Morar’s Lament(Jack Lee
・MacLeod of MacLeod’s Lament(Finlay Johnston
・Lament for the Earl of Antrim(Angus MacColl
・Lament for Donald Duaghal MacKay(Roderick J. MacLeod
Lament for the ChildrenStuart Liddell
I Got a Kiss of The King's HandAlasdair Henderson
・Craigellachie(Ian K. MacDonald

(1)曲のバラエティーがイマイチ?
 つまりは、のべ15人のパイパーが、24曲を演奏する、30のパフォーマンスが観れるという事です。確かに当代随一のそうそうたるパイパーたちによる超 有名曲の数々。…ですが、こう言ってしまっては何ですが、イマイチ高揚感に欠けます。豪華なディナーに無料招待され、満腹になった後の気分ってきっとこん な感じなのかな?

 このイベントはその年の各地の主要コンペティションで好成績を収めたパイパーが招待されるのですから、顔ぶれが毎年大きく変わる訳はありません。しかし、演目についてはもうちょっとなんとかなりそうなのですが、その割には変化に乏しいような気がします。William McCallum に至っては、なんと2014年と2015年の演奏曲が同じです。
 演奏曲を決めるシステムは、当人からの事前申請された6曲の中から主催者がチョイスした曲が前夜に指定されるとか。面子が似ていればセレクトされる6曲 の総体も似てくるのは想像できますが、それにしても同じパイパーに2年続けて同じ曲を指定する、というのは如何なものでしょう?

 今回、この30パフォーマンスの中で唯一新鮮味があったのは、2016年の "MacLeod of MacLeod’s Lament"Finlay Johnston)でした。理由は、単純にこの曲のパイプ演奏音源を聴くのが初めてでだったから…。まだ知らない良い曲の良い演奏に出会える喜びは何事にも代えられません。

(2)編集も徐々に巧妙になっている
 ライブストリーミングを観ていた訳では無いので正確には分かりませんが、ステージに上がる前、演奏者は別室で丹念すぎるほどにチューニングをしているは ずです。しかし、会場に入れば入ったで、人いきれによる温度と湿度の変化に応じて、ステージ上でまたまたチューニングに精を出すのが常。遠慮なく聴衆を待 たせるパイパーたちのこのワガママな振る舞いについては、Seumas MacNeill が "Piping Times" の紙面でよく嘆いていました。
 2014年のビデオでは、その様子が垣間見えてなかなか楽しめます。この年の Jack Lee の演目は Patrick Og だったのですが、ブローインの後にいきなりやりだしたのは War or Peace。そして、次には Desperate Battle of the Birds のバリエイションを延々とやるなど、やりたい放題。確かにあれでは、ピーブロックを知らない人には一体どこから本来の曲が始まったのか、さっぱり分からな い事でしょう。
 ところが、2016年のビデオではそのようなシーンは一切省かれ、各奏者が紹介されてステージに上がった後、さもブローインの後に直ぐに曲が始まったかのように上手に編集されていました。良くも悪くも上手く体裁を繕っているのです。

(3)Iain Speirs の舞に酔いしれる
 名手たちの演奏姿勢については10年前の日記に書きましたが、今回のビデオを観て思う事はその当時と全く変わりません。「一流パイパーのピーブロックは聴くものであって、観るものではないな〜。」という事を改めて痛感。中でも、Jack Lee の演奏姿は絶対に目にしない事。彼の夢遊病者の様な千鳥足姿を観てしまうと心が乱れ、聴いているだけなら文句の付けようの無い妙なる名演奏が台無しになります。

 しかし、今回の顔ぶれの中で唯一 Iain Speirs だけは別格中の別格。この人の演奏は3曲全てとことん見惚れます。背筋だけでなく指先にまで、まるで筋金が入ったようピンと伸ばした見事な演奏姿勢。その 姿勢のまま表情一つ変えず静々とした足運びで、上半身を殆ど上下動させる事無く粛々と移動する様は正に《能》の舞に通じる荘厳な美しさ。魅せられます。
 彼の演奏風景を観ていると、不思議な事に視覚と聴覚が一体化し「《ピーブロック》というバックグラウンドミュージックに乗せた《舞》を観る」という感覚に捉われます。まるで読経を聴きながら仏様を拝んでいるかの如く、その演奏姿にす〜っと魂が吸い込まれ行くのです。
 
  2015年に Iain Speirs に指定された "Scarce of Fishing" は "Lament for the Harp Tree"、"Lament for Donald Ban MacCrimmon" に次いで長大な曲。時には18分を超します。
 私のコレクションにはこの曲の音源が16テイク有りますが、この時の演奏を含めてその内最多3つが Iain Speirs によるもの。彼は直近では 2011年と 2013年の Glenfiddich ピーブロック部門を制していますが、2011年の演目もこの曲でした。Angus MacColl の "The Red Speckled Bull" と同様に、この曲は Iain Speirs にとっての十八番なのでしょう。Glenfiddich の主催者は出場者の十八番をよく解った上で、William McCallum の例の様に毎年でも同じ曲をチョイスする事を厭いません。

 そんな彼の 2015年 "Scarce of Fishing" のパフォーマンスは正に円熟の極み。魂が曲に乗り移ったかの如くの名演。ピーブロックの舞の極致と言えるものです。
 Iain Speirs のパフォーマンスには、私が理想としてイメージする「ピーブロックのあるべき奏(かな)で方」が120%具現化されています。

⇒関連記事「ピーブロックは読経にも似て」

⇒関連記事 Glenfiddich 2017


 今年で43回目を迎えたこのイベント、30年前の "Piping Times" でも毎年のレポートを紹介しています。特に12回目のイベントを紹介した1985年12月号ではこのイベントの運営コンセプトを私なりにイメージして説明してみました。
 そこに書いた通りだと理解すれば、この期に及んで「曲のバラエティーがイマイチ」などと言うのは、実は極めて的外れ。さらに言えば、今ではこの様なビデオ配信 によって、素晴らしい演奏の数々をその場の雰囲気まで含めて存分に味あわせて貰えるのですから…。現代テクノロジーの恩恵を素直に喜びたいと思います。

2016/11/17
(水)

さらば、アドビ

 このサイト(ホームページ)は2002年にスタートしたので、既に14年が経過しました。
 サイトの作成について当初は Adobe GoLive  6.0 というホームページ作成ソフト(当時の言い方/最近は「ウェブページオーサリングツール」なんて言いますね/それも長ったらしいので以下「サイト作成ソフ ト」とします。)を使っていました。値段は相当高かったと思うのですが、たまたま大蔵大臣である奥さんが、先に自分のホームページ制作のためにこのソフト を購入していたので、それが使えたのでラッキーでした。
 Photshop などでもそうですが、アドビシステムはパソコンの OS が進化した際に自らの製品に手を加えて対応させることはせず、新しい OS に対応した新しい製品に(当然、有償で)移行を促すという、姑息なポリシーがあります。
 GoLive 6.0 場合も同様で、2002年当時の Mac OS10.2 Jaguar でしたが、使い始めてから程なくしてメーカーは「最新の MacOS には非対応」とアナウンス。しかし、それはあくまでも「公式」の話で、その実、非対応のはずの OS でもなんら問題なく動作していました。その後も新しい MacOS がリリースされる度に「今度こそダメかな?」と思いつつ、毎回何事もなくクリア。しかし、9年後の 2011年、Mac OS 10.7 Lion のアップデートに際してトドメを刺されました。新しい OS では何かを仕込まれた様で、遂に GoLive 6.0 が起動しなくなったのです。OS を元に戻せば良いと言えばそれまでですが、たかが一つのソフトを使うために古いOS を使い続けなくてはならないのも癪です。


 そこで、慌てて有料&無料含めていくつかのサイト作成ソフトの体験版をいろいろ試してみました。ところが、それまで GoLive で作成してきたファイルをそっくりそのまま読み込んでくれるようなソフトは見つからず終い。Photoshop を完璧に代替えする GIMP のようなソフトはサイト作成ソフトには存在しないのでしょうか?
 一方で、この間に当のアドビシステムは自前の GoLive の将来性に見切りをつけて、より優れた競合ソフトである Dreamweaver をリリースしていたマクロメディアを買収。Dreamweaver をアレンジして GoLive の後継ソフトに仕立てていました。
 そこで、この Adobe 版 Dreamweaver の体験版をダウンロード。当然ながらこれまで  GoLive で作ってきたファイルをそのまま読み込んでくれます。とは言ってもこのソフトは GoLive よりさらに高機能で複雑。そのくせ、単純な操作についてはやたら使い難いという印象がありました。しかし、サイトをそのままの形で継続するには、どうやら他に方法がなさそうです。
 最大の問題はその値段。アドビ値段でメチャ高い。確か単体のパックは数万円はしたと思います。そこで、苦肉の策を講じて大学教授をしている友人に頼み込んで、アカデミックパックの Dreamweaver CS5.5 を代理購入して貰いました。それでも一万数千円はしました。

 使い始めて気がついたのは、Dreamweaver は当時主流になっていた CSS(Cascading Style Sheets) 使用をメインに考えている様で、HTML言語で単に文字を大きくしたり、色を変えたりする事をやるためのボタンが見当たりません。勿論、コード編集画面で タグを書けば可能ですが、それではそもそもサイト作成ソフトとは言えず、単なるHTMLエディターです。
 物事を前向きに捉えて、この際 CSS を使いこなせるようになろうと解説本を購入し努力してみましたが、結局どうしても習得出来ず、程なく諦めました。趣味のサイトを作るの に、趣味以外の事に時間を割いていては本末転倒。結局、機能の殆どは使いこなせないままにごく簡単な事が出来ないという、宝の持ち腐れ状態。


 それ以来、我慢しつつイヤイヤ付き合って来た Dreamweaver CS5.5 ですが、毎年のように MacOS がアップデートされるに従い、前回と同様に徐々に雲行きが怪しくなって来ました。そして、導入から5年経過した 2016年秋、MacOS 10.12 Sierra のリリースに際して、とうとう「Dreamweaver CS5.5 は起動しない。」との情報が…。
 対策を講じるために、Dreamweaver の後継ソフトは?と調べました。すると、アドビシステムでは今はパッケージソフトを単体で売り切るという手法は取っていないようです。あらゆるソフトがク ラウドでリース供給されるシステムになっています。利用料は月支払い。それも、様々なソフトが盛り沢山パックされていてメチャ高い。
 なんと4,980円/月! 
 必 要最低限なパックのアカデミー版でも980円/月。これでも僅か一年で Dreamweaver CS5.5 のアカデミックパック購入代金に達してしまいます。
 ここはもう、OSのアップデートは諦めて、今後もずっと「古い OS」で「使い難い Dreamweaver CS5.5 を使い続ける」という、ダブルに惨めな状況に甘んじるしかないのかな?と観念しそうになりました。


 でもまあ、物は試しと 2011年に GoLive が使えなくった時と同様にフリーのサイト作成ソフトを物色してみました。検索条件は「Mac Dreamweaver 代替」といった具合。
 そうしたら、いきなり良さげなソフトがヒット。Dreamweaver の代わりにもなる強力なWeb統合開発環境 : Aptana StudioDreamweaver にも負けるとも劣らない統合開発環境としてのインターフェースと機能性を備えながらも、全てフリーで提供されており、これからウェブコンテンツの開発に取り組むユーザだけでなく、既存のウェブプログラマーにも非常に興味深いツールといえます。」
 う〜む、な〜んだこんなのが有るんだ。早速、ダウンロード。奇特な人が居て、ちゃんと日本語化のやり方まで指南してくれているので、即日本語化。
 ところが、試しにページを読み込んでみても、編集画面にはHTMLコードのフェイズしか出てこない…???。改めてウィキペディアの Aptana Studio の項に目を通してみて合点しました。なんと「エディタは WYSIWYG ではないが…」とさらっと記述。プロの人たちとの視点の違いに納得しました。プロにとっては、そのソフトがどんな機能を備えているかが問題なのであって、WYSIWYGWhat You See Is What You Get)であるかないかはさほど大きな問題ではないのですね。
 しかし、エディターでHTMLコードを書く事とは無縁の素人にとっては、WYSIWYG でないのはサイト作成ソフトとは言えません。躊躇する必要もなく、このソフトとは即オサラバしました。


 再度、他のソフトを物色。次に KompoZer というソフトがヒットしました。今度は先にウィキペディアを確認。KompoZerでは WYSIWYG による直感的なウェブページの作成が可能である。ただし、市販のWebオーサリングツールと比較すると、全般的に操作メニューは少なく、生成されるコードもシンプルである。」とあります。
 WYSIWYG であることももちろんですが「操作メニューが少なくコードもシンプル」という後半の書きぶりも気に入りました。私が求めているのは正にこのようなソフト。早速ダウンロード&日本語化して使ってみました。

 いや〜、快適快適。これまで作ってきたサイトのファイルもすんなり読み込むし、ボタンの数も少なくてインターフェイスもスッキリ。ボタンの数が少ないと言っても書式設定や文字の拡大縮小文字や背景のカラーリング、リンクやアンカーなど、GoLive と同様に素人には必要にして十分なボタンがデフォルト画面に並んでいて、素早く利用できます。
 翻って Dreamweaver の場合は10個のタブの中に全部で100個以上のボタンが有るにも拘らず、HTML言語で文字の拡大・縮小、文字や背景のカラーリングをするためのボタン はありません。その殆どが自分には無縁なボタン。その中のごく僅かに使えるボタンがあちこちのタブに仕分けされているので、いちいちタブを切り替えつつ使 わなくてはなりません。

 また、KompoZer を試してみて気付いたのですが、今から思えば、Dreamweaver のWYSIWYG は厳密には "What You See Is a bit out of What You Get" でした。編集画面に表示されるものは実際にブラウザーで表示されるものよりも随分と行間が詰まって表示されるのです。この数年間は「まあ、そんなもん か?」と思っていました。ですから、ページの実際の見栄えは、作業中にその都度ブラウザ表示に切り替えて確認。しかもその肝心のブラウザ表示も、Mac のデフォルトブラウザ Safari の最新バージョンに対応しなくなった段階で機能不全に。その後は、作業中のページをいちいち実際にアップロードして本物のブラウザで確認しなくてはならない始末。翻って、KompoZer の WYSIWYG が厳密に "What You See Is What You Get" なのを体感して、今までは一体何だったんだ?という感じ。

Dreamweaver.jpg

Dreamweaver のワークスペース/10のタブにそれぞれ10個以上のボタンが氾濫/行間が実際のブラウザ表示よりも詰まっている「な〜んちゃって WYSIWYG」画面/右は FTPウィンドウ

 こんな理想的なソフトが一体いつ世に出てきたのか?と思ったら、なんと思いの外歴史は古く、最新版0.8b3がリリースされたのは2010年の事。逆に言え ば最新版がそんなに古くて大丈夫なの?といった懸念が…。しかし、この間のOSの進化にも関わらず変わらず動作しているのは確かな様です。それにしても、 2011年にフリーソフトを探した際、このソフトと出会っていたら、Dreamweaver への支出と、常にイラつかされる厄介な数年間は無かったはずだと思うと、実に複雑な思いがします。


 良いソフトが手に入って嬉しくなり、まだ11月半ばなのにも関わらず、物は試しと KompoZer を使って "Piping Times" 1986年12月号の記事を作成してみました。GoLive と同様にシンプルな操作感覚で楽々作業できて大満足。
 ただ、実際にアップロードする段になると、ウィキペディアに「FTP機能も内蔵されているが、ローカル側のファイル一覧ができないなど、機能的な弱点がある。」と記載されていた通りで、付属のFTP機能が上手く機能しません。サーバー情報、サイトのURL などを入力する欄への記入方法が不案内で、あれこれ試してみましたが、どうしてもアップロードできないのです。

 仕方無く、今度は単独の FTPソフトを物色。検索結果をざっと眺めて FileZilla というソフトが良さげです。ちゃんと日本語表示にも出来るとのこと。
 早速、ダウンロードして使ってみましたが、大変見やすいインターフェイスと分かりやすい操作性。サーバー情報やサイトのURLなども自分では何もしない 内にどこからか自動で読み込んでくました。正真正銘、ほんの数ステップであっという間に先ほど作ったページをアップロードすることができました。
 使い物にならない KompoZer 付属のFTP機能は言うまでもありませんが、GoLive Dreamweaver 付属のFTP機能と比べても遥かに使い易く、機能も優れています。さらに印象的なのは、アップロードスピードが段違いに速いのです。これまでは、どんなファイルでも数秒程度は掛かっていたのですが、 FileZilla では文字通り電光石火! 作業工程を表示するウィンドウがあるのですが、目にも止まらない速さで表示され消えてしまうので流れを確認できたためしがありません。感動的です。
 蛇足ですが、ツールバーのボタンのテーマ(デザイン)や大きさも変更可能なので、老眼者の私はなるべく見やすいテーマを選んで、中程度に大きくして使用しています。

 また、KompoZer の WYSIWYG がいくら厳密だとは言え、本来のブラウザではどの様に見えるのか?と確かめたい時は、この FileZilla のローカルサイトのファイルを右クリックで「開く」だけで、つべこべ言わずに最新のブラウザが開いて見え方の確認が可能。今までの苦労は一体何だったんだ?と、またまたため息が出ます。


↑左2/3が KompoZerのワークスペース/ツールバーには必要にして十分なボタンが配置/清く正しい WYSIWYG/
右は FileZilla のウィンドウ/ローカルファイルとリモートファイルを並列できるので対照し易い

 iMac27の広大なディスプレイの画面左右に KompoZerFileZilla の画面をパラレルに並べて楽々作業。これまでに比べてサイト作成&アップロード作業がずっと楽しくなりました。
 唯一心配なのが、この KompoZer FileZillaMacOS 10.12 Sierra でも動作してくれるかどうか? 今の所、新しい OS についてはその評判がマチマチなので未だ様子見の段階ですが、いずれは試してみようと思います。そして、ダメだった場合には、すぐさま OS を今のバージョンに戻そうと考えています。この快適なソフトを使うためだったら、OS が少々古いのは気になりません。もしダメだったとしても、ソフトの供給元 か奇特な誰かがいずれ新しい OS に対応するようにアップデートしてくれるでしょう。
 パッケージソフトを繰り返し購入しなくてはならないように仕組み、そこから利益を得ようとするアドビシステムの姿勢は、い ささか時代遅れなのではないでしょうか。どのみちアドビのソフトはプロ向けの高機能過ぎる物ばかりで、私にとってはどれも「猫に小判」状態だったので、この際きっぱりと 縁が切れて幸いです。

⇒後日談


 暫く確認していなかったら、いつの間にか GIMP も新しいバージョン(2.8.18)がリリース(2016/7/14)されていました。あちらもアップデートしてみるとしましょう。きっとますます使い易くなっていることでしょう。

(※ 特記するまでもありませんが、この日記は Kompozer で作成し、FileZila でアップしました)

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