パイパー森の音のある暮らし《2017年

2017/1/1
(日)

「さらば、アドビ」後日談

 昨年11月17日の日記に次のように書きました。
> 唯一心配なのが、この KompoZer FileZillaMacOS 10.12 Sierra でも動作してくれるかどうか? 今の所、新しい OS についてはその評判がマチマチなので未だ様子見の段階ですが、いずれは試してみようと思います。そして、ダメだった場合には、すぐさま OS を今のバージョンに戻そうと考えています。
 
 お正月休みのまったりした雰囲気の中で、満を辞して MacOS 10.12 Sierra にアップデートしました。新しい OS はさらに賢くなっていて、インストール完了後の設定するプロセスの中で、対応しないソフトはちゃんとその旨表示してくれました。その中にこの2つのソフトが出て来こなかったのでまずは一安心。そして、アップデート完了後に2 つのソフトを起動すると、何の問題もなく起動。ホッと胸を撫で下ろしました。
 …ので、この記事も KompoZer で書いています。
 
 あまりにもあっさりしているので、試しに Dreamweaver CS5.5 を起動してみました。すると、事前情報どおり「“Adobe Dreamweaver CS5.5”を開くには、以前のJava SE 6ランタイムをインストールする必要があります。」というメッセージが出て起動できません。
 これで本当にアドビとおさらばです。

2017/2/20
(月)

さらば、
"Piping Times"

 2012年、てんやわんやの末に "Piping Times" の購読をデジタル版に変更して(できて)から早丸4年が経過(⇒顛末)。先日配信された2017年2月号でこの一年間の定期購読が終了しました。毎年この時期、定期購読を継続するか大いに逡巡します。昨年は、散々迷った末に継続。しかし、その挙句に飛んだエイプリルフール騒ぎに振り回されました(⇒顛末)。

 このところ、月初めに "Piping Times" が配信されるとざっと目を通して目ぼしい記事が見当たらないと「後日改めて…」とリーディングリストに放り込んでそのまま放置、という状況が続いていま す。2月号が配信された時点で、そのような「積ん読」状態の号が4ヶ月分も溜まっていました。
 今度ばかりは、早々に定期購読を継続するかの判断をしなくてはならないので、いつまでも放っておく訳にも行かずまとめて目を通してみました。しかし、思っていた通りその作業はあっという間に完了。つまり、読むべき内容が殆ど無いという事。
 Seumas MacNeill が亡くなり、"Piping Times" の誌面から興味深い記事が激減した21世紀に入ってからももう既にそれなりの年月が経過。一方で、この間にはインターネットの普及で時間軸も含めてあらゆ る情報の普遍化が急速に拡大。そもそも、月刊定期刊行物の意義が問われる時代が到来しているのかもしれません。振り返ってみてもここ10年程はただズルズ ルと惰性で定期購読を継続してきたような気がします。

 定期購読を始めた1977年から数えてちょうど40年を区切りとして、"Piping Times" の定期購読は継続しない事にしました。人生の2/3を通じて付き合って来た定期刊行物と別れるのは一抹の寂しさは在りますが…。

2017/4/2
(日)

Book 10 改訂版

 ↑で書いた通り、今年2月号を最後に“Piping Times”の購読を止めました。
 …にも関わらず、思った通り CoP からは何事も無かったかのように相変わらず3月号も4月号もリンク先を示したメールが配信されてきます。さすが、4月号はログインできませんでしたが、先月3月号はログインも可能。
 
 1ヶ月分はオマケで読ませてもらいましょう、と目を通していたら "Book 10 revision should prove popular" と いう記事が目に留まりました。PS Book 10 の修正版がリリースされた(る?)ようです。それも、単なるタイプミスの修正だけでなくて大幅な内容改定とのこと。購入必須ですが、現時点のCoPオンラ インショップで扱っているものが改訂版なのかどうかが不明なので迂闊に注文が出せません。もうちょっと様子見といった所です。

 購読を中止した途端に貴重な情報が目に留まるというのも皮肉なもの。いかにも、ありそうな話です。

2017/4/28
(金)

"Piping Times"
2017年4月号

PT1705front.jpg “Piping Times”については、↑4月2日に書いた通りです。ところが、事はまだジ・エンドを迎えた訳ではありませんでした。
 一昨日、以前郵便での購読をしていた時と同様な体裁で、注文もしていない紙版の “Piping Times” 2017年4月号が郵送されてきたのです。

 一体何故? どういう意味?

 途中中断があったとはいえ40年間継続して購読してくれた読者故、継続購読を促す意図なのでしょうか?
でも、そうならば、今の時代、メール一本で済む事でしょうに…。
 もっとも、そうだとしても、あの ○ndrew Wallace がそんなメールをくれるとは思えませんね。
 他の事務方の誰かが、気を利かせた?
 でも、そうだとしたら、簡単なメッセージでも同封しそうなものですが…。

 狐につままれた気分のまま、せっかくなので数年ぶりに紙版の “Piping Times” に目を通しました。4月号はメールでの配信通知はありましたが、さすがログインできなかったので初めて読む内容です。
 当然ですが、紙版だろうとデジタル版だろうと最近の “Piping Times” に興味深い内容が少ないのは変わりません。しいて字面を追うべき記事といえば、つい先日我が家に届いた Patrick Moland & Jack Taylor による "Pipers Meeting" に関して書かれた、Jack Taylor 自身による紹介エッセイ(2ページ)って所でしょうか。

 はてさて、兎に角これはどう解釈すべきなのでしょう?

 それにしてもこの表紙、見るに堪えられません。まあ、言ってみればこれこそが現在の "Piping Times" の現状を体現していると言えましょう。こんな雑誌とは清くオサラバ、オサラバ!

2017/5/10
(水)

CoP のメルマガ?

 今度は、頼んでもいないのにメルマガ風の宣伝(?)が配信されました。

2017/5/24
(水)

Time Machine
はダブルが安心?

 2014年11月21日の日記で 2012年に購入したスタイリッシュな LaCie HD を Time Machine 用のサブ・ハードディスクにしたと書きました。しかし、その後この LaCie HD は息子に譲ってしまったので、その後の Time Machine バックアップ作業は AirMac Time Capsule 内蔵の 2TB ハードディスクが専任で担っていました。

  AirMac Time Capsule iMac 27 からさほど遠くない場所に設置してあるので、その後は結局 Ethernet ケーブルで有線接続しています。いくら 802.11ac とは言ってもやはり Wi-Fi は所詮無線、有線には到底かないません。有線であれば常時(NURO光の謳い文句の2GBはともかく)1GB程度のネット接続スピードが確保できると共 に、Time Machine のバックアップも Wi-Fi よりはスピーディーです。
 
 さて、Time Machine のバックアップ作業は iMac 27 がスリープ状態でも実行されるはずなのですが、何故か1年ほど前からスリープ明け(つまり毎朝)のバックアップ作業がスムーズに実行されないトラブルが頻発する様になりました。iMac 27 がバックアップをしようとしても「Time Machine として設定されたハードディスクが見つからない」というメッセージが出てしまうのです。
 色々試した結果、こういう状況に陥った時の対処法としては AirMac Time Capsule を再起動すれば良いという事が分かりました。再起動といっても、つまりは電源を一旦落として入れ直すだけですが、実は AirMac Time Capsule には電源ボタンがありません。そこで、電源コードを個別スイッチ付きのターブルタップに差してオンオフが簡単に出来るように設えました。
 再起動自体は30秒も掛からずに完了するので、作業自体はさほど煩わしい訳ではありません。しかし、症状は徐々に悪化し最近は余程機嫌が良い時以外は、再起動が毎朝の日課になってきました。

 対処法は分かっているとは言え、そもそもの原因が不明なまま「いや〜な気配」を感じつつ日々過ごしていましたが、遂に昨日朝、バックアップ作業が終了した時に致命的なメッセージが表示されました。正確な内容は忘れましたが「Time Machine を検証した結果、ナンチャラカンチャラなので保存も復元も出来ません。新しいバックアップを作成しますか?→ はい or いいえ」といった内容。
 え〜っ?と思いつつとりあえずは《いいえ》をクリック。しかし、その後手動で「今すぐバックアップを作成」のコマンドを実行しようとしても、出るのは全く同じメッセージ。つまり、バックアップが一切出来なくなってしまったのです。こうなると万事休す。
 そこで、仕方なく《はい》を選択すると、今度はいきなり完全バックアップの作業が開始されて仕舞いました。つまり、Time Machine バックアップの最初の作業。差分では無く500GB を超す現時点の iMac 27 のストレージ全てを…。表示された残り時間は8時間とのこと。

 いや〜、これには参りました。
 しかし、漫然と作業終了を待っているのもシャクだし、そもそも AirMac Time Capsule のハードディスクに全幅の信頼を寄せる訳には行かなくなった事を踏まえて、この際外付けハードディスクをもう一台購入することにしました。

IO-DATA_EX-HD2CZ_V.jpg ざっとネット検索して以前にも使っていた事のある I-O DATA の最新モデルが安価で信用できそうだったので早速発注。容量は AirMac Time Capsule のハードディスクと同じ2TB。最近では最低でも3TB以上が売れ筋の様で、そろそろカタログから落ちそうなこのサイズはお買い得らしく、なんとアマゾンで税込&送料無料で 9,000円を切りました。
 少々後ろめたさを感じながら、今では反社会的な当日配送を手配。夕方、AirMac Time Capsule のバックアップ作業が終了する頃には配達完了です。

 夕食後、机の上の iMac 27 の背面に設置し、この日2回目の完全バックアップ作業を開始。さすが、Ethernet ケーブルよりも USB3.0 で直結する方がスピードが出る様で、今回表示された残り時間は4時間と午前中の半分。お陰でバックアップは当日の内に完了しました。

 これで、ようやく以前と同様に2台のハードディスクで交互にバックアップする体制になりました。AirMac Time Capsule のハードディスクも完全に逝っちゃった訳では無い様なので、しばらくはこのまま様子をみたいと思います。


 ところで、最初にこの I-O DATA HD を机の上に《縦》に設置して動作させた時にはギョッとしました。動作音は殆どしないのですが、何故か到底無視できない程の振動がするのです。キーボードに乗せた指先に、まるでバイブレーターを掛けている様で満足にキー打ちもできません。
 我が家では、今回購入した I-O DATA の直前のモデルを奥さんが使用中なので状況を確認しました。確かに振動は感じられますが、新型の様に耐えられない程ではありません。

 今回の機種選定に当たっては、当然ながら LaCie も検討しました。LaCie ならばアルミダイキャストの重々しい躯体故に振動とは無縁なのは経験上よく知っています。しかし、今回は 2TBモデルが何と 27,780円! I-O DATA が3台買えちゃいます。
 これにはさらに謎があって、メーカーのサイトでは 2TB は既に販売終了済みとなっていて、確かにアマゾンで販売しているのも在庫1台のみと表示されています。…で、それなら投げ売りしているのかと思いきや、並 んでいる3TB の方が 21,300円と却って安価な表示。2TBモデルは一体誰が買う? もしかして単に表示ミスで、本来は 17,780円?

 まあ、LaCie の謎はさておき、一方の I-O DATA は3TBモデルでも1万円を僅かに超した程度。2倍以上の価格差にその時点で LaCie は選択肢から外れました。
 そんな経過を辿った挙句ですが、この振動にギョッとさせられた時はLaCie なら絶対にこんな事はなかっただろう」とその判断を後悔。「安物買いの銭失いか?」と落ち込みました。

IO-DATA_EX-HD2CZ_H.jpg  しかし、その時ふと製品説明の中で「このモデルは横置きも出来ます」とアピールされてた事が思い出されました。早速、ゴムクッションが貼り付けられている 面を下にして横置きにしてみたところ、嘘の様に振動が出ません。いや〜、本当にホッとしました。何とか、銭失いだけは免れた様です。

 この新型はサイトの宣伝で「業界最小(3.5インチ外付けハードディスクとして。2017年3月現 在)」のサイズを謳っています。極限までのコンパクトさにこだわって、恐ろしいほどに軽々しい躯体を採用した事が裏目に出てしまったのでしょう。このモデルは「横置きが可能」なのでなく「横置きでしか使えない」と理解した方が良さそうです。

⇒関連記事

2017/5/27
(土)

Pipers Meeting
自家製デジタル版

PM00001.jpg Patrick MolardJack Taylor Campbell Canntaireachd に収められている曲(カンタラック=文字)を音符に書き下ろした楽譜集 "Pipers Meeting" は、ちょっとした宝物です。
 私は 3月14日の "Piping Press" の紹介記事を読み、同時にページの片隅に盛んに宣伝が載る様になったのでその存在が大いに気になり出しました。

 それから、程なく3月末に開催された PSカンファレンスでは、著者2人による講演と共に、何曲かが演奏された模様。
 カンファレンス直後には、それらの演奏音源も含めた概要レポートが PSサイトにアップされています。

 また、4月28日の日記で顛末を書いた際に触れましたが、紙版 "Piping Times" 2017年4月号には、Jack Taylor 自身による、この楽譜集の紹介エッセイが載っています。

 詳しくはこれらの紹介記事やレポートを参照して頂きたいと思いますが、A4サイズ 72ページのこの楽譜には、Campbel Canntaireachd 2巻に収められている 168曲の中から 45曲が音符に書き下ろされています。その内 33曲はこれまで「音符で表記された事が一切無い」曲との事。
 これが何を意味するかというと、これらの曲は音符で表記された楽譜が一般的になって以降、およそ最近 200年間近く演奏される事が殆ど無かった、という事です。
 残りの12曲については、古い楽譜やマニュスクリプトなどに取り上げられていますが、多くの場合異なった曲名で掲載されていたり、異なったバリエイションなどで表記されているとの事です。

PM00007.jpg 現代に生きている人は誰も聴いた事が無いこれらの曲ですが、演奏音源も徐々に増えて来ました。PSカンファレンス・レポートにアップされている音源に加え、つい最近 PSサイトに新たに2曲の音源がアップされた事が、Alt Pibroch Club - Learnig Living Pibroch5月22日のブログで紹介されています。

 "Piping Press" の記事を読んで直ぐに注文した私の手元には、4月半ばに現物が到着。
 時空を超えて届けられたこれらの古(いにしえ)の調べを味わう際に参照し易くするため、早速この楽譜のデジタル化に取り組みました。
 幸い、今回もスパイラル・バインドなのでスキャンし易く、スキャン〜修正〜リンク張りまで、実質3日間ほどの作業で完了。さあ、古の調べを…。PM00005.jpg
PM00004.jpg

2017/8/11
(金)

To see or
not to see ?

 パイパー森は動画収集にはさほど熱心ではありません。たまに気の向いた時に YouTube をチェックする程度。…とは言っても、最近は実に様々な動画がどんどんアップされてるので、そのたびにそれなりに楽しんでいます。
 先日もそんな風に気ままにチェックしていたら Jack Lee "War or Peace" というタイトルが目に留まりました。2015年1月31日トロントで開催されたとあるワークショップでの演奏。
 これまでも何度か(その1その2)触れていますが、Jack Lee の演奏姿勢はお世辞にも褒められたものでは無いので「見るか見ざるか?」一瞬怯みした。しかし、何と言っても演目が "War or Peace" で演奏者が Jack Lee と来れば、やはり見逃す訳にはいきません。
 
 結果は 大当たり!

 "War or Peace" については、2011年4月にアップした 1981年4月号の "Piping Times" で曲紹介を掲載しています。思い起こせば、その記事をアップする直前の 2011年3月の Pipeline で Bill Livingstone による演奏音源がオンエアされ、その古式ゆかしきスタイルに大興奮。(→2011/3/20の日記
 そして、その年8月の Cop Radio で Brian Donaldson による演奏音源、さらに9月11日週の Pipeline で Jack Lee による演奏音源がオンエアされました。後者は直前に行われた 2011年 The Northern Meeting に於ける音源。
 この時は当時掲示板によく書き込んで下さっていた FarEastPiper さんが、Jack Lee が Taorluath と Clunluath で間の Low Aで一瞬タメが入るいわゆる "Redundant A"(不必要なA)が入ったオールドスタイルで演奏している事を教えてくれました(→2011/9/17の書き込み当時の掲示板)。それで、またまた大興奮。(→2011/9/20の日記

JackLee_WarorPeace.jpg ただし、この時の Jack Lee の演奏は、Bill Livingstone の演奏よりも1割近くもアップテンポで、少々違和感があった事も確か。
 しかし、今回の動画の 2015年の演奏では、Bill Livingstone とほぼ同じ演奏時間となっていて、印象が大きく変わりました。
 興味深いのは、両者の演奏を詳細に聴き比べると、トータルの演奏時間は似通っていても、その表現はかなり異なっている事。
 Bill Livingstone
は Urlar を極端にスローで演奏。バリエイションはそれなりにテンポアップします。特に、最後の Crunluath-a-mah はまるで爆走状態。
 一方で、Jack Lee の今回の演奏では、Urlar は Bill Livingstone のそれよりも速やかですが、2011年の演奏に比べるとかなりスロー。一方で、バリエイションに入ってもテンポはさほど変化せず、相対的に Bill Livingstone のバリエイションよりもかなりスローです。通して言えるのは、各々の Singling → Doubling で若干テンポアップしつつも、バリエイションに挟まれる3回の Urlar も含めて、全編通じてほぼ同じスピードで粛々と演奏されるのです。

 これは、この曲の構成から考えると極めて妥当な解釈だと思われます。何故なら、Urlar に於ける各テーマノートに付随する一連の音符の並び方は、オールドスタイルで表記される Taorluath のそれと全く同じ。この曲は Urlar と 各バリエイションが極めて似通っているのです。これは、バリエイションを省略形で表記する楽譜だとイメージし難いですが、例えば Angus MacKay の楽譜を見れば一目瞭然。そうした構成故に、Jack Lee はバリエイションをオールドスタイルで演奏しつつ、Urlar もバリエイションもほぼ同じテンポで演奏するという解釈をしたのでしょう。

 「微かな抑揚を伴いながらも、終始ほぼ一定したリズムで延々と奏でられる メロディー。いつ果てるともしれないその調べは、エンディングの Crunluath-a-mach で風雲急を告げるかのごとく突如リズムが急変。そして、最後の Eノートがプッツリと途切れ、静寂が訪れる。」

 それはまるで「激しい闘いの最中、仲間を鼓舞するためどんな状況になろう とも冷静さを失わず演奏を続けるパイパー。しかし、パイパーも遂に敵の刃の餌食に…。彼は最後の力を振り絞って乱れた調べを奏で続けるが、いよいよもって 力尽き、断末魔の悲鳴の如く必死に Eノートを絞り出しながら事切れる。」といった風情。Haddow の本に描かれているエピソードさながらの、そんな情景を見事に表現している様に思えます。

 私はこの曲の音源の中で今回の Jack Lee の演奏が一番のお気に入りになりました。

 はてさて、動画としての評価についても触れておかなくてはなりません。Jack Lee の演奏姿勢については改めて念を押すまでも無く、いつもの通りです。ただ、今回はラフな服装で外見からしてダラっとしているからか、例の夢遊病者の様な動きについてもさして違和感がありません。
 それよりも、近距離から撮影されたクリアーな画像が幸いして、その極めて歯切れの良い指遣いを真近で観察できるのがナニヨリです。
 唯一、この動画の難点は何故か右チャンネルの音声が殆ど聴こえない事。仕方ないので、音声をキャプチャーした MP3ファイルは、Audacity で左チャンネルの音声からモノラル化した上で、iTunes のミュージック・ライブラリに取り込みました。

  "War or Peace" の動画としてはこの他に Peter McCalister による 2016年12月の演奏風景も YouTube にアップされています。
 こちらは、Urlar を最初と最後に演奏する通常のスタイルなので、演奏時間は8分弱と真のショートチューン・バージョン。PSソサエティーの重鎮であるこの方がこの様な構成 で演奏するのは、おそらく演奏時間を短めに収めざるを得なかったその場の状況が故でしょう。どうやら演奏場所はパブの一角らしく、壁のテレビではサッカー 中継が流れています。スマホでの撮影の様で画面は小さな縦長ですが、至近距離からの撮影なので音声は迫力満点。

 また、2011年8月の CoP Radio でオンエアされた Brian Donaldson の演奏も落ち着いた良い演奏。こちらは、Crunluath からは Urlar には戻らずそのまま Crunluath-a-mach へと続き、最後に Urlar を演奏して終わります。

WarorPeace_s.jpg  そんなかんなで、このところ "War or Peace" がマイブーム状態。PSサイトのこのページから War or Peace Gesto Score をダウンロードして、練習用のマイスコア集に追加。 "The Daughter's Lament" の習得と並行して、Jack Lee バージョンの "War or Peace" の練習に励む事にしました。
 この曲は構造やその他の装飾音は極めてシンプル。構造を覚えやすくスコアに色付けし、注意すべき箇所に赤ドットを付けるとこんな具合。(→クリックで拡大)
 Patrick Og 習得に 20年掛かり、Daughter's には既に数年かけても未だ習得できない程に音感の悪いパイパー森でも、これなら直ぐに頭に入ります。これほどにシンプルな曲は、私のレパートリーの中ではこの他に "The Battle of Audern No.1" だけ。
 ですから、この曲の練習はあくまでも "Redundant A" が入ったオールドスタイル Taorluath & Clunluath の習得が主眼となります。とにかく、全編通して FarEastPiperさんの言う通り「グリップ+α 」の連続ですから、オールドスタイルの指遣い練習曲としてはこれ以上の曲はありません。
 最初は Jack Lee の演奏の半分程のスピードから始めて、丁寧に丁寧に練習していると、徐々徐々に、でも、確実に "Redundant A" を際立たせた Taorluath & Clunluath が表現出来る様になって来る手応えを感じます。
 目指すは、PipingPress のこのページに挿入されているこの音源の中で Robert Reid が実演している様に明瞭な Taorluath & Clunluath の表現。完璧に習得できた暁には William McCallum が演奏する "The Daughter's Lament" に於ける Clunluath の忠実な再現ができる事を期待しつつ…。

 ここで一つ疑問が…。
 "Low A" が有るか無いかで Taorluath & Clunluath がこんなに違うとなると、どうしてこの "Low A" の事を "Redundant(不必要な、余分な、代理機能のある)A" と言うのでしょう? どうせなら、ピーブロックでは「必須の(Essential?)"A"」 として扱うべきではないでしょうか?
 そうする事によって、Crunluath と Crunluath-a-mach の表記も、少なくとも音数は同じになり、タイミングを除けば音の並びはほぼ似通ったものになります。結果として、 Crunluath-a-mach は単なるタイミング違いの変化型といった扱いになり、却って習得し易くなるのではないでしょうか? 
 Robert Reid の言葉の中に "properly taught" と言う言い回しが繰り返し出て来ますが、正に
これが「正しい教えられ方」の様な気がします。

 Clunluath-a-mah の話が出たところでこの装飾音に関するネタを一つ。
 "The Battle of Audern" "War or Peace" の両者が共通して覚え易い理由の一つとしては、キーノートが BCD に集中している事があります。Patrick OgDaughter's の様なトップハンドの小難しい装飾音が殆ど登場しないのです。ただし、それは同時に「Clunluath-a-mah がやたらと連続する」という事を意味します。

BattleofAudernNo1.jpg →は "The Battle of Audern" のスコアですが、赤ドットで示した Low A 以外は BCD なので全て a-mach です。
 つまり a-mach は間の LowA で一息つきながら 3→7→11→7(計28/32)と連続。一方で、 "War or Peace" の場合は、2→7→11→5(計25/32)という具合。どちらも他ではまず見かけない量の a-mach てんこ盛りです。
 両者に共通した最多11連続の Crunluath-a-mach では一気呵成に吹き上げる感じになるので、バグパイプと言えども流石に息切れがします。まるで、敵の刃 に倒れなんとするパイパーの気分を実感する事ができる? まあ、実際には倒れる訳はなく、上手く演奏できた時はやりきり感が充満して極めて爽快。…なので、これ がまた病みつきになるのです。

 マイブームのノリノリついでに、3月号の "Piping Timese" で告知されていた、この曲が収録されている PS Book 10 改訂版も、さすがにもうそろそろ良かろうと考えてオーダーしました。(古い版送って来るなよ〜!)
 Jack Lee の動画がアップされていた YouTube の pipes|drums Magagine のチャンネルには、この他にも膨大な量の動画が次々とアップされています。さすがにパイプバンド関係が殆どでピーブロック関係の動画は僅かですが、Patricia Henderson のインタビューといった様なちょっとレアな動画もあったりして、ピーブロック愛好家にとっても それなりに楽しめると思います。

2017/9/1
(金)

30年前の
"Piping Times"
シリーズ
10年分完了!

 1977年10月号から始めた30年前の "Piping Times" シリーズも今回の1987年9月号10年120号分を消化しました。(どうしても入手できていない1981年9月号は除く)

 他はサボっている事もあり、また、この当時の "Piping Times" には毎号の様に何かしら興味深いネタが有るので、このところはこのシリーズがこのサイトの中心コンテンツとなっています。

 この10年間で大きく様変わりしたのは、Wiki やグーグルマップに代表されるネット検索頼りがますます増えていること。その結果、今回の記事のように文中リンクだらけになることもしばしば。良し悪し有 るとは思うのですが、必ずしも読みやすさを追求している訳ではなく、あくまでも私自身にとっての備忘録として、その時々に発見したリンク先を参照し易くす るためのリンク集的に作成している事をご理解頂ければ幸いです。

 あと一年で 11年132号2029年までの 22年間264号分の中間折り返し点です。この分なら何とか折り返し点までは到達出来そう。ガンバリます。

2017/9/12
(火)

Seumas MacNeill
生誕100周年

 CoP のサイトのトップに "Seumas MacNeill was born 100 years ago today." という書き出しの記事が掲載されている事に気づきました。記事に日付が無いので、today というのが今日9月12日(火)のことなのかどうか解りませんが…。

 Dugald MacNeill による追悼記事の中、世界中にハイランド・パイプの魅力を広めた Seumas の功績を紹介する一文の中に山根先生の名前が出てきます。
 それまで、全く愛好者が居なかった日本に於いて、その後多くのハイランド・パイプ愛好者が増えた、…と。

2017/10/1
(日)

PIOBAIREACHD
and its Interpretation
自家製デジタル版

P&I.jpg "Piping Times" 1987年10月号にこの本がその年の10月25日にリリースされる旨が全面広告で告知されていました。
 当時読んでも殆ど理解不能だった Part2を30年ぶりに読み直した顛末についてはそこに書いた通り。

 1986年9月25日の日記に書いた様に、ちょうど一年前には、Seumas MacNeill によるBBC本 "Piobaireachd - Classical Music of the Highland Bagpipe" のデジタル化は完了しています。この本の Part1はそれを補完する内容なので、30年前の "Piping Times" の記事を仕上げたところで、デジタル化作業に取り掛かりました。

 ハードカバーの表紙を蝶々が羽を畳んだ様に限界まで開いて、背表紙の間際からバッサリ切断。
 例によってグレーモードでスキャンしJPEGファイルの段階で全ページを確認しながら歪みや汚れ等を微修正。PDFファイルに書き出しバインドした完成品に、インデックスからのリンク張り作業を施せば完成です。
 さらに、複製を作成して OCR処理し、ラインマーカーを引くための OCR版を作成。iPad Adbe Acrobat Reader で開いてじっくりと目を通しながら Apple Pencil でデジタル・ラインマーカーを入れます。

P&I_1.jpg  ところが、このデジタル・ラインマーカー引きで悩ましい事が判明。
 
  Adbe Acrobat Reader のマーキング機能は大変優れていて、マーカーや下線についてそれぞれ10色用意されています。
 …とは言っても多色を乱用するのは却って読み辛くなるので、使ったとしてもせいぜい3色程度。基本的にイエローをメ インで使い、個人名などをライトグリーン、曲名をライトブルーと使い分けします。
P&I_2.jpg
 デジタル・ラインマーカーの場合、発色が鮮やかなのでマーカーのくせにやけに目立ち過ぎるのが一般的。
 ところが、Adbe Acrobat Reader では、色種だけでなく、それぞれの色の透明度も4段階から選ぶ事が可能です。そこで、最も薄い表示を選択すると、まるで紙のラインマーカーの様に落ち着いたマーカーラインを引く事が出来るのです。

 しかし、マーカーを引き終えた OCR版の本は、必ずしも iPad だけで参照する訳ではなく、時には iMac のデフォルト PDF閲覧アプリビューで開く事もあります。また、iPad では、完成した本は最終的に i文庫HD の本棚に収納するので、参照する場合は基本的には i文庫HD で開く事になります。
  
P&I_3.jpg  今回判明したのは、そうした場合、Adbe Acrobat Reader で設定したマーカーの色や濃さが必ずしもそのまま表示される訳では無い、という事。
 まあ、考えてみれば当然な事なのかもしれませんが、これには参りました。折角 Adbe Acrobat Reader で良い感じに仕上げたマーカーラインが、他のアプリで開くと、どれも皆ケバくテカテカ光ります。

 ファイルの収納が本棚形式で整理し易く、自在にマーカーも引けるアプリ。そして、一旦引いたマーカーの色合いは他のアプリでも反映される様な仕組みを期待するのは高望みなのでしょうか。

2017/11/1
(水)

AirPods で
新たな出会いが…

 宮仕えで電車通勤をしていた頃の一番の必須アイテムは言うまでもなく iPod。これまで歴代の様々な機種を、適宜更新しつつ長年愛用してきました。2013年に電車通勤から解放された際に使っていた最終バージョンは 2009年6月購入の iPod nano(4th generation)。Yoshifumick Og MacCrimmori のレーザー刻印入りのヤツ。 でも、iPodだけでは音楽を聴く事は出来ません。共に欠かせないのがイヤフォンです。

 当然ながら iPod にもイヤフォンは付属していますが、当時のアップル製イヤフォンは使い勝手も音質もショボイものでした。使い勝手で最も気になるのは耳への収まり具合。当 初のアップル製のイヤフォンはマーブルチョコレートの様な形をしたインナーイヤー型でしたが、スポンジカバーも付いていないため、私の場合はどうしても耳 からスルッと外れてしまいます。結局、このタイプは最後まで一切使わず仕舞い。そうなると、必然的に他社製品、具体的にはソニー、ビクター、パナソニック 等の製品から選ぶ事になります。

 私の好みは耳栓型とも言われるカナル型なので、まずは対象をカナル型に絞り込みます。
 使い勝手のもう一つの要はコード仕舞い。ソニー以外のメーカーは二股に別れた等長のコードが体の前面中央部で合体して iPod 本体に繋がるタイプ。一方ソニーだけは、左耳用が短く右耳用が長い不等長のコード。右耳用のコードは首の後ろに回して左耳用のコードと左肩辺りで合体して iPod 本体に繋がります。私は、このラウンドネックタイプのコードが好みでした。理由は、音楽鑑賞を一瞬中断して何かを聞き取りたいと思った時、片方のイヤフォンを外してもコードが首に掛かったままなので、イヤフォンが落ちてしまわないからです。
 でも、おそらくパテントの関係なのでしょう、このタイプはソニーの専売特許の様でした。ですから、必然的にイヤフォンはソニー製と決まります。

 毎日の通勤で使用していると消耗も激しく、イヤフォンの寿命は「極めて短い」と言うのが当時の印象です。必ず壊れるのがイヤフォン本体のコード付け根部分。大体どちらか一方が先に壊れますが、一方が壊れたらそれでお陀仏です。
 つまり、イヤフォンは消耗品と考えざるを得ず、従って大体 2、3千円のモノ、高くても5千円程度のモノを頻繁に買い換えて使っていました。ある時は思い切って1万円を超す高級品を購入してみました。当然ながら音 は優れていましたが、コードの寿命については安価な製品と変わらなず、程なくお陀仏。
 その頃からでしょうか、私の中でそれまで長い間信じていた、ソニー製品に対する絶対的な信頼感が急激に薄れて行ったのは…。

JLab_J6.jpg そんな折、ある時ネットサーフィンしていた際に「アメリカで最も売れているイヤフォン」と言う謳い文句の製品を見つけました。
 JLab Audio というそのメーカーのサイトに行き、来歴を読むと 2005年に設立された新興メーカーとの事ですが、設立から数年にして既に確固たる地位を築いている様子。
 早速、製品ラインナップの中から良さげな製品を見繕いました。何故か Amazon.co.jp では日本の輸入業者を通じた商品しか販売されておらず、途端に値段が跳ね上がるので、Amazon.com から購入。確か2010年頃の事だったと思います。
 その当時というのは1$=90円を切る超円高の時代。本体価格 $50程度の製品を購入しても、送料を含めたコストは日本円にして5000円以内に納まりました。

 しかし、そんな値段にも関わらず到着した製品は驚くほどの高品質! 音質はソニーの1万円以上する高級機種を凌駕する上に、本体もコードの作りもしっかりしていて、そう簡単に壊れそうにありません。「コレは高い評価を得る訳だ。」と納得しました。
 
JLab_J4_2.jpg この JLab Audio のイヤフォンがすっかりお気に入りになってしまった私は、それ以降も、いくつかの機種を次々と購入。ここ2、3年は J4 という機種を2つ、一階と二階の別々の場所に備えています。
 この機種はラインナップの中でもコード周りが、際立ってヘビーデューティーな仕様なので、いつまで経っても(どこぞの製品の様に)壊れる気配は全くありません。

 興味深いのは、この JLab では購入後にユーザー自らで焼き入れ(burn-in)する事を勧めている事。私も、専用ページ用意されている焼き入れ用の音源データを使って、購入後に数日掛けて焼き入れを行うのが通例になっています。

JLab_J4_1.jpg  もう一つ、このメーカーの使い心地に対する気配りを感じさせるのは、ユーザーの好みや個々人の耳穴の大きさに合わせてセレクトできる様、形状、色、大きさ が様々なシリコンイヤプラグが付属している事。お陰で、今では私の手元にはシリコンイヤプラグが山盛り状態にストックされています。
 JLab のイヤフォンはどれも左右の本体が全く同じ形をしていて L or R と小さな文字が書いてあるだけなので、老眼者には区別するのが難儀。そこで、私は、大きさ&形状は同じで色だけ違うイヤプラグを左右に装着して、直ぐに区別できる様にしています。

EarPods.jpg さて、私がすっかり JLab イヤフォンの愛用者になってしまった頃、2012年9月にアップル製のイヤフォンが大きくモデルチェンジされました。
 EarPods
と名付けられたそれは、イヤープラグの形状が大幅にリニューアル。少し尖った先端部分を耳穴に差し込んで使う様になりました。カナル型と同等とは言えませんが、以前のタイプに比べると随分と耳から外れ難くなりました。
 しかし、何よりも驚いたのは音質が大幅に向上している事。低音の迫力は密閉度の高いカナル型に若干叶いませんが、ある意味ではよりナチュラルな音色とも言えます。
 カナル型のイヤフォンを長時間の使用していると、シリコンプラグの反発力で耳穴が痛くなって煩わしく感じられる事があります。しかし、EarPods ではシリコンプラグを使う訳では無いので、その様な事がありません。また、私の使っている JLab J4 にはコントロールボタンが付いていませんが、時によっては EarPods のコントロールボタンが重宝する場面があります。
 そんな訳で、最近の私は JLab J4EarPods をシチュエーションに応じて適宜使い分けるという状況になっていました。

 さて、そうこうしている間もデジタルガジェットの進化は止まりません。気がつけば世の中はすっかりワイヤレス・イヤフォンの時代へ突入。アップルも満を持して 2016年9月にワイヤレス・イヤフォン AirPods を発表しました。
 しかし、この製品、一見すると EarPods からコードを取り去っただけの様なデザインで、思わず「これで耳から外れないの?」とツッコミたくなります。また、何よりも驚いたのは EarPods に比べて5倍以上するその価格。世の中の誰もが同様の印象を持った様で、リリース直後は様々なネガティブなツッコミが飛び交いました。
 ところが、2016年12月にこの製品が発売されると、瞬く間に大ヒット。一転して製品の供給が追いつかなくなり、納期が数週間という人気商品に…。

 私も「いつかはワイヤレス・イヤフォンを…」と考えなくもありませんでした。ただ、その願望が余り強くなかったのは、必要性をさほど強く感じなかったからです。大きな理由は勤めから解放されて電車で外出する機会が極端に減ったため。iPod 自体を殆ど利用し無くなったのです。
 現在の仕事で出かける際は車を使うことが多く、車には 825W/17スピーカーの Meridian Surround Sound System が搭載されているので、自宅オーディオルームを凌駕する爆音かつクリアーな音色で音楽鑑賞が可能。また、自宅に居る間はスピーカーから音を流していれば用は足ります。

 ところが、そんな日々を過ごしていたある時、ふと「このところピーブロックのコレクションをランダムに流して延々と聴き続けるという事から遠ざかっているな〜。」と思い至りました。
 ピーブロックは必ずしも一度聴くだけで、良さが直ぐに飲み込める曲ばかりではありません。電車通勤の途上で様々なピーブロックの演奏を延々と繰り返し聴いている中で、それまで気づかなかった曲の魅力に気づく事が有ります。さらに言えば、ピー ブロックというのは同じ曲でも演奏者の解釈によって天地ほど違いが出てきます。ですから、同じ曲でも様々な演奏者の音源を丹念にトコトン聴いていく中で、 ある時突然、ある曲の(ある表現の)魅力に、目から鱗が落ちる様に気付かされるという事が、これまでも度々ありました。
 最近、その様な新たな出会いが無い…。これはマズイ…。

 しかし、電車通勤を模して自宅で毎日朝夕一時間づつ黙々と座ってスピーカーから流れるピーブロックを聴き続けるというのも如何なものか? …であるならば、様々な所用をこなしながら聴けばいい。でも、耳からコードをブラブラ下げているのは煩わしい。
 …という事で、いよいよワイヤレス・イヤフォンを物色する事にしました。

 そこで、まずは機種選択です。JLab Audio でも最近では沢山のワイヤレス・イヤフォンをラインナップしているので、まずはその中からカナル型で良さげなタイプを探しました。
 しかし、レビューなどを読むにつけて、ブルートゥースのペアリングに何やら手こずる様子が伺えます。マニュアルにもあれこれと小難しい手順が書いてあったり…。そして、円安が定着している現在ではそもそも価格が AirPods と大差ない。

AirPods_1.jpeg ここに至って初めて、AirPods の購入を真剣に検討し始めました。
 まず、思案したのは 従来の製品に比べて耳から外れにくくなったとは言え、EarPods の耳穴での安定度はカナル型とは比較になりません。さらにコードを外したら…?と考えるとどうしても不安が残ります。
 そこで、あれこれレビューを漁りました。発売から一年近く経過して初期の熱気も冷めた頃なので、冷静なレビューが期待できます。
 そうした所、意外な事に発売前は多くあった憶測に基づくネガティブな意見が殆ど見当たりません。中には「AirPods がどんなに耳から外れにくいか?」という事を事細かにレポートしている記事もありました。そこには「寝ている間も外れない」という、にわかに信じがたい表現もあって、俄然興味が湧いてきました。
 他社のブルートゥース製品にある様なペアリングの小難しさとは無縁であろう事は、長年のアップル製品ユーザーとして、サイトの AirPods の項を読むまでもなく想像して余りあります。

 …で、早速にアップルのオンラインストアでプチっと。

 今年前半には品薄で配送まで数週間掛かっていたのが嘘の様で、出荷予定は1〜3営業日との表記に拍子抜け。実際に10/22(日)に発注して3営業日目の10/25に出荷され、翌日には手元に到着。早々に使ってみました。

 シンプルで魔法のようなワイヤレス。
 AirPods はヘッドフォンの使い方を永遠に変えます。


 これほど宣伝に偽り無い製品も珍しいと思いました。

AirPods_3.jpeg 一度これを使ってしまったら、長年お世話になってきた有線のイヤフォンとは完全にオサラバせざるを得ません。まだまだ使えるものが数個手元にあるのにもったいない限りですが…。
 でも、私はもう永遠に戻れない。

 私のデジタルガジェットは、iPhone SE、iPad Pro、iMac27、iMac20 の4台ですが、そのどれか一つでブルートゥース・ペアリングを済ませれば、その後は iCloud で繋がっているこれら全ての機器で必要に応じて自動的に AirPods から音楽が流れる。ユーザーに無駄な事を意識させないという、正にアップル精神に則ったユーティリティ。これって、他のメーカーの製品では絶対に望めないものでしょう。

 光学センサーと加速度センサーによって、耳に入れただけで音楽の再生が始まり、どちらか片方を外しただけで再生がストップする、というのもマジック。しかし、私は時には片耳で演奏を聴きながら、もう一方の耳で technopipes でなぞるという使い方もするので、ちょっと残念ですがこの機能はオフにしています。でも、これまで、イヤフォンの片方の余ったコードをブラつかせながら、technopipes のイヤフォンコードと合わせて都合3本のコードを身体に纏わりつかせながら練習していたのが嘘の様にスマートになりました。

 使い始めて直ぐに、EarPods が耳から外れる最大の要因はコードの存在そのものに有った、という事が明白になりました。コードが無ければコード自体の重さやコードがどこかに触る事による引力が発生しないので、余程の事がない限り AirPods が耳から外れる事はありません。寝ていても外れないというのも真実。EarPods は横になるとますます外れ易いので、これまで寝ながらの音楽鑑賞の際には、耳穴でしっかりホールドされるカナル型の JLab J4 を使わざるを得ませんでした。でも、AirPods ならノープロブレム。

AirPods_2.jpeg siri に話し掛けて機器を操作して貰うのは恥ずかしいので、私の場合は左の AirPod ダブルタップで「一時停止/再生」、右の AirPod ダブルタップで「次の曲」と設定しています。
 ですから、この様な記事を書きながらピーブロックを聴いていて、奥さんに話し掛けられたら左の AirPod をダブルタップして一時停止して受け答え、話が終わったら再度ダブルタップして再生再開、といった感じ。その間に耳からイヤフォンを外すことはありません。カナル型と違って完全には耳を塞がないのが AirPods のメリットです。

 家の中でも移動する際は iPhone は常にポケットに入れていますし、たとえうっかりして iPhone を机の上に置いたままにしていてもブルートゥースの届く範囲であれば音楽が途切れる事はありません。つまり、家の中に居る限りどこに居ようと AirPods を耳から外す必然性は無いのです。

 AirPods
が来て以来、文字通りイヤフォンの使い方が根本的(かつ永遠に)に変わりました。
 今では、朝起きてから寝床に入る、いや、入った後まで AirPods を耳に装着している、といっては少々大げさですが…、でも半ば本気でそうしていたいと思います。冗談抜きに、さほど遠く無い未来には、さらに小型化された AirPods が常に耳に装着されている、といった時代が到来しているのではないでしょうか。 

 今や 236曲、1,128テイク、時間にして 8日7時間9分27秒 という膨大なボリュームとなった私のピーブロック音源コレクション。せっかく集めた宝の山も、放っておいたら埃を被り錆び付くだけ。日々丹念に手にとり常に磨き続ける事を怠ってはならないと自戒。AirPods を得て、以前の様にコレクションを延々と聴き続けるというライフスタイルを取り戻せて何よりでした。
 残された人生の中で、さらなる新たな出会いを期待したいと思います。

2017/11/19
(日)

Glenfiddich 2017

 今年もまた例年の如くGlenfiddich チャンピオンシップのストリーミング&ビデオの季節が巡って来ました。
 今年の出場者と演目は次の通り。パイパー名の太字は過去3年連続、斜体は過去3年間に2回の出場者。曲名の斜体は過去3年間に2回以上登場した曲。最後の3人は初出場。

Lament for the Earl of AntrimJack Lee)1st
The End of the Great Bridge(Angus MacColl)2nd
Scarce of FishingIain Speirs)3rd
The Rout of the Lowland Captain(Roderick J. MacLeod
I Got a Kiss of The King's HandAlasdair Henderson
Lament for Patrick Og MacCrimmon(Ian K. MacDonald
Lament for MacLeod of Colbeck(Callum Beaumont
Nameless, (Cherede darievea)Craig Sutherland
Unjust IncarcerationCameron Drummond
Lament for the Laird of AnapoolGlenn Brown

 今年は William MacCallum、Bruce Gandy、Stuart Liddle といった長年に渡る常連の名前が有りません。特に8回の優勝経験を誇る William MacCallum の名が無いのは果たして何年ぶり? 一方で、1986年初出場同期生たる Roderick J. MacLeod は今年はディフェンディング・チャンピオンとして 31年目を迎えました。
 このイベントは、そのシーズンの主要なコンペティションの成績に応じて招待されるシステムなので、そもそもコンペティション・フィールドからリタイアしたとしたら、自ずと招待対象では無くなります。William MacCallum はそろそろコンペから足を洗ったのかもしれません。

 この3人に入れ替わる様に初出場が3人。司会の John Willson が「1974年にこのチャンピオンシップが始まってからの第3世代の一人」と表現している世代のパイパーたちです。
 中でも、特に印象的だったのは、直前の Argyllshire Gathering Gold Medal を掲げて堂々の初出場たる Craig Sutherland。25才にしては童顔で演奏中の表情も少々苦しげに見え、初々しいなと思いました。ところががどうしてどうして、終わってみれば長大曲の一つ "Nameless(Cherede derievea)" を終始悠々としたペースで堂々と表現。実に見事な演奏でした。Argyllshire Gathering の結果がフロックでは無かったのは確かです。

 以下、いくつか想い巡らした事柄を…。
 まずは、2003年以来2度目の優勝を果たした Jack Lee。生粋のスコットランド人以外として初めてチャンピオンに輝いた 2003年の "Lament for the Laird of Anapool" の名演は、今でも深く印象に残ります。今回の演目、"Lament for the Earl of Antrim" についても大のお気に入り曲故にさすがの名演。…ですが、鑑賞に際して映像は見ない方が良いのはいつもの通り。

 さて、この "Lament for the Earl of Antrim" は "to a-mach or not to a-mach" が悩ましい Lament の一つです。かの Seumas MacNeill はこの曲については a-mach に否定的でした。
 そこで、これで19個になったこの曲のコレクションの  "a-mah or not a-mach" の状況を分析してみました。1人で複数の音源もあるので、人数的には13人の音源になります。
 内訳は、a-mach を演奏しているのが5人、a-mach 抜きが7人です。
 さて、人数が合いませんね。
 そうなんです、残りの1人が Jack Lee で、彼はなんと5つの音源があり一人で両方の演奏を使い分けています。a-mach 入りが3つ、a-mach 抜きが2つ。今回の演奏と 1993年 Dr. Dan Reid Memorial の音源では抜きですが、2001年の GlenfiddichThe World's Greatest Pipers(2002年)PS Music Library の音源では a-mach入りで演奏。a-mach を演奏すると18分近く、抜きで1分強短縮といった感じです。

 ついでに John D. Burgess1961年 School of Scottish Studies の音源でちょっと興味深い事を発見。この時の演奏では珍しく超スピードで演奏していて、なんと a-mach 入りで 16:24で完奏しています。それも、最後に2分かけて丁寧に Urlar を丁寧に演奏している音源なので、Crunluath-a-mach 終了時には14:00台という驚異のハイスピード。この人、若い頃は Crunluath を超スピードで演奏する傾向があったのは確か。"Moar's Lament" も1960年の演奏ではハイスピード Crunluath です。
 さて、そんな訳で、a-mach vs not a-mach の最終分析結果は8:9でした。正に、悩ましさが如実に表れている例ではないでしょうか。

 Iain Speirs の十八番 "Scarce of Fishing" はこれで無事4つ目の完奏音源ゲット 。まあどれも皆、完璧な「能の舞い」で、印象は殆ど変わりませんが…。それだけ完成度が高いという証拠。

 初登場の3人は先に触れた Craig Sutherland を筆頭に皆好印象を持ちました。
 Cameron Drummond は黒シャツとグレンガリー帽だけでなく、その安定した演奏姿勢も Iain Speirs を彷彿とさせます。ただ、ウォーキングに際して腰が上下。結果として上体も微妙に上下する様は、本家ほどは美しくありません。
 3人の中で最も演奏姿勢が優れているのは、Glenn Brown。良い姿勢で演奏するもう一人の代表格、Gordon Walker を彷彿とさせる体型と安定した身体の運びで安心して観ていられます。

 若手の中で昨年に続き2回目の Alasdair Henderson は、昨年と同じ曲を披露。この人は Jack Lee とはまた違った意味で、映像は観ない方が無難です。
 一歩ごとに身体を上下させふわふわと重心が定まらない動作。カエルか?と思える程にやたらと頬を膨らますブローイング。キョロキョロさせて定まらない視 線、などなど。…ですが、これらは実は些細な事。それよりも何よりも、私がこの人の演奏を見たく無い最大の理由は、ハイランド・パイパーの基本の基 である「ストレート・フィンガー」を守っていない、その指遣いです。
 普通に考えればあれ程曲がって力の入った指遣いでは EmbariChedari といった、トップハンドの込み入った装飾音が綺麗に表現できるはずがありません。恐れ多くも Glenfiddich に出場する様な一流のピーブロックプレイヤーにあるまじき指遣い。見苦しい事この上ありません。
Embari.jpg この人の音源はこの他に3曲しか無いのですが、その中に "King's Taxes" の演奏音源があったので、Urlar ファーストラインに2箇所出てくる Embari を他の15人の演奏と聴き比べてみました。
 まあ、聴いている限りでは飛び抜けて悪いという訳ではありませんでしたが、どう贔屓目に見ても綺麗な表現とはいえません。
Chedari.jpg 兎にも角にも、この人が(トップハンドの妙技が求められる)"Lament for the Laird of Anapool" を演奏して何らかの賞を取ることは、おそらくあり得ないだろうと思います。
 参考までに、この曲に於けるトップハンドの妙技の様子を、2015年 Stuart Liddell今年の Glenn Brown の演奏でご覧下さい。Alasdair Henderson の曲がった指ではこの曲の要である Chedari をこの2人の様にクリスピーに表現できるとは到底思えません。

 話は逸れますが、この聴き比べで際立っていたのはやはり John Burgess の表現。"King's Taxes" は極めてポピュラーなので、15人の中には古くは Robert BrownRobert Reid から、近年では Willie McCalum、Gavin Stoddart、Iain SpeirsMurray Henderson、Roddy MacLeod と錚々たるパイパーが含まれます。その様なメンツの中で、John Burgess の表現は他の誰よりも際立ってスローで丁寧かつクリア。Embari の装飾音の一つ一つがはっきりと聴こえるのは、後にも先にもこの人だけです。
 ピーブロック装飾音表現の比類なきお手本。ピーブロックを学ぶ者であれば皆、こうべを垂れて聴くべし。⇒"The King's Taxes" by John D. Burgess(1961年 School of Scottish Studies)

 ステージ上のでもチューニング。
 パイパーが登壇してからのステージ上での最後のチューニング風景は、2016年のビデオでは全てカットされていましたが、今年は何人かのパイパーについてはカットされずに仕上げられています。特に、先程の Alasdair Henderson については結構長く残されていて、演目の演奏中にも増して落ち着きの無いその様子は、極めて見苦しい限り。「演目と見分け(聴き分け?)が付かない、やたらと長いチューニングは見苦しい。」と言う事を知らしめるために、敢えて残したのではないか?と勘ぐってしまいます。

 最後にもう一つ。今年のライブを観ていて気が付いたのは司会者の力量です。
 司会者はメモを手にしてこれから登場するパイパーのプロフィールを紹介します。パイパーは控え室で直前までウォーミングアップ。プロフィール紹 介が終わった頃に登壇する手はずになっていると思われますが、多くの場合、ギリギリまで入念にチューニングに注力するので、なかなか登壇しません。ですか らその間、司会者は演目の曲の由来や旋律の特徴などについての解説をして、間を繋ぐ役目を負います。
 2016年に続き今年も司会を担った John Wilson はこれが実に見事。
 プロフィール紹介と違って曲の情報は全て頭に入っているので、メモなど見る事もなく滔々と解説。バトルチューンの場合は、まるでつい今しがた18世紀の 戦いの現場から戻ったかの如く、その場の状況を微に入り細に入り描写。それが実に真に迫っていて大いに楽しませてくれます。
 また、ある時はカンタラックでその曲の要所を演じてみせますが、これがまたまた素晴らしい聴きモノ。パイパーが入ってくるはずの入り口をチラチラ見やり ながら、時には「いつまでやらせるんだよ!」「早く出て来い!」と言った風な合いの手入れて会場の笑いを誘いながら、延々と歌って間を繋ぐこともあります。こ れはこれで十分に鑑賞に値するリサイタルじゃないかと思えてしまうのです。

 そんなかんなで、今年もまた色々と楽しませてもらいました。ストリーミング&ビデオの解像度も年を追う毎に向上している様です。これまで動画収集にはさほど熱心ではなかった私ですが、このイベントについては毎年楽しみになってきました。

2017/11/26
(日)

Echoes of Oban 2017

 今週の Pipeline のプログラムは先日 CoP で開催された "Echoes of Oban" のコンサートから。毎年の Oban=The Argyllshire Gathering で の上位入賞者が、その時の受賞曲をじっくりと聴かせるのがこのコンサートの趣旨。いつ頃から始まったかは詳しく知りませんが、かなり古い歴史が有る様 です。コンペ当日と違いジャッジの前では無いので、おそらく、入賞者たちもリラックスして良い演奏を聴かせる事ができるのではないでしょうか?

 先日、CoP からストリーミング&ビデオのお知らせがあり、ビデオをちらっと見かけたのですが、↑の Glenfiddich のビデオとは違って、編集もされておらず画質&音質も共に悪いので、まともに鑑賞する気になりませんでした。

 さて、本日オンエアされたピーブロックは次の通りで、音源はストリーミングビデオのそれとは別物の様でこちらは良音質。

● MacGregor Memorial Piobaireachd 1st
 Lewis Russell "Lament for the Viscout of Dundee"
● Gold Medal 1st
 Craig Sutherland "Lord Lovat's Lament"

 後者は、先日の Glenfiddich で "Nameless(Cherede darievea)" の見事な演奏を聴かせてくれた通り、今回の演奏も素晴らしいものでした。
 この曲のコレクションもこれで17個になりましたが、その中ではこの曲を誰よりも十八番とする Bruce Gandy(4個の音源)に次ぐハイレベルな演奏だと思います。

 しかし、それにも増して今回の驚きは前者。
 MacGregor Memorial 部門は 22才以下のパイパーを対象にした部門との事ですが、今年優勝したこの Lewis Russell 君はなんと17才との事。
 …ですが、その歳にしてなんと落ち着いた(私好みのゆっくりとした)演奏なのでしょう。

 この曲のコレクションも奇しくもこれで17個(17という数字ばかり…)になったのですが、何がそんなに違うのか?と思って、主だった人の音源で Urlar のファーストラインの演奏時間を計ってみたところ次の様な数値でした。(降順)

Lewis Russell 42.9秒
Bill Livingstone(Great Highland Bagpipe / Lismor 1999)40.3秒
John Burgess(1961 School of Scottish Studies)38.7秒
Alastair Dunn(Cop Radio 2009/12)36.0秒
Roderick J. MacLeod(1997 Glenfiddich)35.0秒
Andrew Heyes(2010 The Northern Meeting)34.6秒
Bill Livingtsone(A Piobaireachd Diary Vol.2)33.3秒

 これは全体のペースをほぼ反映しています。Bill Livingstone が2つの音源で極端に異なったペースで演奏しているのも興味を引きます。それにしても、僅か40秒余りで10秒も違えば印象も大きく違って当たり前です。

 さて、さらにバリエイションのペースを比較すると、そこでも Lewis Russell の落ち着いたペースが際立っています。折に触れ書いていますが、この時期の John Burgess はそこら辺は結構なハイペースなので…。

 特に、この人のバリエイションの表現で特に私が気に入ったのは、それぞれのバリエイションのダブリングから次のバリエイションに繋げる際、ダブリングの最後の小節できちんとペースダウンする事。これは、小泉文夫さんがおっしゃっている「こぶしを効かせたメリスマ的表現」で、実はピーブロックの表現上極めて基本的かつ重要なポイントです。

 しかし、翻って考えれば、節回しを変化させてメリスマを効かせるという事は、西洋人的には馴染みが薄い概念。…なので、全てのパイパーが必ずしもその様に表 現できている訳ではありません。セオリーをきちんと理解していないパイパーの演奏では、一つのバリエイションをストレートに最後まで一定 のリズムで演奏して、単に次のバリエイションに入った段階で少々テンポを変えるのみです。こういうのは味わいに欠けます。
 西洋人にこそ「ピーブロックを演奏する際には足でリズムを取ってはいけない」という黄金則の意味をきちんと理解して欲しい所です。
 この点に関しても、要所要所でこぶしを効かせた Lewis Russell の表現は、John Burgess も含めて、他の誰よりも飛び抜けて優れています。

  17才にして、この恐るべき表現力。
 この人、よほど良い指導者から教えを受けているのでしょう。極めて隅々まで気配りが出来ている、ピーブロックの有るべき姿を忠実に表現した素晴らしい演奏。単にスローというだけでなく、表現全体から判定して、17個の音源でダントツのベストです。

 私にとってこの演奏は「ひたすらかっこ良い」と思えます。そして、この曲については「自分でもやってみようかな?」と思わせる様な手本となる演奏に、初めて出会った感じです。

2017/12/10
(日)

高周波音は
皮膚で聴く?

 日本経済新聞夕刊に「人間発見」というコラムが有ります。2017年12月4日(月)〜8日(金)の5日連載で、文明化学研究所所長・大橋力さん(84才)が取り上げられていました。
 
 このサイトでも度々紹介していますが、大橋さんは高周波音が脳を活性化するという「ハイパーソニック効果」の発見者。CD 創世期に音楽関連産業の人々がひっちゃきになって潰しに掛かった理論。そして、CDが衰退し始めると、その当事者たちが、今 度は手の平を返したように臆面も無く推している「ハイレゾ」の元となっている理論です。
 詳細は ⇒ 2015年3月12日の音のある暮らし「ハイレゾ…???」

 コラム前半では生い立ちから芸能山城組設立に至る経緯などを紹介。後半では、ハイパーソニック効果発見に至った経緯と、この理論を1991年にニューヨークで開かれた米音響工学会で発表した経緯、そして、当時の反響(の鈍さ)などが紹介されています。
 そして「当時、CDの商業的成功にかけていた音楽産業関係者にとって私たちの研究は目の上のたんこぶでした。」と、当時の状況を赤裸々に語ります。

 その後、高周波の効果を学術的に証明するために、陽電子放射断層撮影装置(PET/最近のガン検診でよく聞く装置)を用いた実験に取り組んだ経緯と、その結果を 2000年の米生理学会脳科学部門の学術誌に発表した事が語られます。この論文で「ハイパーソニック効果」の存在が決定的になりました。
 この学会が毎月公表してる「最も読まれた論文」の中で、この PET実験論文は掲載から17年経過した現在でも常にベストテンに入っていて、多くの人に読まれ続けているとの事。正に、この論文がハイレゾ・オーディオのブームの火付け役にもなった事の何よりの証明です。

 ところが、大橋さんは現在のハイレゾブームに決して満足していません。
 その理由は次の通り。(以下、コラム原文から引用)
 「その後の研究で2つ新たなことがわかりました。まず、高周波を感知するのは聴覚ではなく体表面の皮膚であるらしいこと。2つ目は、特定の高周波帯域では脳の活性を抑える負の効果もあることです。ハイレゾについて、こうした事実を踏まえる必要があります。」(下線部:引用者)

 「高周波を感知するのは体表面の皮膚であるらしい」という研究成果を聞くのは初めて。ドローンの低音が身体に直接響くという事は嫌でも実感できる事ですが、高周波もそうであったのか、と感じ入りました。…と同時に、さしたる違和感が無く納得できる様な気がします。
 ピーブロックを演奏していると、次第に気分が高揚して来る仕組みが徐々に明らかになってきましたね。

 ところで、この研究結果に従えば、ハイレゾ音源をイヤフォーンだけで鑑賞するのは余り意味が無いという事になります。
 以前、音響機器メイカーたるパイオニアでは、ボディソニックという音響装置を製品化していました。その当時は、主に重低音を直接身体に伝える事を目的とした装置でした。  
 これから想定されるのは、今では大橋さんの理論に無節操に寝返っている音響機器メイカーが、高周波音を直接身体に伝える為の「ハイレゾソニック」なんて製品を出してくるかもしれません。

 コラムの最後に 2008年の朝日新聞でも紹介されていた、バリ島の宗教的な儀礼チョロナランの獅子頭の話が紹介された後、次の一文で5日間のコラムが締めくくられます。

 「人工知能が人間の知能をしのぐといわれますが、この世界には機械では置き換えられない別の情報領域があります。かつて人類は森で暮らし豊かな音に囲ま れていました。森を離れ文明を築き、今や人工物であふれる生活を送っています。音と人間との関係からみて、私たちの科学技術文明の今後について、今とは違 うもう一つの戦略がありえるのではないかと思います。」

 いや〜、大橋さんにはいつもいつも尊敬の念を禁じ得ません。少し大げさかもしれませんが、この方のハイパーソニック効果の発見はノーベル賞モノだと思います。

2017/12/17
(日)

勝手に端折るなよ!

 2009年1月26日、満を持して(?)ピーブロック・ソサエティーに入会した顛末をその日の音のある暮らしの日記に 書きました。毎年更新の手間を省くために3年更新を選んだのも書いた通り。しかし、この歳になると正に光陰矢の如しで、3年間なんていうのはあっという間 に過ぎてしまいます。2012年、2015年と2回更新して、3回目の会員期間9年目が2018年初頭に満了(のはず)です。

 ところが、「2018年に満了のはず」にも関わらず、本日 2017年12月17日に次の様なメールが送信されて来ました。
2017/12/17 9:07、admin@piobaireachd.co.uk

"Your Subscription is expiring in 10 Days"

Hi Yoshifumi,
Just a friendly reminder that your Subscription is expiring in 10 Days on December 26, 2017.
We wouldn't want you to miss out so make sure you renew it today.
To renew your subscription, log in to your account, select the 'Subscriptions' tab and click the 'Renew' link in the right-hand column.
Thank you for your support.  Any comments are greatly appreciated.
 その時は、余り深く考えもせず「こりゃイカン、何はなくても江戸ムラサキならぬピーブロック・ソサエティー!」と、言われる通りに指示通りにログイン し、あれこれクリックして Paypal で£40支払い、2020年までの会員登録更新を完了。折り返し自動返信の確認メールを受信してホッと一息つきました。

 しかし、落ち着いた所でふと「何かオカシイぞ?」という思いが過ぎりました。そこで、これまでの更新履歴を見直してみると次の様になっている事が判明。
(1)2009/1/26〜2012/1/25
(2)2012/1/26〜2015/1/25
(3)2015/1/1〜2017/12/31
(4)2017/12/26〜2020/12/25
 つまり、前回2015年の更新に際して、26日分端折られている。そこで、当時のメールを探し出してみました。
2014/12/24 11:10、subscriptions@piobaireachd.co.uk

"Your Subscription Ends in 7 Days"

Hello MacCrimmori,
This is just a reminder that your subscription expires on Wed, 31 Dec 2014
You can renew your subscription by visiting the subscription area.
Best Wishes
 思い出したのですが、その時は少々不思議に思いつつも「おそらく、(勝手に)会員の更新日を月初めに統一する事にしたのだろう。」と考える事にしました。…と言うか、それ以外、解釈しようがありません。

 ところが、今日の通知でそれは見当違いだった事が判明しました。何故なら、今回さらに5日分端折られた訳ですから…。

 小出しに端折るのは何故なんでしょう? 都合2回の更新でとうとう1ヶ月分端折られた事になります。

 何が、"Just a friendly reminder" だよ‼︎
 そんな事より、頼むから会員管理を真面目にやってくれよ!

 会員管理が出来ないのは CoP も全く同様。
 足掛け40年を区切りに定期購読を止めた顛末は2月に書いた通り。そして、それにも拘らずその後も月初めに発行のお知らせメールが来た事も報告済み。
 余りに馬鹿らしいのでその後は報告していませんでしたが、実はそのお知らせメールについては10ヶ月経過した12月になっても律儀に配信され続けています。
2017/12/04 7:37、○ndrew Wallace <○ndrew.Wallace@collegeofpiping.org>

Hi
Please find below the link for the December Issue of the Piping Times.
https://content.yudu.com/web/73hy/0A1t4az/PTDecember2017/index.html
Regards
 
○ndrew Wallace
The College of Piping
16-24 Otago Street
Glasgow
G12 8JH
www.collegeofpiping.org 

This e-mail and any files transmitted with it are confidential and intended solely for the use of the individual or entity to whom they are addressed. If you have received this e-mail in error please notify the originator of the message. Any views expressed in this message are those of the individual sender, except where the sender specifies and with authority,states them to be the views of The College ofPiping.
 追伸に何やら書いてありますが、私は親切にこちらからは知らせるつもりは有りません。これは "error" じゃなくて単なる手抜きの結果だろう。責任転嫁(放棄)するな! 
 一体全体いつまで送られて来るか見届けてやろうと思って、これまでのメールは全部そのままフォルダーに保存して有ります。ヤレヤレですよね。

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